SS付き電子限定版
作家買い。
小中さんの新刊はなんちゃってジパング、っていうのかな。なんちゃってお江戸?が舞台のお話。日本の江戸時代がバックボーンにありますが、獣人とか架空の国も登場するちょっとファンタジー色の強いお話でした。
主人公は日本橋になる老舗の大店・黒乃屋の若旦那、夢路。
32歳にして美しい美貌を誇り、商才もある彼だが、最近彼は同じ男に二度、振られてしまう。二度、というのは、その男に「所帯を持つから」と別れを告げられたが、実は結婚したわけではなく若い男に乗り換えられていたのだった。そして、そのことを知ったのが昨夜。誰もが振り返る麗しい男だった自分は、もう過去になったのか…。
そんなしょんぼりした気持ちを抱えたまま出掛けた先で、夢路は一人の獣人を見かける。無銭飲食をしたのだろうと店の主人から怒鳴られていたその男を気まぐれで助けた夢路だったが、はたしてその狼の獣人の男、クロは夢路に懐いてしまって―。
というお話。
夢路という男性がですね、色っぽくてヤバいです。夢路はクロを気まぐれに助けますが、垢だらけであか抜けないクロの素の顔に惹かれたから。夢路は商才がある、というか彼の審美眼や「これぞ」と見抜くカンが凄い男性なのですが、その彼が見染めたクロという人物も、クソがつくカッコいい男性なのです。その彼らのビジュアルを、麻々原さんが描いて下さているという眼福さよ。彼らの魅力はそのビジュアルだけでは決してないのですが、もう目から美味しい。
夢路は美しく性に奔放(何しろクロを拾ってその日に誘いをかけて関係を持ってしまうくらいだ)な男性ですが、そんな彼は実は自分に自信がない。過去の経験から、自分を一途に愛してくれる男などいないと思い込んでいる節がある。
一方でクロという人物にとって、夢路という人物がどういう存在になっているのか、というのは読者にはきっちりと提示された状態でストーリーが動くので、もう完全に王道の両片想いもの、です。
ということで、二人の関係にハラハラしつつ読み進めたわけですが、ベースとしてはかなりコミカルです。その大きな因子の一つが、夢路という男性の中身。「江戸っ子」と聞いてパッと思い浮かぶような、竹を割ったような、気持ちの良い性格。かと思えばかなり短気で喧嘩っ早い。もう、「夢路」という男性の魅力にぐっと引き付けられてしまいました。
老舗の大店、の若旦那、ではありますが、実は彼は跡取りではありません。弟夫婦が店を継いでいる。が、そこに遺恨はなく、弟とのやり取りもこれまた痛快で面白い。黒乃屋という大店を舞台に紡がれていくお話ですが、そこに夢路とクロの魅力がいかんなく無理なくぶっこまれているので、そこも良い。
が、コミカルなだけに非ず。
獣人のクロの素性が少しずつ見え始め、彼の壮絶な過去やふるさとに話が移行していきます。設定がてんこ盛りなんですよね。てんこ盛りなのに、それがごっちゃにならずきちんとつながり話に奥行きを与える。さすが小中先生というべきか。
夢路は大店の若旦那で、麗しい美貌を持ち、商才もある、そんな完璧な男性。けれど彼が唯一持ち合わせていなかったのが、「自分だけを一途にまっすぐに愛してくれる」恋人の存在。
クロはと言えば、苦労の連続の果てに夢路と出会い、彼は己のすべてをかけて夢路を愛し守ろうとする。
根っこにあるのは深い深い愛情のお話ですが、単純にそれだけに収まることのない壮大でめちゃめちゃ面白いお話でした。
この二人は出会ってすぐに身体を繋げてしまう、いわば身体先行のお話です。だからでしょうか、作中の濡れ場もそれなりにあります。ありますが、エロに特化した作品では決してなく、反面エロもきちんと堪能できるという1冊で何度も美味しい作品でした。
麻々原さんの描かれたイラストも麗しく、キャラ良し、ストーリー良しの1冊。
文句なしの神作品でした。
大陸から移り住んだ獣人がいる、江戸の街の世界。
夢路は日本橋の大店「黒乃屋」の若大御所。商才があり店を大きくした後は弟夫婦に任せ、気ままに過ごしています。
そんな夢路が、情夫にフラれ陰鬱な気分でいる時に出会った狼獣人のクロ。
クロへの興味と楽しい事が始まる予感がした夢路が、ボロボロのクロを拾い側に置いてから始まる恋のお話でした。
辛い過去を持つ獣人クロは若くて精悍な男前です。
夢路は三十路を超えているけれど美貌のお金持ちの商人。
年下攻め×年上受けです。
夢路は経験豊富なので、クロを誘って翻弄。
照れたり恥ずかしがったりクロが可愛い!そしてだんだんエロくなっていくのも良い!
夢路は美人受けさんなのですが、江戸っ子気質なカッコ良さのある人でした。
年上の江戸っ子気質で、受け入れるだけ、守られるだけではないんです。
カッコ良さのある年上受け良いですね。
最初こそウブいクロでしたが徐々にエロも上達し、また本来の頼もしさも取り戻していきます。
最初の方のクロも良いし、本来のクロも素敵!そんな素敵なのに尻尾をパタパタして喜ぶところもまた可愛いんです。
「黒狼は徒花を慕う」「おおかみ国旅譚」の二部構成になっています。
「黒狼は徒花を慕う」
では江戸でクロと夢路との出会い、2人の恋と再生のお話だったかなと思います。
「おおかみ国旅譚」
はクロの故郷へビジネスのために2人で行くお話でした。
こちらでは自信がなくなりウジウジしてしまう夢路。江戸っ子のカッコ良い夢路がとても好きなので少し残念でしたが、クロがかっこよすぎだから仕方ないのかもしれないとも思います。それぐらいクロは素敵なのです!
夢路がそんな感じだったので、恋愛のお話だけでは少ししんどかったかもしれないのですが、勧善懲悪の要素も加わり読み応えのある章でした。
どちらもスカッとするお話で、楽しく読むことができました。
お話もとても好きですが、エロシーンがとても良かったです。
経験豊富な年上受けのエロシーンは読んでいて新鮮で楽しかったです。そして黒猫褌ってどんなのか検索してしまいました。
やっぱり小中大豆先生の文章は読みやすくてとても好きです。
面白く楽しいお話でした。
今回はオロス国からきた狼獣人と大店の若大御所のお話です。
2人の出会いから恋人になるまでと
2人が買い付けでオロス国を訪れる続編を収録。
受様は商家の長男として生まれます。
黒乃屋はもとは裏店の小間物屋でしたが
受様の詳細で手広く呉服その他も扱うようになります。
受様は自らも広告塔として新たな販路を広げ
今や日本橋大通りに店を構える大店になります。
両親が早々に隠居すると次男夫婦が店を継ぎ、
受様は黒乃屋を裏で支える若大御所的として
順風満帆に生きているようですが
実は受様は男運が非常に悪い男でした。
昔は老いも若きも受様の美貌と身体によってきて
付き合っていた男にも一緒に暮らそうかと言われて
隠居屋まで立てて移り住むのですが
男は嫁を貰って実家を継ぎ、受様を捨てました。
最近別れた飾り職人の情夫も所帯をもつと別れたのに
受様より若い男と付き合っていたのです。
自棄酒の翌日、黒乃屋をのぞけば
顧客達はこぞって受様に見立てを頼み
半時でかなりの売り上げをあげますが
黒乃屋での立場に疎外感を覚えてしまう始末。
受様が気分転換にと木挽町界隈まで下っていくと
隣の鰻屋の匂いを利用して「たれ飯」を売る
居酒屋を目に留めます。
落語のようだと笑って入った受様は
食い逃げと糾弾される狼獣人を助ける事となります。
この狼獣人が今回の攻様になります♪
必ず金を返すと大きな体で深々と頭を下げる
攻様をみた受様は新しい商売を思いきます。
受様が思いついた受様の借金返済の方法とは!?
雑誌掲載のタイトル作に続編を書き下ろしての文庫化で
敗戦でこのもとに渡ってきた攻様と
商売上手ながら恋愛はうまくいかない受様の
もふもふ時代劇ファンタジーになります♪
雑誌連載時に一読しているのですが
仕事のできる美人な年上受と
受様に一途なワンコ攻というカプはMYツボでもあり、
非常に楽しく読ませて頂いたのですが
受様の巧みな商才と悪すぎる男運を対比させるように
攻様と関わった事で初めて新しい商売と
攻様との恋愛模様が描かれていくのですが
その他にも
江戸時代をおもわせる外交を閉ざしたひのもとと
大陸で他国に侵略されて攻様の生国オロス国、
オロス国を出ざる事となった攻様の過去、
情夫達に捨てられた来た受様の過去
と様々なモノが比較されて描かれていく事で
物語と当時よう人物に深みが増し
とても面白いお話です。
受様に誘惑されて始まった2人の関係が
深まっていくにつれてそれぞれが相手の思うのに
すれ違っていく展開もドキドキ、
オロス国を滅ぼした帝国皇帝の巡幸による
献上品の番付を巡る黒乃屋の対策もワクワク、
皇帝と攻様の勘家にはハラハラと
どこをとっても読み応えがありました (^-^)/
続編のオロス国編も面白かったです。
受様は年上で庶民である事のに劣等感を持っていて
そんな受様のぐるぐるがまた楽しかったです♡
麻々原先生のイラストも世界観にぴったりで良かったです。
実は雑誌に掲載された時から好きだった作品でした。なので書き下ろしの「おおかみ国旅譚」を加えての発刊を楽しみにしていたんです。
雑誌を読んだ時からクロの拾われてからの変わりぶり、着飾らせたクロを夢路が江戸の町中を連れ回す様子、また黒乃屋が番付一番になって皇帝陛下のお墨付きを貰うまでの逆転劇、そして明らかになるクロの出自等…ワクワクが止まらないお話なんです。
夢路はこんなに綺麗でクロだってこんなに慕ってるのに、いつかはクロの為に手離さなければならないと勝手に思ってる夢路の気持ちが切なくて、素直になれない故に暴走する夢路の姿に焦らされるんです。
また書き下ろしでは皇帝陛下に貰ったお墨付きで新しく事業を始める為にクロの故郷に向かうんですが、ここでも夢路の後ろ向きな悪い癖が出てしまいます。
かなりヤキモキさせられてしまいました。夢路って独りよがりなんですよ。ちっともクロの気持ちを考えてないんです。だから、余計な言動をとってしまって自分自身も傷付けてしまう厄介な人なんです。
クロに想いを寄せる幼馴染みとか、2人をくっ付けようとする周りのオスロ人とかにもイラッと来るんですが、だからこそクロのブレることの無い行動にスカッとするし、凄い好感が持てるんです。本当に良い男なんですよ。
クロと夢路は凄くお似合いの2人だし、クロを我が子のように思い遣る皇帝陛下とかダヴィラ監察使が魅力的だったので、是非続編をお願いいたします。
とても良かった。
獣人がいる世界観のお江戸もの。商才があって美人な男色家の受けがボロボロの獣人を拾う話。
美味しいご飯を食べさせて貰ってポロポロと泣いちゃう攻めが可愛い。優しくしてくれる受けに「女神だ」と夢中になる年下ワンコ最高。受けのエッチすぎる褌姿に顔が真っ赤になって触る前にイッちゃう初心なところも可愛かった。初心な攻めをエッチな年上受けがよしよししながらリードしてくれるの萌える。
そんな可愛いワンコが次第に重い執着を見せてくるのも良かった。受けに浮気しないとか男を拾わないとか一筆書かせて約束するの重くて好き。
受けは商売に関しての勘は鋭いのに自分のことになると鈍いのも面白かった。過去の男達の複雑な気持ちを理解しつつも元彼達にガルガル威嚇してる攻めも良き。