茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

硝子の街にて(7) 燕 SWALLOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

故郷はどこ?

自分はいったい何物か?という、前回の悩みを引きずったまま、日本に戻ってきた伸行サイドのお話と、今回初めてシドニー視点でお話が交互に進んでいきます。

NYで不法滞在の日本人に会い、アメリカ国籍を持ってるのに日本人にもアメリカ人にもなりきれていないと感じた伸行。
自分は何をしたいのか、これからどうなりたいのか、その折り合いをつけるため、二度と戻ることはないと思っていた日本へ帰国します。
根を…

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硝子の街にて(6) 空 HOLLOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

自分とは何者か?

硝子の街にての第6巻。
伸行の勤める会社が敢行するNYツアーの客が指名手配犯らしき男に連れられて行方不明になってしまう、という事件が発生します。
舞台はニューヨークですが、だいたいいつも日本人が事件にからんでいて、伸行の助けが重宝する設定になってるのがよく出来てるなあと思う。

毎回何かしら社会的な問題をおりまぜてくるお話ですが、今回はアメリカの移民法について書かれています。
たくさんの…

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硝子の街にて(5) 朝 MORROW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

大きくてささやかな進展

合意じゃないけど4巻目にしてようやくキスシーンがあり、でも5巻に入るとやはり何も進展しておらず、もとの「親友」で「隣人」に戻ってる…と思ったら、最後に大きな進展のある一冊でした。

糖度の低さに慣れていたので正直少し驚きました。
シドニーが伸行を好きな事は誰がどうみてもわかりやすく書かれているのですが、それをちょっとわざとらしいくらい伸行が気がつかない…のが一種のステイタスになっている作品だ…

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硝子の街にて(4) 家 BURROW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

君が何であれ、君は君

読めば読むほどこの2人が好きになっていくのですが、同時に結ばれて欲しいけど、まだ友達のままでいて欲しいとも思います。
それはこの二人の友情が大人のものとは思えないくらい綺麗だからなんですが。

この作品、BLだけど子供が読んでも大丈夫じゃないかなと思える、そのくらいピュアです。
作者さんはたまにフィクションなら避けて通るんじゃないかなと思うような社会的なテーマを練り込んでお話を作られますが…

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硝子の街にて(3) 虹 RAINBOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

何度でも君のために

硝子の街にて、の3巻。
何故かすごくあせた雰囲気のある懐かしい感じの作品です。
舞台は90年代のニューヨークなのですが、書かれているのも90年代なのでリアルタイムを追っているはずなのに、何故かわざと懐かしい感じを出してるんじゃないかな?て思ってしまうような、淋しい感じの漂うシリーズなんですよね。この雰囲気がすごく好きです。

主人公の伸行とシドニーの間にはまだ進展らしい進展はないのですが、…

3

造花の解体 小説

西条公威  茶屋町勝呂 

髭面の天使

 初めて読んだのはもうずいぶん前で、当時は衝撃のあまりレビューの言葉も正直見当たりませんでした。「答姐」の「イタイ話」トピで久々に思い出し、数年ぶりに読み返してみると、痛いのも重いのにも変わりはないんですが、少しだけ衝撃以外のものも受けとめることができたような気がします。

 主人公のエスは31歳。アンダーグラウンドで傷や死体や畸形など「壊れかけた身体」を専門に撮る写真家だ。みずから「傷に選ば…

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硝子の街にて(2) 雪 SNOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

無防備な行動

硝子の街にての第2巻。
1巻を読んだときには、恋愛でなく友情に重きを置いてる作品だと思ったのですが、シドニーのほうは伸行を恋愛対象としてはっきり意識している感じです。

ゲイのシドニーは伸行を「初恋だった」、と前回笑いながら言っていましたが、終わった恋でなく今でもずっと好きなんでしょう。
子どもの時から考えると長い年月ですね。その間に付き合った人もいるんだろうけど。

今回、雪の日に埋…

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硝子の街にて(1) 窓 WINDOW 小説

柏枝真郷  茶屋町勝呂 

可愛くて苦しくて愛しい作品

Windowsってタイトルですが、Windows95からきてるんですね。Windows95…懐かしい響き。
舞台が90年代のニューヨーク。20巻以上ある長いシリーズです。

実はほぼ最後の巻数まで既に読み終えた上で、今1巻の感想を書いているのですが、1巻では恋愛部分はほぼなくて、少し物足りなさを感じます。でも手に取られる方には是非、2人が結ばれるまで(巻数がかかるのですが)読んでほしい!

4

世界の果てで待っていて -嘘とナイフ- 小説

高遠琉加  茶屋町勝呂 

寸止めのエロス

 BLとエロは切っても切れないもの。そもそもエッチシーンなしでBLが成り立つのか?

 そういう議論になるといつもこの作品のことを思います。この一冊の中で主人公の2人、櫂谷と黒澤の接触はキス以上には進みません。シリーズ前作「天使の傷痕」では、一度だけ関係を持つシーンがあります。裏表紙の作品紹介では「甘い一夜の記憶」とあるけれど、私には到底「甘い」とは思えませんでした。
 当時2人の関係は、も…

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Home A place in the sun 小説

かわいゆみこ  茶屋町勝呂 

A House is Not A Home

「家」とは何か。
ある人にとっては安らぎ、ある人にとっては絶ち切りたい因縁の象徴。
また他人と「家」を作ることは、その人の人生を受けとめ責任を持つことも意味する。

本書は恋愛小説であると同時に、そうした「家」への様々な想いも伝わってくる、上質なヒューマンドラマ。
97年の発行だが、少しも古さを感じさせない。
とても普遍的で身近なテーマが胸に迫ってくる。


大阪の暴力団組長の妾…

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