王道的な年下献身わんこ攻めストーリー。
そして、この「わんこ」が文字通り本当にわんちゃん/オオカミ族だった、という人外BLでもあります。
主人公の大学生・アキラはオオカミ男の末裔。
一族は、男性だけ満月の夜変身する。が、成獣になればコントロールできる、という設定。
アキラはまだコントロールできず、それどころか小さな子オオカミになってばかりで父親から未熟だと注意されています。
そんなアキラが、全身傷だらけのゲイデリヘルのキャスト・万里と出会って…
…というストーリー。
この万里のバックグラウンドが不憫。
アキラに対しては初めはもちろん恐怖。その後もどうせ体目当てとか自分なんかとか。
言いながらも、いつも誠実に寄り添ってくれるアキラに惹かれていき…
…と、あとは順当に進んでいくわけですが。
万里と向き合っていくうちに、いつの間にか成獣として成熟していくアキラの成長物語でもある。
万里はアキラの尽力でデリヘルから抜け出せて良かったね。
アキラの家族とかデリヘル会社の人はうやむやなのは、まいっか。
とにかくアキラがいい子。人間型はかっこいいし、オオカミ型はモフモフ可愛い。
性格もいい。DTだったのにエロもいい。
万里は設定が悲惨でした。幸せになって良かった良かった。「萌」で。
「愛されたのが運の尽き」のスピンオフ。
前作の、元悪いヤリチン・マオのトラウマ原因、なんでもマオに勝ってマオを絶望させていた兄・リオのストーリーです。
前作でマオの言い分を見ていると、リオが底意地の悪い優等生のように見えていたけれど、さて本作ではどう見せてくれるのか。
前作で、維人の親友・天海がリオだった、という驚きがあったわけだけど、あの善人維人が信頼していた通り、リオはリオでちゃんといい人なんですよね。
ただ完璧主義者で人に弱みを見せないタイプ。
自分でも知らないうちにプライドを拗らせてるタイプ。
始まりは、親友である維人の恋人がマオだった事を知ってどうしてもイライラし、ゲイでもないのにゲイバーに行き、ある男性の誘いに乗る所から。
誘いに乗る、と言っても自分が抱く側だと思ってる。でも逆に抱かれてプライドが折られて…
その相手がなんとインターン先の上司だった…というのは正直既視感ありだけど。
年齢も能力も上の相手・常盤に性的にコテンパンにされて、それで逆に弱さや素直さを曝け出す。自分の窮屈なプライドから抜け出す。
だからコッチも救済BLなのかな。
攻めの常盤は余裕ありすぎで、かっこいいけどちょっと憎らしい。
それよりも…
私個人として、受けがハの字眉毛なのが苦手なんです…そこがネックで、お話は萌x2だと思うけど評価は「萌」で。
性格悪いヤリチンとおかん?ぽい受けのストーリー。
主人公は真面目で弟思いの常識人・隠れゲイの維人(いと)。
先輩の頼みでヤリチン退治について行ったら、当の悪名高きヤリチン・マオからロックオンされて…
結局自分も餌食になってヤられちゃったわけだけど、維人は毒舌吐いたり、マオに説教したり、マオの心のうちを聞く姿勢を持っているんです。
そんな維人はこれまでヤってきた相手とは違う、そう感じたのか、マオは維人に本気になっていく。
維人も誰も知らない/知ろうともしないマオの素の姿を知って惹かれていき。
とっくにカラダは繋げてるのに、ちょっと両片想い風味。
視点は維人なんだけど、テーマはマオの救済。なのかな。
ま〜あマオは冒頭はメチャクチャですよ。
勝手に維人にGPS付きの首輪つけたり、付きまとったり、Hも自分勝手。
そんなマオにも心配したり世話焼きする維人はやっぱりおかん系のような気がする。
マオのお兄さんがあの人、というのは予想外!
その辺も含めて、ストーリーにメリハリがあって面白かったです。「萌x2」で。
「♯BがLする4ページアンソロジー」内でひときわ異彩を放っていたダヨオ先生の掌編が1冊の長編に…!という事で、待ち望んでいました。
レビューも多いので感想だけ。
元のアンソロは既読で、テーマ上高校生設定が多い中、お一人だけ中年CPを描かれたダヨオ先生にさすがだなぁと感じていました。しかも喧嘩した後という…
だから、勝手にうっすら倦怠期的な空気感のストーリーを想像していたんですよね。
でも読んでみたら、2人の出会いから恋心の始まり、どんどん加速する想い、すごく浮かれていく気持ち…
そんなものが描かれて、そりゃもう萌えますけれど、思ってたのと違った…というのが正直な第一印象。
とは言っても、ハッピーストーリーの方が好みだからこれはこれで良かったと思うんです。これはホントに。
だから逆に、こんな愛され春江がなんでまたネガティブ復活で、あの愛し上手な藤嶋が喧嘩までしちゃう⁈
ソコを見たかったんだな。うん。
でも本作の嬉し恥ずかしな恋の始まりストーリーは、本当にすごく良かったです。
「萌x2」で。
前巻と同じく「小野寺律の場合」と「木佐翔太の場合」の2本立て。
「小野寺律の場合」
いよいよ大詰めと言っていいのか、ここまで来てもまだまだエピソード満載でいくのか、長年のファンならばもうどちらでもドンと来い、的な心境だろうと思われます。
私なんかはアニメも通らず入った新参なんでジレジレしてしまいますが。
ただし、律のドキドキがこれまでと変化していってる感じが伝わってきますね。ただ振り回されるばかりでアワアワする時間は終わった、というか。
手法的には過去の追想を織り交ぜて今の想いを加速させていく感覚が描かれているように思います。
そんな純なココロとはウラハラと言っていいのか、エロは大人のズルさを醸し出している?
高野は言うまでもなくずるい。律も言えないくせにあんな事こんな事!しちゃうのね〜。
「木佐翔太の場合」
私はこの2人結構好きです。
今回は、羽田デートのはずが雪名の思いつきで急に北海道の雪名実家訪問になってしまう、という木佐振り回されのエピソード。
雪名家のキラキラオーラを浴びてもいつもの卑屈モードが出なかったところに木佐の歩みが見えました。
この2人はもっともっと仲良く、強い愛で続いてほしい。
「わかってください」電子特典コミックとなります。
4p。
以下、内容となります。
↓↓↓↓
「秘密と珈琲《その後》」1p
匠真「今度の休みの日 戸篠さんの家行ってもいい?」
戸篠「もちろん俺はいいけど 匠真くんはいいの?」
来たら調教しちゃうよ、ってか?
「閉じない扉《その後》」1p
社内で女性と楽しげに話している早坂。をじっと見る有家。
有家「今夜早坂の家に行こうかな」
本当は奥様と食事に行くはずの日なのに。
上書きしなければ、という無意識の焦りと独占欲があるのでしょうね。
「わかってください《その後》」2p
三瀬に捕まって襲われる…怖い夢を見た藤谷。
怖くて嫌な夢なのに。(なんで俺夢精してんだろ)…
やっぱり三瀬が怖いですね。
コオロギを丸呑みするトカゲのように藤谷を狙ってるみたい。ゾゾ〜ッ
「よしもと」名義の2016年発表の短編集。単行本デビュー作とのこと。
5作品収録。
「わかってください」
配達員のお兄さんが人当たりの良い青年に異常な執着を抱いてストーカーになる、という現代的なホラー作品。
配達時に声かけしただけなのにこういう状況になり得るという恐怖。
「閉じない扉」
記念すべきデビュー作。
イケメンなのに腰が低く皆に好かれる憧れの男。だが彼の本当の姿は、罪悪感も何も無く他人を利用し尽くす人間だった…
これ、もっと怖いのが遊ばれた(?)側の早坂が平然と彼に付くこと。
サイコパスって感染るの?
「ビビリといわないで」
霊感を利用して好きな子を手に入れる…って言うとなんか腹黒っぽいけど、部屋に霊がいても俺がいるから大丈夫って守る感じ?
霊が怖い子の方があまりにもアホっ子なんですが、霊の正体が意外な怖さ!
「秘密と珈琲」
人々がそれぞれの超能力を持っている、という世界観のちょいファンタジー。
珈琲店に勤める匠真は、お客様の戸篠さんと親しくなったが…
「好きな人に罵られると怪力が出る」というのは、秘められたM性のあかし⁉︎
急にSM論が出てくるけど普通に可愛いお話だと思います。
「Repair」
書店員と本の修繕師さん。
ボロボロの本を買い直さずに修繕するのは、持ち主の深くて強い思い出があるから。
本への思い入れが良いですね。
ただし展開は早い。色気おじ受けのルーツっぽい作品。
描き下ろしは「Repair」のその後。
誘い受けの色気とラブラブな空気。
冒頭の2作品が怖い系。一番怖いのは人間の心…