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生嶋美弥
葡萄瓜
岩田天涯と篠原カヲルの関係は、 単純に男女のそれに置き換えられる ものだろうか? 否。 そう断ずる事が出来る関係性なら、 何も残るまい。 そして、何かは確実に残っている 様に見受けられる。 同時収録作は篠原カヲルの書生・ 野山広太とその友人花屋敷竜虎の 物語。そして、時代の断絶と再生の 物語。あたかも版元の後日を予見 しているかの様な。
一宮思帆
二次創作の場合、様々な嵌りツボがございます。 絵柄であったり関係性の切り取り加減であったり。 この一冊を読んでから原典を読もうという方は 多分いらっしゃいますまいが、こう言う描かれざる 原典も在り得たのではないか、とふと思わせる 一冊ではあります。
激動の時代の中で、それでもひたむきに 生きようとする若者達。 彼等は確かに「もののふ」だった。 「そして春の月」シリーズ第三集。 同時収録作はパラレル学園もの。
作中で展開される文学論議は相変わらず一々 胸に刺さりますね。 ボーイズラブと言う分野の存在意義にひやりと 切っ先を向けられている様で。偶然の一致と 言えばそれまでなのでしょうが。 肉体的な立ち位置では岩田天涯は抱く側で 篠原カヲルは抱かれる側です。 しかし、精神面では二人の位置は逆転して います。それこそこの作品世界の魅力なの ではあるまいか、と。
愛する側も漢であれば、愛される側もまた漢。 漢同士であるからこそ、直向さ加減が抑えきれず ぶつかる事とて時にある。 静かなうねりを見せる「そして春の月」続刊。 同時収録作はパラレル学園もの。
岩田天涯の篠原カヲルへの執心は独占欲の様に見えて、 実は何かに対する崇拝なのではないか、とふと垣間見える 一瞬がある。 そう。人でなしが恋しい男に執着しているのではない。 人でなしと自らを責めている男が、恋しい男の中に救いを 見出したいと無意識に願っているのだ。 文士同士の恋模様を描くシリーズ、端緒であります。
作品を作るという事は、単純な生産作業ではなく、 また放出作業ではない。 時に自らの骨肉を削って分身を生み出す、そう言う 過程だ。 岩田天涯がそう言う文士であるからこそ、篠原カヲルは 彼を赦し、受け入れてしまうのだろう。 一読者として一寸怖くなったのは、その創作と言う事に 対しての問い掛けが、そのままボーイズラブと言う ジャンルにも(無意識の内に)向けられているのでは ないかと…
金丸マキ 穂波ゆきね
見映えの良い尻軽貴族と怪盗の体から始まる恋と 言う題材をバタ臭さよりは幾分醤油風味が強い加減で 仕上げてある表題作+「be nice」。 学園内のドタバタをあっさり纏めた「人は見かけによる ものだ」。そして、アメリカの政治家と秘書をカップルに 起用した「接吻〈KISS〉スキャンダル」。 穂波さんの絵は元々何処かに洋風なモダンさを滲ませて いる画風でしたから、海外が舞台になった作品…
ユキムラ
幾ら有能な営業マンであったとしても、 恋をしてしまえば調子が狂うというもの。 其れも相手は完全な好みの範疇内なの だから…。 表題作を始め全篇が恋に不器用な 有能男子の煩悶物語。 男の愛らしいダメさ加減をとっくりと ご賞味下さい。
ひばきち
『BEEF JAM』収録作「BEAST HEAVEN」の 続編にして第一単行本『BEASTY BOYS』の 世界観を形成する過程の物語。 獣人を廻る物語がここで全て語られた訳では ないだろう。 ここで語られたのは縁=円は環の様に廻り 行きて終着点を持たず、想いはその道筋に 導かれて伝え行かれるのだ、と言う理の様な ものだけだ。 萌えと言い切るにはややハードかも知れない。