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転生先は物語の悪役公爵!? 400万PV越えの人気WEB小説が書籍化!
おきれいで予定調和な話は飽きたというお姉さま方におすすめ
本作の魅力は他のレビューに書かれている通りなので、注意点を。
受は転生前の学生時代、家庭の事情で夜に家を抜け出していたときに知り合い関係を持った年上のお姉さんとの思い出をかなり大事にしています。
情熱的に愛しているというわけではありませんが、折に触れて彼女のことを懐かしく思いだし、四面楚歌な状況の唯一の心の慰めにしています。
攻めと結ばれた(?)後もそれがちらちらと出て、私は結構地雷だったので、苦手な方はご注意ください。
そして結末を先に知り、心構えしておきたい方に。
結末をネタバレします。
受の目的は、本来の小説の通りにことが進むこと(悪の根源である自分と王が討ち取られること)と、小説の中で自分が傷つける人々を助けることでした。
目論見はほぼうまく行き、自分が犠牲者をだすことはなく、クーデターは進んでいきます。しかし、それにより攻に愛されるようになります。そのため、クーデターでは王のみが殺され、受は生き延びます。
受はそれでも自分の罪は消えないし、死にたいと思うのですが、死に行く王に言われた言葉が新たな呪いとなって受を縛ります。
曰く、残されたものの気持ちを考えろと。
攻もそれに追い討ちをかけるようにあなたが死ねば俺も後を追うと脅し、受は攻を死なせないために、攻とともに生き続けることにします。
つまり、受は救われないんですよ。罪を償って死にたい願望があるまま、そうすると新たに人を傷つけることを実感しできなくなってしまった。それが新しい呪縛となって受を捕えてしまったんです。
そんな受を、そうとは気付かずただただ攻は受を可愛く愛しく思い、共に生きていく。そんな最後です。(番外編で気付きます。)
あと、あくまで個人の解釈ですが、二人が結ばれた(?)あとも、受は恋愛感情をあまり持っていないように見えました。体を許していいくらいの友愛、親愛を持っている感じ。(攻めはベタぼれの甘々です。)
個人的には、このラストはとても納得いくというか、無理がない内容だと思いました。人の考え方はそう急激には変わりませんから。
なにもかも最後にはきれいにうまく行きました!な話ももちろん好きなのですが、「まぁそうだよね」と思える本作のラストも好き。
良かったー。くっそ良かった。
難を言うなら、電子の書き下ろしがいらんかった。ってゆか、無い方がものすごく好みだった。でも、あれがあるかないかでめちゃくちゃ変わってくるのは分かります。
結局最後はハピエン。ってエンドにいつも肩透かしをくらってしまう癖を持っているのでこれは最後まで昂ったまま終わらせることができてもうとにかく幸せです。作者様ありがとう。
これは読んだことのないタイプの不憫受だな!って思うんですが、これを転生だと考えると前世の業を背負って生きてる。って事になるのかな。って。。
辛い。もう本当辛い。生きるのが辛い。
それでも楽になるのは許されないのですよね。
蛇足になるかもしれんけど、悪逆貴族の主である王視点の話が読みたいです。
二人の間にあったものが読みたい!
死んだあとに物語の中の悪役になってしまった~系のお話です。
いわゆるテンプレ小説なのですが、それだけに個性が際立つっていうのありますよね。
この小説の場合は、
1、主人公(受け)様が元々事故に見せかけて自殺をした人だった
2、悪役になった!悪役らしく振る舞って悪役だと思われたまま終活して死のう
これが面白いなって思うポイントです。
1番は、事故死で死にたくなかったけど死んだ、でも未練もない~って主人公が多いから。そしてこの設定が作中の主人公のメンタル・行動に「なるほどな」って思わせてくれるから。
2番は、多くの作品だと「主人公が変わって周りの人が見直す」「関係改善」みたいになるから。
(結局攻めのクレイグとは「主人公変わったと思われた」「関係改善(?)した」なのですが、主人公サイドの気持ちの持ち方で悪役的に振る舞うっていうのがいいなと)
苦手なのはその主人公のメンタルで、ちょっとメンタルが痛々しく鬱だったり病んでる系なところ。展開がシリアスなのは好きなのですが、メンタルがじめじめだったり痛々しかったり昏い感じなのが長く続くと個人的にはちょっと辛くなってしまう…。
あとは、私は平気なほうなのですが「過去の女性関係描写」「女性関係に起因するあれこれ」という要素があります。
おまけの萌えポイントは悪逆非道の王様と元々のハインレイドの関係性です。
よき。
ぶっちゃけそこに一番萌えてしまったかもしれません。
今まで読んだことがない展開でした。
現世で死んだら大好きだった小説の悪役貴族になってて。なんというのか悪役貴族ハインレイドに乗り移った感じ?前世の記憶もハインレイドの記憶もあって。
物語を破綻させないよう、でも被害を最小限にするよう、しかもそれを悟られないよう頑張るハインレイド。
死ぬはずだったのがなぜか護衛騎士クレイグに生かされ…。クレイグがハインレイドを好きになるところがちょっと納得いきかねました。
ここからが苦しかったです。
前世と現世の記憶と人格が両方あるハインレイド。しかもクレイグが生かそうと、苦しみから救おうとしてくれる。それを素直に受け入れればハッピーエンドなのに…。
もう絶望しました。絶対に幸せになれない、なんなら死にたいハインレイドと、彼にすっかり手玉に取られてたことを知ったクレイグ。
後味はあまり良くなかったです。
罪を背負い続ける受けとそんな受けでも離さない攻め。
死ぬことが解決にはならない、残された方はたまらないことを実感しました。
小説世界の残虐非道な人間に転移してしまった普通の青年が
「終活」ならぬ小説の顛末通りに死ぬ役どころを成就させようとする。
悪逆ぶりが陰ったものだから敵役の人間にうっかり疑念を抱かれる。
偽物ではない。しかし本人でもない。
記憶かそれともかつて読んだ本の情報か。
自分でありながら他人でもある。
しかしこの世界では自分の「終わり」は定まっている。
自分でない誰かを演じて死ぬ という自虐!
このジレンマと描く文章の明るさが何処と無く乖離しているのが気になりつつ 本編を読み終えた。
しかし。
この作品の恐るべき本領は後日談にあった。
むしろBL作品的にはこの後日談の方こそふさわしい!
気になった方はその目で確かめて欲しい。
この作品 一筋縄でない。