イラストあり
デビュー作が面白かったので購入しました。
で、めちゃくちゃ面白かったです。
こう、恐ろしいのにページを捲る手を止める事が出来ない系の面白さなんですけど。
こちら、ダーク寄りでラストも完全なハッピーエンドとは言えないんですよね。
で、二転三転しながら、予想外の方向に転がるストーリー。
奈落に落ちて、這い出たと思ったら、そこもまた更に深い奈落でしたみたいな。
まぁでも、これもまた究極の愛の形。
ガツンとやられた作品でした。
内容ですが、美食家のフードライター・桐谷×トラウマ持ちのフレンチシェフ・水崎による、ダークよりの料理ものになります。
サスペンス要素もありです。
料理に絡めつつ、ちょい残酷な描写もあるので苦手な方はご注意下さい。
母親を殺人鬼に食われたと言うトラウマから、人との接触が苦手なフレンチシェフの水崎。
ある日、自身がオーナーの店で、新規の客であるフードライター・桐谷に、自分の血が入ったソースを出すと言う最悪のミスを犯してしまいます。
しかし、そのソースの味を絶賛する桐谷。
彼は、それが水崎の血の味だと気付かず、「隠し味」に魅せられていてー・・・と言うものです。
こちら、序盤での水崎ですが、シャイでごくごく普通の青年に思えます。
始めて半年のフレンチレストランがなかなか軌道に乗らず、悩んだりしてる。
そこに現れた新規の客・桐谷。
フードライターである彼が、水崎の店を雑誌で紹介した事から、店は繁盛しはじめてと言った流れ。
で、例の隠し味が入った料理を食べた桐谷の反応なんかがですね、ちょっと怖いんですよ。
厨房まで押し掛けて、興奮しながら食い気味に「あなたの料理に感動した」みたいな。
いや、読者としては「隠し味」の正体を知ってるだけに、不気味に感じられちゃうんですよね。
ここから「隠し味」の正体を告げられぬまま、優しいのに強引に距離を縮めてくる桐谷に、惹かれて行く水崎ー。
桐谷と初めてのセックスを経験します。
すると、彼とのセックスに溺れて行く・・・。
何だろう・・・。
ストーリーがですね、二転三転するんですよ。
こう、どんどん予想外の方向に転がって行くと言うか。
そもそも、最初は桐谷に、ちょっとゾッとしたものを感じるんですよね。
「ごくごく常識的な青年」と言う水崎の視点で進むのですが、最初の隠し味に始まり、キスでも、水崎の体液に執着するような桐谷の言動にうすら寒くなると言うか。
それがですね、薄皮が剥がれるように、徐々に明らかになる水崎の「異常性」。
あれ? まともなのはどっちで、おかしいのはどっちなんだ?
と、これまた背筋が寒くなってくる展開。
もうダメなんですよ。
この時点でめっちゃ嫌な動悸がしてるのに、ページを捲るのを止められない・・・。
で、ここに絡む、母親を殺して逃げおおせた殺人鬼ー。
先にも書きましたが、サスペンス要素もありなのです。
かなりヒヤヒヤさせられ、ホッとしてからの、またゾッと来る展開。
落として、上げて、また落とすみたいな。
怖いよ・・・! 怖すぎるよ!!
で、なんとも言えないラスト。
もう、こう来たかーって言葉しか出て来ないんですけど。
でも、これが究極の愛でもあるんだなぁ。
この作家さん、デビューして二作目なんですよね。
デビュー作でも思いましたが、強烈です。
好き嫌いは分かれるかも。
ただ、こういう作風って、ここ最近の新人さんにはおられないと思うんですよ。
大御所さんだと何人も思い浮かぶけど。
これから大物に化けそうだなぁと期待しています。
読み物として面白かったです。
ごはんものですが、美味しいもの食べてほのぼの甘々系とは程遠く。
食欲が性欲に通じるエロティクス。
猟奇的なエピソードもあるので、苦手な方はお気をつけ下さい。
性欲≒食欲。
料理する=生き物を殺して食べる。
それらが絡まり合って、背徳的で官能的で、読んでいてとても面白かった。
エッチシーンもエロかった。
猟奇的なネタが絡むので、バットエンドか!?と、途中で思う瞬間もあったのですが、攻め様桐谷がいい男でした。常識的。
2人は寄り添って生きていくんだなと思いました。
しかも、あっさり大団円ではなく、
あれ?と思う描写がありまして。
なにもかも予定調和でなく、一歩間違えば…を含みつつも平穏な日常を選んで生きていく感じの終わり方がとても好きでした。
手にとって良かった。
ボリュームあるので何回も繰り返し読みたい作品とはちょっと違いますが、自分的には名作だと思いました。
何だろう一気に読まさせられました。
エロいエッチしてました。そこ重要ですよね。BLですもの。
でも、これサスペンス小説みたいでした。
ちゃんとエロいBLサスペンス小説です。
そういう意味でも読まされてしまったんですよ。グイグイと。
なのでネタバレは数行程度にとどめます。
美食倶楽部なる危ない部活動?の謎は残されたままに終わってしまう。
サスペンス劇場も楽しめます。
水崎って天性の魔性って感じの受けだと思いました。
桐谷は水崎の天性の魔性に抗うことなく吸い寄せられていく感じの包容力攻めって感じ。
挿絵がドンピシャでした。すごくイメージに合ってた。これ重要でした。
久しぶりにツンツンしていない受け作品を読みました。水崎の発する一言から心情や行動まですべてから、桐谷への愛が見えてすごく可愛かった。
桐谷のことを誘惑する水崎がやらしいのなんの。
一般向け小説は興味が唆られず読めないので、ミステリー(?)要素を文章で読めたのも新鮮で面白かったです。
母親が客から言われた言葉と同じセリフを、桐谷にも投げたのを聞いた瞬間、私もゾワッとしました。コイツやん、って。
緊迫した雰囲気の描写がうますぎる。一緒になって不安になります。
後半の、水崎が誘拐されそうになるシーンはもう、ページを捲る手が止まらないほど集中した。
一段落後の水谷が、軽めのヤンデレに入ってるのには興奮しましたね。
サスペンス要素がある作品でした。
最近は甘々なのしか読んでなくて、こういう本が出ていることも知りませんでした。出会いに感謝しました。
一般のホラー小説としても売っていそうな本。
BL読者的にはどうなんだろうと思いながら読んでいましたが、レビューを拝見して、面白い本は面白いと言っていいんだ、と自分の見識を改めました。
BL小説は奥が深い。まだまだBL小説作品の上澄みしか読んでなかったんだと反省しました。
人が人を食べたい、食べられたいと思う猟奇的な部分が、愛情と絡めてすごく上手く書かれています。
主人公は母親を殺されていて、殺された理由が殺人鬼が人の肉を食べたいがため(美食的な意味だと思うのですが)。
母を殺されたことがトラウマとなり、主人公がずっと囚われている部分でもあります。
母が調理していた鳩に自分を重ねて、自分も美味しく恋人に食べられたいと思う部分は、
読んでいる私にはそういう猟奇的な感情はないけれど、言ってることはわかる、という説得力がありました。
最後の一連の部分が好きです。ぜひ読んでほしいです。
表紙からも血を連想しましたが、作品全体ねっとりとこびりつく官能がとてもよかったです。
エロが生々しくて好きです。挿し絵も作品に合っていて素敵でした。
他の作品も読んでみます!