• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作てのひらの星座

池添円治,18歳,大学生
小田嶋瑞穂,19歳,大学生

その他の収録作品

  • フリートーク
  • あとがき

あらすじ

ひとつ年下の従弟と、七年ぶりに再会――!?
進学を機に、瑞穂の家に下宿することになった大学生の円治。けれど、可愛かった弟分の円治は、今や長身のカッコイイ男になっていた!
しかも、昔はあんなに懐いていたのに、なぜか瑞穂によそよそしい。ところがある夜、突然円治が「好きだ」とキスしてきて!?

作品情報

作品名
てのひらの星座
作画
穂波ゆきね 
原作
桜木知沙子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
ISBN
9784199603037
3.4

(33)

(8)

萌々

(7)

(13)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
14
得点
109
評価数
33
平均
3.4 / 5
神率
24.2%

レビュー投稿数14

一寸深読み

表紙にデザインされているのは天秤座と獅子座の
星座記号。
星座自体も恐らく獅子座と天秤座と思われます。
かなり簡素化されていますが。
何故この二星座が表紙に描かれているんだろうと
言うのでつい深読みをしてしまいます。
瑞穂と円治の誕生星座…にしては殆どと言って
良い程接点が無いんですね。ただ詳しく分類すれば
恐らくどこかに惹かれあう共通要素が出てくるの
だろうか…と。

物語自体は受攻の心理逆転の経過を淡々と
丁寧に描いてゆく感じで好感が持てます。
瑞穂は護られるのが嫌だったんじゃなくて、護れなかった
自分が嫌だったんですね。

穂波さんの絵は良い意味でとても淡白です。
だから原作の行間のみならず字間に潜んだものまで
掬い取って鮮やかに再現できるのでしょう。
優れた描き手であり、また同時に優れた読み手で
あるとただ感服する次第です。

3

すれ違う恋

互いに好きなのに、
互いに好きな人が居ると勘違いして、
恋人が居ると勘違いしたりして。

この作品は、
二人がお互いに好きなのに、すれ違う、そんな内容です。

見ててもどかしい様な反面、
この先の展開に期待してしまう。
この作品に引き込まれる様な感覚でした。

後、瑞穂が幼い頃、円治に渡した手紙ありましたよね。
あれがとっても可愛らしいなぁと思いました。
子供特有の幼さがあって。

それと、2人が両想いになってからの、
円治の甘々っぷりが良かったです。

2

しっとり切ない恋物語×繊細な穂波絵=最高のピュアラブ漫画…!

原作付き漫画ということもあって、モノローグが多めなのは否めませんが
主役二人の微妙な距離感とか、繊細の心の揺れとか、
穂波さんの繊細で透明感のある絵柄と、切なくてしっとりとした雰囲気が絶妙にマッチしていました。

幼馴染み・再会モノ。
しかしそのすれ違いっぷりがなかなか苦しくもあります。
七年ぶりに再会した瑞穂と円治。
昔は仲が良かった二人ですが、再会後はお互いよそよそしくて…
その理由には、過去のある出来事があったのです。
円治の気持ちは、早々に読者は気づくと思います。
しかし、彼のあの態度の理由は全然わからない。
また円治から突然告白された瑞穂は焦りますが、円治が冗談だと取り消すことによってその告白は無かったことになってしまいます。
しかしその日から円治のことが気になりはじめる瑞穂。
お互い以前のように仲良くしたいと思いつつも、臆病な二人は微妙な距離感を保ったまま。
近づいたと思ったら離れる、そのジリジリとした二人の関係にハラハラドキドキしつつ
最終的には二人の母親になったような心境で読んでいました。

中盤には円治のことが好きだと宣言する男・吉見が登場。
彼の存在が、瑞穂を大きく混乱させることになります。
吉見の登場により、円治のことが好きだと気づいた瑞穂でしたが、
一方の円治も瑞穂に上手く自分の気持ちを伝えられずに
結局二人はすれ違ったまま別れてしまうことに――
この二人は過去の出来事に縛られすぎだと思うんですよ。
変な意地とか見栄とか張っちゃって素直になれない瑞穂とか。
一方の円治も感情表現が下手すぎ!
胸の内には熱~い思いを抱えているくせに、嫉妬とかプライドとかがジャマしてうまく伝えられない。
もうちょっと二人がお互いを信じる思いがあったなら、こんなにややこしくならなかったのかなーとも思いますが
七年間もわだかまりを抱えたまま離ればなれだったのだから仕方ないのかもしれませんね。

そして臆病であと一歩が踏み出せない二人のあと押しをしてくれたのが、当て馬役と思われた二人でした。
吉見と、瑞穂の幼馴染み・一成。
吉見は二人の仲を掻き回しはしましたが、結局彼の存在がなければ瑞穂は自分の気持ちにも気付かなかったわけだし
まぁ結果オーライなのかもしれませんね。
でもこの腹黒医師、あまり好きにはなれません…w
しかし悪役にも徹せないあたり、憎めもしないのですが。
そしてこの二人のあと押しを受けた瑞穂が走りだすシーンでは思わず涙が出そうになりました。
この作品のトーンからして、たいした盛り上がりもなく、ひたすらしっとりとじんわりと物語は進むのですが
瑞穂は相当ツラい思いをしていたと思うんです。(もちろん円治はそれ以上ツラかったと思いますが)
今まで円治から逃げて逃げてばかりいた瑞穂が今、円治のもとへ走りだしたんですよ!
本当に我が子を見守るような気持ちで胸がいっぱいになってしまいました。
ここからの二人のエッチとかももう美しくて…
胸キュンがいっぱいでしたよ。
そして両想いになったとたん年下ワンコ全開の円治にも萌え滾りました。
あああああ!こんなところでワンコが出てくるなんて反則ー!!w

主人公が二人とも消極的なので、特に大きなエピソードとかもないんですが
涙がポロっと落ちるだけで胸がしめつけられるような、そんな切なさのいっぱい詰まった作品でした。
桜木×穂波は最強だわ…!

1

幼い頃と、変わってしまった事と変わらない想い

穂波さんと桜木さんの魅力をじっくり味わえる、厚めのコミックスです。
お話まるまる1本なので、とっても満足!!

7年振りに会うひとつ下の従兄弟に戸惑う瑞穂と
子供の頃から瑞穂が好きで、一緒にいられるようになって嬉しいのに
こちらも戸惑ってしまいつい素っ気ない態度になる円治。
二人の想いのすれ違いに焦れてきますが、
それは当然ハピエンの為の布石なので私は気になりませんでした。
むしろもう少しこじれてくれても良かったです(変な所でM気質)

唐突にキスを仕掛けたり、後ろから抱きしめたり、
感情のコントロールがきかず襲いかけたり。
それなりに円治も意思表示しているんですけれども、
恋愛に疎くて、胸が痛くなる現象が恋だと気が付かないのは
まだまだ幼さが残る瑞穂なら仕方なかったのかも知れません。
急展開すぎてすぐHしちゃったり、都合良くくっついたりするよりは
丁寧なお話だと私は思いました。

当て馬の吉見さんは大人の余裕で瑞穂を牽制したけど、
円治を好きなわりにはあっさり引いちゃたな…。
瑞穂の真剣さに負けたのか。いや、これも大人故かな。

一成は、本当は瑞穂を好きだった、という設定だったら美味しかったです。
純粋に親友で、デキてるって噂をただ楽しんでいただけなんて。勿体無い!(←?)
円治の戸惑いにも気付いたし、瑞穂の背中を押してくれたとってもいいヤツだからこそ
もっとガツンと絡んで欲しかったです。

何より、とにかく穂波さんのセンスが光りすぎていて…ま、眩しい!!
どのページ・コマを見ても、ひとつひとつの線でさえ愛しく思ってしまう惚れっぷり。
ちょっと書き足した字とかまで好き!

穂波さんの漫画で年下攻めリーマンが読めたら、しばらくそれだけに浸りそうです。

3

変わらないもの

幼いころからずっと仲良くしてきた従弟と疎遠になって7年。
ちょっと気まずい瑞穂と大学入学と共に瑞穂の家に居候することになった
長身でひとつ年下の円治。
幼いころ何物にも代えがたいほど大好きで守りたかった円治が
いつのまにか自分より背が高くなり、どこか大人びて・・・
二人の幼いころからの変わらない想いと、時間の流れと共に変わっていった心と体。
いろんなことがあって、いろんな人とかかわって
想い合ったり、勘違いしたり、好きになったり、嫌いになったり
イライラしたり、ハラハラドキドキしたり、そして誰よりも大切に想ったり・・・
恋をしているからこそ、いろいろな気持ちになることができる、まさに青春。
また、二人を結ぶ「星」がこのお話の要です。

瑞穂は自分でもよくわからない気持ちが、嫉妬だったり恋だったりすることに
いつまでたっても気づかず、見ていてだんだんイライラしてくるところもありました。
円治ももっとはっきり言ってやればいいのに・・・と思う場面もありましたが
そんな二人だから、長いことずっと相手のことを想い続けることができたのかなとも
思える作品でした。
自分の気持ちがわからなくなったことも
相手の気持ちに自信が持てなくて、迷ってしまったことも
そんな風にいろいろ回り道したからこそ、今の二人があって
しっかり気持ちが重なっているのだと、感じることができました。
どろどろしたいやらしさはなく、爽やかな青春ものの作品です。

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP