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表題作アンドロギュノスの夢

夏目龍之介,25歳,若手人気小説家,鋭(アルファ)型
小栗隆一,20,駆け出しの西洋画家,極(オメガ)型

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

極(オメガ)というのは、匂いだけではなく、唾液まで甘いんだね?
帝都東京――駆け出しの画家の小栗は、極(オメガ)であることを隠して生きている。
ある日、編集の紹介で天才小説家として有名な夏目と出会うが、ひと目見るなりオメガだと気づかれる。
実は鋭(アルファ)だった夏目に会うたび体から堕とされ、絶え間なく喘がされる小栗。
強制発情させられ悦ぶ体にとまどうが、幾度も果て快楽に溺れるなか、次第に夏目に惹かれはじめ…?
話題の小説新人賞受賞作が書籍化!

作品情報

作品名
アンドロギュノスの夢
著者
谷村二十円 
イラスト
駒城ミチヲ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイSLASHノベルズ
発売日
ISBN
9784799743409
2.6

(16)

(2)

萌々

(2)

(4)

中立

(5)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
35
評価数
16
平均
2.6 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数6

情緒的で、肌で感じられる作品

情緒的で読み応えのある素晴らしい作品でした。
大正時代の空気、まだ舗装されていない道路の埃っぽさ、着物の肌触り、畳の部屋、木の本棚、紙の手触り、インクの匂い、そういうものが感じられて、作品の世界に入り込むことができました。
自分の片割れと出会ったときに抗えず肌を重ねてしまう強い運命の力と、その運命を受け入れるまでの心境の変化、さらには自分の母親との関係まで、主人公の心の葛藤がよく描かれていると思いました。
えっちシーンも肌を伝う汗まで感じ取れるような描写で、とてもよかったです。

4

時代にどっぷり♡

時代考察がすごいなぁと思いました。
空気感がたまらなく好き!!
内容は好き嫌いがハッキリ出るかもしれませんが、私は大好きでした。

今後も応援したい作家さんです!!

3

なんか、ずっと主人公が攻めにピリピリしてる

アンドロギュノス(半陰陽)をテーマとした、大正時代オメガバースです。
エブリスタBL合戦大賞受賞作です。

率直な感想ですが、雰囲気を楽しむ作品かなぁと。
表紙からお察しの通り、耽美的な世界観なんですよ。
物静かで秘密を持つ小説家(攻め)に、自身の生まれ持った身体に苦悩する主人公、そして仄暗く淫靡な情交ー。
えーと、美しくてどこか浮世離れしていて、エロいと言うよりは艶っぽいと言いたくなる雰囲気で。

う~ん・・・。
ただ、ストーリーとしてはこれと言って強く惹き付けられる部分は無いと言うか・・・
こう、ギリシャ神話なんかをモチーフとして、半身(互い)を求め合う二人と言うのを書きたかったんだと思うんですよ。
ただ、そこにたどり着くまでが、自分の気持ちを認める事が出来ない主人公が、攻めを延々と拒否し続けると言った感じなんですよね。(でもエッチはする)
なんか、ずっと主人公が攻めにピリピリしてるなぁと。

私の読解力に問題がありそうな気もしますが、読んでいても、何故そこまで頑なに結ばれる事を拒否し続けるのかよく分からない・・・。
正直、なんかイライラする。
だって、攻めにぶつけ続けている主人公の「怒り」って、要は八つ当たりじゃね?
いや、作品を深く読み込める方には、主人公の気持ちが理解出来るのかもしれないですけど。
とりあえず、私にはイマイチ分かりにくくて共感出来ませんでした。


内容ですが、天才小説家・夏目(α)×駆け出しの画家・小栗(Ω)による、大正時代を舞台としたオメガバースです。

自身が極(Ω)だと言う事を隠し、駆け出しの画家として生きる夏目。
売り込みに行った出版社で、有名小説家の夏目を紹介されるんですね。
しかし、実は鋭(α)だった夏目に自分が極だと言う事をアッサリ見抜かれ、しかも本能に導かれるまま、身体を重ねてしまう・・・。
快楽に支配されてしまう夏目との関係に反発心を抱くものの、次第に彼自身が気になりはじめー・・・と言うものです。

今作でのオメガバ設定ですが、昔から存在した半陰陽(アンドロギュノス)が、実はオメガだったと言う斬新なものになります。
で、驚きなのが、オメガだけでは無くアルファもまたアンドロギュノスだったりする事。
ただ、オメガの場合は妊娠・出産出来る事からアンドロギュノスと分かりますが、アルファの場合はその機能が無い為、アルファ(アンドロギュノス)だと分からない場合が多い・・・って感じでしょうか。

で、極と鋭として出会ってしまった二人ー。
二人は会う度に、抗いようもない衝動に襲われて抱き合ってしまうんですね。
で、この絡み描写なんかがすごく艶っぽいのです。
えーと、同じエロでもカラッと明るくてスポーツを見てるみたいな作品もあったりするんですけど、こちらは仄暗くて、なんか見ちゃいけないものを見ちゃったみたいな、アンモラル的と言いますか。
また、レーベルがレーベルなので、エロ多めですし。
口では「いや・・・っ!」とか抵抗しつつも、どうしようもない快楽に翻弄されてしまう小栗が、めっちゃ色っぽかったりして。


ここから、本能に抗えない自分の身体に、やるせないものを感じる小栗ー。
嫌悪している産みの親と自分の姿が重なり、そんな風に自分を変えてゆく夏目に強い苛立ちを感じるんですね。
そんな中、夏目の体調の異変に気付きー・・・と続きます。

これ、今作でのキモとなるのが、モチーフである「アンドロギュノス」になると思うんですけど。
ギリシャ神話のですね、頭が二つで手足が四本づつあって、ゼウスによって二つに分けられてしまった古代の人間。
元々二人で一つの存在だった彼等は、自分の半身を常に求め続けているー。

オメガもアルファもアンドロギュノスである今作では、彼等はセットでそれぞれが半身なんですね。
そのため、自分の半身であるオメガと巡り会えなかったアルファは、年と共に精神が不安定になり、最終的には発狂してしまうー。
で、既に夏目にはその兆候が表れていて・・・と言うのが夏目の異変の真相で。

これ、元々二人は一つの存在で、互いに惹かれ合うのは運命だったと持って来たかったんだと思うんですけど。
実際、とってもロマンティックで素敵ではあるんですけど。

ただ、オメガ=半陰陽は良いとしても、アルファ=半陰陽(アンドロギュノス)は強引に持って来すぎな気がしますよ。
だって、そうなると「アンドロギュノス」の定義自体がよく分からない・・・。
いや、そういう事では無い、もっと深い意図があるのかも知れないけど。

また、静かな情熱を持って小栗を求め続ける夏目はいいんですけど、肝心の小栗に共感出来ないんですよ。
親(産み捨ての淫乱オメガ)の件で自身のオメガ性を受け入れがたいのは理解出来るんですけど、やたら夏目に喧嘩腰で噛みついてばかりなのにウンザリしちゃうと言うか。
それ、八つ当たりじゃないんかなぁと。
穿った見方をすれば、二人がくっつく瞬間を劇的にするために、わざと屁理屈こねくりまわして小栗に夏目を拒否させ続けてるみたいな。
だって本当に、拒否し続ける理由が良く分からない・・・。
いや、私の読解力の問題の気もするけど。

とは言え、モチーフの「アンドロギュノス」と、オメガバ設定での目の付け所が面白いなら、作品全体の雰囲気もとても好み。
あと、基本的にエロ好きですので、エロエロなのも楽しくて。
そんなワケで、「萌」評価です。
う~ん・・・。
情緒が豊かで作品を繊細に読み込める方向きじゃないでしょうか。

11

オメガバースというよりはJUNEっぽいと感じた

2019年刊。

はぁ、読むのに苦戦した一冊だった…(;´Д`)

オメガバースというと発情によって理性では制御できない本能ってのが剥き出しになるイメージを持っているのだが、今回はそんなインパクトが薄い。
どうもね、キャラ萌え、シチュエーション萌えから物語に入っていけずに手間取ってしまった。

読む速度が停滞して困っていたが、途中で何故だか「これってオメガバースじゃなくてJUNEっぽい世界観のほうに嵌りそうじゃね?」って閃いた。
(あくまでも、自分が勝手にそう感じただけ)

と言っても、申し訳ないが自分にはJUNEとBLの違いを明確に答える事は出来ないのだが…
ただ、かつてのJUNEって、物語が訴えたいものを抑圧して溜め込んだパワーで読み手を惹き付けるってイメージがあり、この話が攻め受けの感情の起伏を抑えているふうに感じた事からそう思ったのかもしれない。
大正時代が背景にあるが、浪漫よりも斜陽な感覚を覚えたせいかも知れない。

タイトルにも有るギリシャ神話由来のアンドロギュノスの物語については興味深いものがあるが、この言葉からは通常は両性具有(ふたなり)を連想しがちだ。
多分、オメガバース設定にも引っかけて魂が渇望する程に半身を求める意味が込められているかと思うのだが、とてもそこまで昇華しきれていない気がする。

極(オメガ)の小栗の自我を構成するのは父であり産みの親でもある操への嫌悪だと思う。
また、夏目に惹かれてるのは身体が求めているからではなく、彼の才能に惹かれているからと強く思い込んでいる。
一方の夏目からは、鋭(アルファ)の魂から小栗を欲しているのは伝わる。
ここまでは明確に分かったものの、全体的に作中の二人に熱を感じ取れず、感情移入できないまま読み終えたのだった。

5

大正時代のオメガバース?

投稿サイトの作品を加筆修正したとのこと。攻め受けとも「好き!」と感じられなかったため、中立です。本編210P+受け視点のあとがき3P。大正時代が好きな方やオメガバースがお好きな方には良いのかも。

新聞社に自分の絵を売り込んだ小栗。運よく目に留まり、小説家の先生を紹介してもらったのですが、出会ったその日に「半陰陽・・?」と気づかれ・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
瀧(編集者)、操(受け母♂)、医者、その他ちょい出の方々。
瀧はともかく操がもうちょっとなんとかならなかったのか・・・

**より内容に触れる感想

攻めの性格が今一つよく分からず。名家の養子であるが故に、結婚相手も見繕われているような方。人生を諦めているのでしょうか?医者の言う通り、鋭(アルファ)の対となる極(オメガ)が見つからないと精神的にまいって短命になるかもということなのでしょうか?
なんとなく人物像がはっきりしなくて、なにかビビッとくる萌ポイントも無かったでした。
まあ分かりやすいテンプレのスパダリにしてくれりゃいいって訳でもないのですが。

受けは極(オメガ)ゆえに酷い目に遭う前にと故郷を飛び出してきている頑張り屋さん。絵で身を立てようなんて、ほんまよう頑張るなあ・・・です。きっと心細いことが多数あったろうに、気丈な様子、振舞いでした。健気という印象は薄く、気の強い、自ら切り開くぞ!という頑張り屋さんの印象の方が強かったです。分かりはしたものの、そんなに好きなタイプでもなく。ちょっと意地っ張りすぎたかな。

攻め受けとも萌のツボに入らず、訳の分からん魔性タイプの操も出てはきたものの結局どうなったんよという点が気になりました。時代設定等一生懸命書いておられる気はするのですが。残念。

2

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