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表題作アルファの園の、秘密のオメガ

ジェラルド、変わり者のアルファ 学生
レスリー、自立を夢みる青年でオメガ、17

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

Ωの保護区ルーシティ島。Ωの自立を夢見るレスリーはαとの見合いを拒んで強制発情させられ、島に侵入した変わり者の美しいα、ジェラルドと事故のようにつがいになってしまう。レスリーは絶望するが、ジェラルドはレスリーを支配するどころか従順なほど甘い。αこそつがいに執着するらしいと気付いたレスリーは彼を利用し、彼の通うパブリックスクールに性別を偽り編入する。だがそこはαとαが愛し合う予想外の世界で――。

作品情報

作品名
アルファの園の、秘密のオメガ
著者
一滴しぃ(Si) 
イラスト
松尾マアタ 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778127756
3.5

(8)

(1)

萌々

(3)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
27
評価数
8
平均
3.5 / 5
神率
12.5%

レビュー投稿数3

アルファを飼いならす

マアタ先生の挿絵狙いで購入。帯に「まずはこのアルファを飼いならそう。オメガの自由のために。」とあるのですが、そのセリフ通り、オメガの解放に向けて頑張るお話でした。闘うオメガに興味を持たれた方や、パブリックスクールものがお好きな方は良いのではと思う本編280pほど+あとがき。もう一押し欲しいなあと思ったので萌にしました。

もともと才能あふれる子だったレスリー。いつか番のアルファがいなくても、世に出て一人前に活躍できるのではと考えていましたが、パブリックスクールには入学させてもらえず、アルファとのお見合いを勧められる日々。断り続けていたら大晦日のパーティの日に発情誘発剤を打たれてアルファに引き合わされそうになり、なんとか逃げ出します。抑制剤を手に入れるべく忍び込もうとしていたら、アルファの男から声をかけられ・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
セオドア・モートン(攻めの幼馴染、α)、ギデオン・クリーブランド(次期執行部総長の有力候補)、サイモン・クロフォード(セオドアの恋人、β)、攻めの両親、その他スクールの生徒複数。ファミリーネーム呼び、ファーストネーム呼びがあってちょっとだけ混乱・・皆さん、平気なのかな。

***良かったところ

産まれてオメガと診断くだれば親元から引き離され、ある島で皆さん成長する。そしてアルファと見合いをして番にならなければ島を出られない。番を解消されるとまた島に戻るという、おいなんだその鬼畜設定は!と思う酷さ。
そんな世界で、持って生まれた才能を最大限生かし独り立ちしたいと頑張るのが受けのレスリー。向上心あるし、すごく気が強い。

かたや攻め。アルファのくせに最初、ぬぼーっとしたワンコで、ええー勿体ないとつい思ってしまう身だしなみのルーズさ。それを番になったレスリーがああだこうだと磨き上げ、ぴかぴかにしちゃうんですよね、ここ好きでした。世話焼き母ちゃん状態の受けさん。

なんだかんだあってすれ違って、最後の方で、受けが色々攻めの部屋から自分の部屋に物をもちこんで巣作りするところも嬉しかったです!好きなんです、巣作り・・最初の方は可愛くテディベアだったのが、だんだんひどくなって脱いだばっかりのパジャマとか!そんなに恋しいなら、とっとと仲直りせーよと思いました。

気のつよーいオメガが、そのバース性に振り回されるのではなくって恋に落ちて、お互いを求めていきたいと思うのも、うんうんそうだよね、と深く共感。
パブリックスクールの雰囲気も満載だし、いいお話だと思うんです!だけど、何かが足りなかった・・何なのか自分でも思いつかないのが悔しいです。先生すいません。

0

オメガバースに慣れた方にもぜひ

オメガバースを全く知らない方より、アルファ×オメガに慣れた方が読んだ方が楽しめる気がしました。

オメガのフェロモンが流れる場面では、アルファは我を失うものだという展開をよく読んでいたので、「アルファが正気を失うほどでない」「オメガは倒れず自分の足で立って歩ける」というのが、自分の中では新鮮でした。

主人公達のすれちがいとか恋愛がメインではあるのですが、パブリックスクールという閉鎖された学園生活のLOVEより、オメガのための制度といいつつも本当の平等ではないという社会を小さなところから変えていこうという印象の方が残りました。

レスリーはオメガを守る弁護士になりたいと願います。「オメガはアルファの子を産めば幸せ」という社会に逆らうその願いを叶えるため、予想外のきっかけで番になったジェラルドを利用しようと考える逞しい男性です。けれど隔離された島で暮らしたためスクールでは世間知らず。そのギャップが可愛いです。一方、ジェラルドは王子様然としているのに爆破を目論んだりズボラな一面もあったり。そのくせ終盤の演説ではレスリーでなくても惚れてしまいそうな格好良さです。

若者が社会を変えていこうとする前向きな話を明るく読みたい方にお勧めかなと思いました。

2

パブリックスクール+オメガバース

こちら、パブリックスクール+オメガバースになります。

Ω保護区で育った、自立を夢見る主人公・レスリー。
そんな彼が、保護区に侵入した変わり者のα・ジェラルドと意図せず事故のように番となってしまう・・・。
そこで、Ωの自由の為に、自分に甘く優しい彼を利用しようと思いつきー・・・と言ったお話になるんですね。

これ、物語としてはすごく面白いのです。
今作でのオメガバ設定ですが、Ωが保護の名目の元、とても不当な扱いを受けてるんですね。
生まれてすぐに親から引き離され、保護区である島で、αの番となる為だけの洗脳に近い教育を受ける。
で、そんな従順で可憐なΩ達ばかりの中で、Ωの立場に疑問を抱き、自立を強く望む異端児であるレスリー。
彼は自分に甘く、要は扱い易そうなジェラルドを利用して、島の外に出て教育受け、夢である弁護士になろうとするー。

こちら、作者さんの三作目になるのですが、毎回正統派とは一味違う、面白いストーリーで読ませてくれるのです。
今回も、かなり面白いのです。

こう、オメガバと言うと、傲慢で強いαに弱く虐げられるΩと言うのが定番だと思うんですけど。
が、今作でのα(攻め)は穏やかで優しく、番であるレスリーにとにかく甘い。
事故のように番になってしまった後は、許しを乞い機嫌を取ろうと必死と言った感じで。
そして、彼に対して反発心を抱きつつも、利用してやろうと殊勝に振る舞い、外に出てパブリックスクールに入学する事に成功するΩの主人公ー。

レスリーのこんなしたたかさだったり、向上心の強さと言うのは好ましいのです。
また彼は、かなり勝ち気ではあるものの、同時に世間知らずでもあるんですよね。
こちら、パブリックスクールでの日常がメインとなるワケですが、監督生であるジェラルドにフォローされつつ、Ωだと言う事を隠しての生活になるんですね。

恋に友情に、ライバルとの駆け引き。
瑞々しく描かれる彼等の日常が、もうすっごく萌えるのです。
パブリックスクール好きにはたまらん!って感じで。
また、並行して語られる、二人の恋愛。
勝ち気ながら世間知らずの所があるレスリーですので、学園内で密やかに行われる同性同士(α同士)の恋愛に、カルチャーショックを受けたりしてるのも微笑ましくて。
いや、何だろう・・・。
最初こそジェラルドの事を「良い駒」くらいにしか考えていなかったレスリー。
それが、共に過ごして様々な事を学び、彼の懐の広さや真摯な愛情を知るうちに、愛へと変化して行くー。
ここがすごく丁寧に描写されている為、とてもあたたかい気持ちにさせてもらえるのです。

と、素敵な作品なんですよ。
が、これは完全に個人的な好みの問題なのですが、主人公が好きになれない・・・。
いや、その向上心の強さや、野心ありありって所は好ましいのです。
ただな~。
こう、めちゃくちゃ意地っ張りなんですよ。
そして、感情の起伏が激しいと言うか。
こう、苛立ちとかをですね、ジェラルドに対してヒステリー気味にぶつけるのにげんなりしちゃうと言うか。
αの生徒に絡まれて、ジェラルドが助けに入る。
すると腹立ちまぎれに「あれくらい一人で対処出来るのに、余計な事をして!」みたいな。
で、眉を下げるジェラルド。
αに対しての対抗心を強く持つあまり、なんか嫌なヤツになっちゃうと言うか。
あと、ジェラルドに反対されるのにも関わらず、彼のライバルである生徒・クリーヴランドに近付き、危険な目に遇う。
浅はかだよ。
ジェラルドが怒っても、仕方ないよ・・・。
好みの問題ではあるんですけど、このタイプの「意地っ張り」って好きになれないのです。

とは言え、ちゃんと反省する時は反省してと、素直でもあるんですよね。
逆に、このタイプが好きな方も、大勢おられるんじゃないかと思うんですけど。
あと、ストーリーとしてはとても面白いですし、ラストも感動的なのです。
オメガの自立を強く望みつつも、実は誰より自身のΩ性に劣等感を持ち、受け入れる事が出来ずにいたレスリー。
そんな彼が、ジェラルドの深い愛情により、自分を素直に受け入れる。そして、前を向く。

そんなワケで「萌」です。
主人公のキャラが好みの方は、楽しく読める素敵なお話だと思います。

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