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表題作この手の先に…

朝比大,宝飾関係イベントやリフォームする会社勤務
佐倉波人,磁気印刷などを扱う印刷会社勤務

その他の収録作品

  • ただ一つの手だから

あらすじ

佐倉波人は、毎朝エレベーターで挨拶を交わす名も知らぬ「彼」に、密かな好意を抱いていた。だが、過去に、告白がもとで初恋の相手との時間を失った佐倉は、好きな相手であるほど深入りできない。そんなとき、後輩から告白されたことをきっかけに、彼との距離が急速に縮まってしまう。彼からも強引に告白された佐倉は、彼の名が初恋の相手と同じであることを知り…?

作品情報

作品名
この手の先に…
著者
火崎勇 
イラスト
佐々成美 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
ラピス文庫
発売日
ISBN
9784829654033
2.3

(3)

(0)

萌々

(0)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
5
評価数
3
平均
2.3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

心の傷を癒せない弱さ…佐倉という男

元々は2000年に発表されたという作品。
リーマンものです。

主人公は、磁気印刷の会社に勤めている佐倉。
この佐倉が、なんというか…
非常に臆病というか、消極的でネガティブな性格なのです。
毎日に変化がないのがいい。変化は自分を傷つける…
なんていう調子で全てを考えている。
そうなったのは過去のトラウマ。
ならそれがどんな酷い事柄だったのかと思えば。
なんの事はない、中学時代に毎年参加していたサマースクール、そこで出会った同い年の少年に仄かな想いを抱いた。相手の子も好きだと言ってくれて淡い淡いキスをして、来年もまた会えると思ってたのに彼は来なかった。手紙を出しても返事をくれなかった。
自分は捨てられたんだ、忘れられたんだ…
もう誰にも心は開かない、自分の心を動かさない…
そんな感じで。
なんだか。あまりにも気弱というか。引きずりすぎだなぁとあまり共感できず。

そんな彼の毎日に変化が!
…という物語です。
毎朝エレベーターで会ういい男。彼の方が積極的に佐倉に近づいてくる。
佐倉は変化を恐れながらも、心を奪われていく。
そして知った彼の名前に驚愕する…!

コレ、逆にTVドラマかなんかで見る方がメリハリも効いて面白いような気がする。
小説だと何ともわざとらしいというか、韓流ドラマの粗筋みたいになる気が。
ともかく、ネガティブな佐倉が過去から来る不安などを乗り越えて前向きに強くなれる、というお話です。

「ただ一つの手だから」
こちらも佐倉視点。
ただし、強引なほどの強さで佐倉を恋人にした相手の男の方も思いがけない弱さを見せる、というエピソード。
今度は佐倉の方から歩み寄る。随分と強くなった佐倉の姿です。

0

前半は良かったのに

2000年発行エクリプスロマンス(イラスト・円陣闇丸)をCD付きの新装版にされたものです。どちらも佐倉目線で話は進みます。

「この手の先に…」
全体の5分の4を占めています。
佐倉がエレベーターで知り合った朝比と両想いになるまでの話。

「ただ一つの手だから」
恋人になってからまだ初々しい二人。ふと塞ぎこむ様子を見せる朝比を心配する佐倉の話です。おそらく二度目となるエッチの話。

エレベーターで知り合い、後輩の告白を断った屋上で互いの名前を知り、キスをされて付き合うようになるまでの前半部分は良かったです。

しかし、後半部分がだるく感じました。

初恋の人「ダイ」であるはずが、朝比の名前は「マサル」だと知り、別人に騙されたのでは佐倉は悩みます。

しかし、本名はマサル(大)で、ダイはあだ名だと何故すぐ思わないのかが不思議で、ぐるぐる悩んでいる様が鬱陶しかったです。なので、私は朝比と初恋の人は同一人物だと思ってました。

しかし、実は「ダイ」は朝比マサルの双子の弟。二人とも「大」を書いて読みが違うとの話でした。ですが、同戸籍内では同じ漢字は読みが異なっても役所で受付されないと聞いたことがあるので、とても違和感を覚えました。

どうせなら、朝比も同じ「ダイ」読みだけど、漢字は違うという方が良かったのでは。その方が、続編で「呼ばれても俺かダイか分からない」「なら、辛党さんと呼びます?」というようなやり取りもできて面白かったんじゃないかと思います。

しかも、その佐倉の悩みを打破するために動いたのは、佐倉にフラれた後輩・宇都宮。人任せでなく佐倉に行動して欲しかったです。

CDの声は小西克幸さん。屋上での場面の朗読(8:50)と、キャストトーク(6:12)という内容でした。

1

「辛党さん」はないっしょ!?

ラピス文庫→f-LAPISへリニューアル記念、ボイスノベルCD付です。
同時発売の他2作もCD目当てに買ったのですが、
火崎さんのこの作品が一番ストーリー性あったかな?
それでも物足りない感はあるんですが...

ラピス文庫のイメージとして、ストーリー無しのエロメインって
感じなんですが、この作品に関してはストーリー重視でエロ薄め。
でも、そのストーリーが先読めちゃって、
何で気付かないかなぁ~佐倉君よ~!?って思っちゃうんです。
しかも、超内向的でウジウジな性格。
そんな彼に惚れた健気で一途な後輩ワンコの宇都宮と、
強引でワイルド系な明比。

そんなイイ男2人が佐倉にベタボレな理由がいまいちピンとこない。
女々しくて、ネガティブで、優しいだけがとりえのような人で...
自分のことを好きだと言った宇都宮を振っときながら、
明比とのことを相談したり、でも結局自分からは動かなくて
宇都宮のヘルプのおかげでやっと動き出すって感じ。
後日談の『ただ一つの手だから』でも、またしても宇都宮の後押しが
あってから重いケツあげるようなやつで...ん~情けない!!

それに、イイ年した男が自分の手を“ぽややんとした手”って言う!?
女でもそんな恥ずかしい言い方しないって~
ストーリーの冒頭からそんなセリフ聞いたもんだから、
何かにつけて冷めた目で見ちゃいます。

さて、ストーリーですが...
毎朝エレベーターで会う彼は、過去苦い思い出の残る初恋の彼だった。
でも、彼から真実を聞いて誤解だったと知る。
そして、付き合うことになった2人ですが、彼はまだ何か隠してるようで
そんな彼に不安でたまらない佐倉。
振った後もまだ自分を慕う後輩の宇都宮に支えられながら、
本当に隠された真実を知ることになるのですが...

真実と言っても、読んでたらすぐわかるぐらいの事実でした。
予想通りな展開でも楽しめる作品もあると思うのですが、
これに関してはただ物足りない感が残るのみです。
佐倉のネガティブ思考も読んでて疲れるし...

最大の失笑どころが、お互いの名前を明かさず2人だけの秘密の名前で
呼び合おうって話になるんですが(←そもそもこれに苦笑)
佐倉→「青」、明比→「辛党」なんです(笑)
明比が辛党だから「辛党さん」って...
シリアスな場面でも「辛党さん」って連呼するから笑える笑えるww
こんな感じで、ラストまで萌えどころなく、イタいお話でした~

0

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