小説

  • 獣人王のお手つきが身ごもりまして

獣人王のお手つきが身ごもりまして

juujinou no otetsuki ga migomorimashite

  • 電子専門

表題作獣人王のお手つきが身ごもりまして

ゼクシリア、デルバイア(獣人国)の王、30
ロイ、城で働く従僕、17

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

俺の唯一無二

恋愛結婚、そして家族に憧れを抱く城の従僕・ロイ。だが舞踏会の夜、獣人の国の王・ゼクシリアに見初められて一夜を共にしたことから…

見た目はいいものの要領がすこぶる悪い城の従僕・ロイは、年齢による退職というタイムリミットを迎えようとしていた。遠ざかる憧れの恋愛結婚。だが舞踏会の夜、獣人の国の王・ゼクシリアに見初められ事態は一変する。お前が私の妃だ――凍るような青の瞳が甘く微笑む。姿絵を見て以来、心乱されていたその人。孕む心配のない自分だからこそ選ばれたお妃ごっこ、心ない相手に嫁ぐくらいならと、ロイは一夜の夢に身をゆだねるが…?

作品情報

作品名
獣人王のお手つきが身ごもりまして
著者
稲月しん 
イラスト
柳ゆと 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレードパール文庫
シリーズ
獣人王のお手つきが身ごもりまして
電子発売日
4.3

(42)

(25)

萌々

(12)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
181
評価数
42
平均
4.3 / 5
神率
59.5%

レビュー投稿数3

絶妙すぎる誤解による、爆笑もののスレ違い劇です

こちら、主役二人の認識のズレによる行き違いが大変楽しい、両片想いものです。

これ、あらすじから想像する内容と、かなり違うと思うんですよ。
ごくごく普通の、ほのぼの甘々妊娠ものかなと思ってたんですよ。
ところが、これが誤解が誤解を呼んで、これでもかとズレてゆく爆笑もののスレ違いもの。
もう、やる事なす事裏目に出ちゃう攻めが、気の毒で気の毒で仕方ないんですけど。
そして、絶妙な誤解を重ね、神回避で攻めの手をすり抜けてく受けに、爆笑しちゃうんですけど。
ゼクシリアよ走って! ロイの元へ!!

内容ですが、獣人国の王・ゼクシリア×城で働く従僕・ロイによる、誤解によるズレが爆笑ものの両片想いものです。

容姿は美しいものの、要領の悪さが目立つ城の従僕・ロイ。
絵姿で見た獣人国の王・ゼクシリアに憧れを抱いています。
で、花嫁探しに訪れたゼクシリア一行を招いての舞踏会で、ドア係をしていたロイ。
ゼクシリアから見初められ、熱い一夜を過ごす事になるんですね。
甘く優しい時間に喜びを感じるものの、これはゼクシリアがこの国に滞在する間だけの期間限定の関係だと思っていてー・・・と言うものです。

まずこちら、キモとなるのが二人の誤解によるズレじゃないでしょうか。
獣人ですが、本能で自分の「番」が分かり、その相手と言うのは一度出会ったら抗いようが無く惹かれてしまうものなんですね。
ゼクシリアにとってロイがその「番」で。
実は二人は10年前にも出会っていたものの、その後行方が分からなくなってしまったロイを、ゼクシリアは探し続けていたと言う経緯もあったりして。
で、やっと再会出来たロイをもう離さないとばかりに情熱的に抱き、浮かれまくるゼクシリア。

こちら、両視点で進むんですね。
ゼクシリアにとっては魂で求めあう番ですが、人間であるロイにはその本能が薄かったりします。
で、従僕でしか無い自分の身分から、旅先での「一夜だけの甘い思い出」の相手でしか無いんだと思い込むー。

これ、とにかく二人の誤解が絶妙なんですよ。
自分の国に(当然)連れ帰るつもりで「明後日は帰国だ。別れを惜しむ事もあるだろう。(知己に)手紙をしたためておくといい」とゼクシリアは告げる。
すると、「ああ、陛下は自分宛ての手紙を書けと言ってるんだなぁ。異国での一夜の恋を綺麗な思い出にするために」とロイは解釈する。
また、「いえ、手紙は・・・」とロイが遠慮すると、「もう(ロイは)この国には帰れないかもしれない」と心配するゼクシリア。
その言葉を聞き、「(ゼクシリアが二度と訪れなくても)思い出だけで充分です」と別れを覚悟するロイ。
健気なセリフに、いくらでも甘やかして幸せにすると、強く決意するゼクシリアー。
えーと、何だろう・・・。
気の毒ながら、もう笑えちゃって笑えちゃって。
二人の認識が180度ズレてるのに、よくもまぁ、これだけ上手い事会話が噛み合っていっちゃうもんだよと。

で、この後、ロイを連れ帰るために城での仕事を辞めさせるよう、彼の上司に告げるゼクシリア側。
すると、「(解雇するように告げられたので)一体何をしでかしたんだ」と、ロイを城から即刻追い出そうとする上司。
「ああ、陛下の膝の上で朝食を食べたのが、不興をかったんだろうか」とか思い悩みつつ、城を去るロイー。
ひとまず叔父の家に行き、そこから異国に滞在している両親の元へと出発するんですね。よりによって船で。
で、ロイの出発直後に叔父の家に追い着くゼクシリアー。
誤解に気付いて追いかけるも、一足遅かったよって感じで。

と、こんな調子で、ここからは見事なスレ違いを発揮しての追いかけっこ。
ロイの向かったリーズ王国に追い着けば、ロイは何故か自分の国デルバイアに出立していててな具合で。
必死で追い掛けるゼクシリア、可哀想・・・。
そして、ロイの神回避がすごすぎるがな。

そもそも、彼は溢れんばかりの愛を真っ直ぐぶつけてるだけなのに、もうやる事なす事裏目に出ちゃう気の毒過ぎる攻めなんですよ。
10年前の出会い時だって、誠意を見せようとしつこく通い、経済力をアピールしようと贈り物をしすぎたせいで、ロイの両親に気味悪がられて行方をくらまされてるし。(ロイはまだ幼かった為、この事実は知りません)

こう、こんな感じの細かいネタがアチコチにブッ込まれていて、二人のズレを余計笑わせてくれるんですよね。

と、このスレ違い劇に最初はゲラゲラ笑い、次第に焦れて焦れて仕方がなくなるー。
で、読者が爆発しそうになる寸前で、ようやく再会して解ける誤解。
いやもう、誤解が解ける瞬間に、こんだけ滾る作品ってそうそう無いですよ。
カタルシスを得ちゃいましたよ!!

あと、タイトル通り、妊娠ものになります。
この妊娠も、二人のズレに一役買っちゃうのがまた面白い所。
いやもう、全てに無駄がない!!

と、個人的にめちゃくちゃツボの萌えまくる作品でした。
笑えるだけで無く、最後はしっかり二人の愛に感動させてもらえる所も、また最高でした。

21

切なさとコメディのバランスが秀逸

とても面白かったです。
タイトル通り受けが妊娠出産するので苦手な方もおられるかもしれませんが、
妊娠はするけど出産は特殊な方法を使うので大丈夫だと思います。

言葉が足りず突っ走ってしまう攻めと天然で優秀とはいいがたい受けのすれ違いです。
それぞれの視点で語られるので、すれ違い具合がとてもよくわかります。

<あらすじ>
舞台はシャウゼ王国。
城で従僕をしているロイは適齢期を迎え、恋を知らないことに少し焦りを感じていました。ある日、同僚の女性から見せてもらって隣国デルバイアの王・ゼクシリアの絵姿を見て衝撃を受けます。
これが恋だと確信したロイですが、相手は隣国の王。絶対に望みはないと思いながらも絵姿のロケットを買い、肌身離さず持ち歩ています。
そんな中、ゼクシリアが諸国漫遊でシャウゼ王国を訪れ、何故かゼクシリアの伽をすることになるのです。
身分差を考えると滞在の間だけの関係だろうと思われますが、それでもせめて思い出を貰えるならと喜びます。
数日中に出国してしまうゼクシリアのことを寂しく思っていると、突然ゼクシリアからの要請だと宰相からクビだと告げられます。
傷心のロイは叔父にいわれるまま他国に住んで薬師をしている両親の元へと出立することにし、再会した両親に自分が妊娠していると告げられます。
妃として国へ連れて帰るつもりだったゼクシリアはロイがいなくなったことを知り愕然とするのです。


二人のすれ違いが絶妙です。
ゼクシリアと言葉が少し足りないためことごとく曲解してしまうロイの会話は切ないのにコメディで、逃げるロイを追いかけるゼクシリアの場面ではシリアスとコメディが交互にきて飽きさせません。


デルバイアは獣人の住む国で、皆獣の二つ姿を持っていてゼクシリアの二つ姿は狼です。
獣人には魂の片割れ・番という存在をもつものがあり、番持ちといわれます。
そして、力の強い獣人ほど番を求める傾向にあります。
ゼクシリアの番はロイだったのです。

いつ会えるかわからない番を探し求めていたゼクシリアは20歳でロイに出会います。歓喜したのもつかの間、相手はまだ7歳。普通に見たら変態。
そのうえ、人間である両親に番というものを理解してもらえない。
嬉しさのあまり速攻両親に嫁に欲しいと言ってしまったことが失敗の始まり。
自分の経済力をアピールするため贈り物攻撃をしたり、陰から見守るだけと約束したりするのですが、怖がった両親に逃げられてしまうのです。
まもなく父王が亡くなったこと捜索を中止し、やっと近年捜索を再開することができたのです。

男性同士の番の場合でも獣人の力が強いと、まれに妊娠することがあります。
滅多にない上、優秀な子供であることが多いため宝玉と呼ばれとても大切にされます。
が、男性には子宮にあたる器官がなく母子ともに危険な状態となるため、早い時期に鳥類の獣人の卵の中に托卵して双子となって生まれるという特殊な方法をとらなければなりません。


ロイのパートは常に切なく、妊娠のため体調不良もあってシリアス展開ですが、ゼクシリアのパートは常にコメディタッチでした、
ゼクシリアをはじめ側近たちも言葉が足りないこともあり、シャウゼ王国側から誤解されていて思うように捜索は進まないし、追いかけてもいつも既に移動した後でタイムリミットが迫っているのに一向に追いつけない。
笑ってる場合じゃない状況なのに笑えて仕方ありまん。

やっと、再会した際には喜びすぎて服を構築するのを忘れ全裸で抱きつき、ロイの母親に殴打され牢屋に放り込まれるゼクシリア。そしてまた逃げられる。
大陸一の国の王様なのに!
ロイが探しに戻りますが既に脱獄の後。心配するロイに母親が一言「最強に近い男だぞ。警備兵の心配をしてやれ」やはり笑ってしまう。
ロイ似の可愛い外見に似合わない豪胆な母親と熊のような外見なのに繊細な父親。
「変態狼」「馬鹿狼」と母親と言われるゼクシリアには笑えます。
大きく誤解していたとはいえ、息子が獣人が番だとわかるや、まれにあるという妊娠した際の母体の危険などきちんと調べ、その場合の準備をきちんとしてきた両親の愛の深さには脱帽です。彼らの準備がなければロイは母子ともに命の危機に陥ったことでしょう。


完全に二人の視点で物事が進むので二人の気持ちがわかる反面、他の人がどのような状態だったかがわからないのがちょっと残念でした。
ロイが絡むと優秀な王であるはずのゼクシリアがかなり残念な男になってしまうのです
が、これを周りの人たちはきっと呆れつつあたたかく見守っていると思われます。
それでも、逃げたロイを追跡していた時は周りに抑えられていたとはいえ獣姿で走り回ったりと人間の国でかなり無理をしたので、きっと大騒ぎになったに違いありません。側近たちがフォローするのにきっと大変だったことでしょう。
そいういったところも読んでみたかったと思いました。
とても楽しかったので、ここで終わるのがちょっと惜しい、もう少しこの二人の話を読みたかったです。


10

可愛いお話!

番の受をずっと求めていた王様という
ものすごく偉い立場のハンサム攻と、
身分の違う可愛らしい受……。
こういうの好きなんですよね……。

受に執着する王様が可愛くもありました。
無事、子どもちゃんが生まれたのですが、
その後の話ももう少し読みたかったです。

個人的評価
ストーリー ★★★★☆
登場人物 ★★★★☆
エロ度 ★★☆☆☆

あらすじと神評価の高さを見て、
ほしい! 絶対に手に入れるぞ!
と意気込んで書店で探しましたが、
見つからないではないですか……。
そしてよくよく見ると、電子専門の文字が……。
無事、サイトで購入できました。

3

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP