19歳の密かな欲望

ロックな青春

拾井タスコさんの絵を見て、語シスコさんと間違える人は多いと思う。
そのくらい絵も似ていれば、テーマなんかも似ている。
違うのはあちらが、ろくでなしが多くそこから切なさも笑いも演出するのに比較して、この方はまんま青春をストレートにロックに表現して笑いを介入させないでいるところだと思う。
実際、語さんとは仲が良いらしく、現在は目立った活動はされてないようだが、語さんのお手伝いなどをされたりもしていると漏れ聴いてはいるのだが・・・

この本の表題は『１９歳の密かな欲望』が出ているが、『ラブ・セックス・キス』とのメイン二本立てになっています。
表題は、高校時代記録を打ち立てた林田（リンダ）が私立大学の水泳同好会に入部するのですが、そこの上級生ナオミはリンダが許せなくて（怪我で現役選手は続けられない）ぶつかり合う話。
あこがれの選手だったリンダへの執着、かつての自分を求めてくるナオミへの八つ当たり的執着。
種類は違えど、執着という愛の形は甘さのかけらもないのです。
しかし、『続・１９歳の密かな欲望』になると、このガチンコは影をひそめて一転、素直な二人に・・・ちょっと、これは？？ではある。

もう１シリーズ『LOVE　SEX，KISS 』のシリーズ
こちらは連載が同人だったり各社渡り歩いて描かれているカプの話。
まず、登場人物の名前がぶっとんでいる
町田町蔵＝昔80年代INUというバンドのリーダーでものすごいカリスマ性を持った人だったヨ♪まんま名前を拝借しているのがスゴイ。
遠藤ミチロウ＝知る人ぞ知るスターリンのボーカル。また彼もそのカリスマ性はものすごいオーラを放っていた。
東京ロッカーズの「爆裂都市」という映画が懐かしい・・・
そして、このシリーズの中の題名に「まずいリズムでベルが鳴る」というのは大沢誉志幸のヒット曲ではないか！？
作者の音楽に対する思い入れが見られる。
話としては、年下の町蔵が年上のミチロウにぞっこん！という単純な話なのであるが、ツンデレのミチロウも、ある時は凶暴にもなるワンコの町蔵も、若さゆえの暴走でかわいい、といったラブのガチバトルなのだが、本質はとてもラブラブで甘い。

『ダンス』チ●コにカッターで刺青というは痛い！
『憧憬』密かな片思いに気が付いて
『ふたりはなかよし』変人のあずきたろー君は沖田先生の為宇宙飛行士になりました！？

メインを張る２編が、強烈なインパクトで魅せます。
甘ったるい愛とか恋とかそんなものはなくて、身体でぶつかり合い本音をひきだそうとする、その若さと情熱の爆発なのです。
ただ、難点をいえば、どれも登場人物の顔も髪型も似ていて、全て同じ人物で、名前と設定を変えただけなのでは？と思ってしまう部分であろう。