電子限定かきおろし漫画付き
心優しき青年はヤクザとなり、無垢な少年は情婦となった――これは哀しくも美しい、究極の献身愛
電子で単話買いしていて、コミックス化されたら買うと決めていた作品。
今作品がデビュー作とのことですが、絵柄もとても綺麗で濡れ場もエチエチ。素晴らしいです。
ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
とある児童施設に、ユエンという名の男の子が入所してくる。
自分は母親に捨てられてしまったのか、という不安と孤独に苛まれていた彼に優しく声をかけてくれたのはユエンと同室の年上の少年・ヤンだった。
優しく小さい子の面倒見の良いヤンはヤン兄ちゃんと呼ばれ慕われていて、ユエンもヤンのおかげもあって少しずつ明るさを取り戻していく。ヤンとユエン、同じ境遇の2人は心を通わせていくが、とある出来事が二人を襲って―。
というお話。
あまり書いてしまうと壮大なネタバレになってしまうのですが、地雷の方もいらっしゃるかもしれないのでちょびっとだけ書きます。少し下げますので、ネタバレ厳禁な方はここでストップしてください。
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小さい子どもが性的な搾取をされる描写があります。
そして、それをきっかけに、重大な犯罪が行われます。
詳細な描写はありませんが、苦手な方は注意が必要かもです。
ユエンを守ることができなかったことをずっと後悔しているヤン。
ヤンに、自分の罪をかぶせてしまったことを後悔し続けているユエン。
お互いを愛しているからこそ守りたい。
例え、自分の身がどうなっても。
めちゃめちゃ純愛です。
彼らが選択した道は、正しいとは言えず、けれど追いつめられた二人の子どもたちを、私は責めることはできないなあ…、と複雑な思いで読み進めました。
今作品の舞台は、具体的な地名は出てきませんが「もしかしたらあの国かな?」と思われる空気感がとても良かった。ちょっと退廃的な、夜の街。彼らの服装とか、街の様子とか、すごく味があって好きでした。
ヤンは子どもの時にユエンと別れてから別人として生きていますが(ついでに名も変えて生きていますが、ここでは「ヤン」で統一して書きます)、その理由もまた良い。ユエンのためだけに彼は生きてきたんだなあ、と。そして、別人として再会した彼らは早々に身体を繋げますが、その理由も良い。その時の彼らの心情も良い。ストーリーに一貫性があって一気にストーリーに引き込まれます。
実はレビューを書くときに、ヤンの名前をどちらで書こうかちょっと悩んだんですよね。「今の名前」で書こうか、それとも「過去の名前」で書こうか、と。けれど、ユエンにとっては、彼は「ヤン兄ちゃん」だろうと思ったので、あえてヤンの名前でレビューを書いています。
ヤンのその後、が、裏社会を生きる男なので、ストーリー中に漂う空気がシリアスなのですが、けれどシリアス一辺倒ではない。ヤンとユエンの2人の間に流れる空気感が甘いこと、彼らの仲間たちが優しいこと、などが理由として挙げられますが、そのバランスが素晴らしかった。
ヤンが、ヤクザとして生活している時と、ユエンとともにいる時とでは目が違うんですね。その描き分けもすごくお上手。読者への魅せ方がとてもうまい作家さまだと感心しました。
しいて言うと、最後が駆け足だったなあ…、という感も。
終盤、ユエンが襲われるシーンがありますが、そこでのヤンがね…。
あれ?そうくる?
という急展開ぶりだったのは否めない。
けれど全体としてはシリアスと甘々のバランスも良く、二人の濡れ場は優しく綺麗ででもエロくって、相対的には非常に萌える作品でした。
あ、あともう一点。
ユエンの膝とかお尻がぷりぷりで可愛い。トーンの貼り方、なんですかね。めちゃめちゃ美味しそうでそこも個人的萌えツボでした。
評価でちょびっと悩みましたが、デビュー作ということで少しだけオマケして神評価で。次回作も楽しみに待っていようと思います。
退廃的な中華圏の雰囲気がめちゃくちゃ良かった。
キャラデザとお話の雰囲気がすごく好きです。
濡れ場がエロい!すき!
立ち読みで気になった方は是非最後まで読んでほしいです
本当に買ってよかった!濡れ場も美しいです。
作中の雰囲気や背景、作者様のインタビューやツイートを拝見する限り、舞台のモチーフは香港。年代は1970年代?80年代?くらいでしょうか。
街並みのネオン看板にさりげなく描かれている「花様年華」の文字が印象的でした。
香港映画で有名な某映画監督の作品のタイトルと同じですね。意味は「人生で最も美しい時間」…だったと思います。
ヤンとユエンは失われていた時間を取り戻して、人生で一番美しい時間を過ごしていく…という意味でしょうか。
某映画監督の映画作品の中には、香港がこれまで辿ってきた、そしてこれから辿ろうとしている歴史や時代背景がメタファーとして散りばめられています。英国統治の資本主義社会から中国に返還されたあとの社会へ。香港の象徴的なネオン看板は、現在はかなり少なくなったと何かで読みました。
何が言いたいかというと、優しく好青年だったヤンがマフィアになっていること、そして純粋だったユエンが娼婦となっていることは、そんな風に移り変わる歴史観をメタファーとして投影しているのではないかということです。彼らが数年、十数年であれだけ変わるように、時代も歴史も変わるのだと…。あくまでも主観であり、深読みのし過ぎかもしれませんが((
二人は最後、彼らが元いた国ではない別の場所で幸せになります。
それは今の香港が非常に不安定で、複雑な社会だからではないかなあ、と考えてしまいました。もし、あの場所に二人が残っていたら、二人はどうなっていたんだろう。敢えて別の場所で幸せになった意味が込められているのではないかと感じました。
時代も社会も変わるけれど、二人の気持ちは変わらないでいたらいいな…と思います。
あまり現実の国や社会、ほかの映画作品の情報を並べ立ててレビューするのははばかられますが、BL作品でここまで深く考えたくなる作品とは出会ったことがなかったので、思わずレビューしてしまいました…
主観と想像と虚構かもしれません…
拙文です…何か問題があればすぐに消します…すみません…
心にずっと残る、とても素敵な作品でした!
初読み作家様でした。それもそのはず2020年デビューで初コミックスでした。
初コミックスにしてはレベルが高く、絵も綺麗でとても色っぽいです。
ヤクザと情婦とある通り、血生臭い場面もあればエロも多くてドラマティックな展開です。
少年の頃は爽やかな印象だったヤンが、ヤクザとなり身体中タトゥーだらけなので好きな方は堪らないかなと思います。
ただいかにヤンがユエンを弟の様に思っていても、あの方法を何故選んだのかが謎でした。
ユエンが性的虐待を受けての正当防衛ではダメだったのでしょうか?
その辺りがモヤ付きました。
そしてヤンを待つ為に身売りをしていたユエンにも疑問でした。
ヤクザになってからもユエンを助け続けるヤンと、ヤンに迷惑をかけないように一人で頑張ろうとしてたユエンもどちらも健気なんです。
でも最後に子供たちを連れて逃げたんですが、これってハッピーエンドで良いのかしら?と思い心配になりました。
お話のあちこちに綻びが見られて、手放しで良かったとは言えませんでした。
次回作に期待します。
むせかえるようなダーク巻漂うチャイニーズな雰囲気とネオンとの対比が美しいですよね〜ほんと表紙に一目惚れです。
まず物語の舞台が中国、そしてマフィアということでBLでは初めて目にする設定のようでしたのですごく気になり購入。
ハードボイルドの中にも妖艶さや輝きがあってすごく綺麗な絵で引き込まれます。衣服とか、中国のいい意味でごった返した街中を描くってすごく大変なんだろうな〜(´;ω;`)
私はとっても好きな雰囲気なのでまた先生の次回作が楽しみです。