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表題作双界のオメガ

イルメール・ウルヴァン 治安維持部隊長官,義兄,α
エミリオ・ウルヴァン 治安維持部隊副官,αと偽るΩ

同時収録作品双界のオメガ

ネブラ ルーメンの番の狼,α
ルーメン  ネブラの番,Ω

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

エウロペ・コンチネントの治安維持部隊「ドミニオン」の副官であるエミリオは、
オメガを狩る立場ながら実はオメガという秘密を抱え、軽薄なアルファとして振る舞っていた。
彼にそれを強要したのは長官である最高のアルファ、ひそかに慕う義兄でもあるイルメール。
ある事件によって彼に抱かれてしまったエミリオは、報われない想いと生まれることのなかった命への後悔で身を投げた。目を覚ますと、そこは創世神話の世界で……!?

作品情報

作品名
双界のオメガ
著者
雨宮四季 
イラスト
逆月酒乱 
媒体
小説
出版社
三交社
レーベル
ラルーナ文庫
発売日
ISBN
9784815532253
3.4

(10)

(1)

萌々

(5)

(1)

中立

(3)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
31
評価数
10
平均
3.4 / 5
神率
10%

レビュー投稿数1

再構築の行方

2019年刊。
オメガバースものだが、『信頼関係の破綻したカップルの再構築もの』とでも言ったほうがしっくりくる話だった。
義兄弟のイルメールとエミリオは、オメガ排除に力を注いでいる治安維持部隊"ドミニオン"の長官と副官としてだけでなく、アルファ×オメガの服従関係でも結ばれている。
エミリオは、ひた隠しにしているオメガ性を蹂躙され続けながらも内心イルメールを恋慕していたが、密かに身籠っていた赤ん坊の命を彼によって一方的に奪われたショックで自死を決意する。
屋上から飛び降りたエミリオを止めようとしたイルメールも身を投げ出すが、その瞬間に二人の状況を見かねた創世神のネブラとルーメンが介入して、彼らの住む世界へとトリップさせられたのだった。

表紙を捲っての作者コメントには『義兄弟、オメガバース、獣人、異世界、制服の贅沢盛り』とあるが、言葉通りに上手く萌えが盛り込まれていたと思う。
エミリオのような舐められないようにとか、賢いのを隠す為に周囲に軽薄な性格を装う身持ちの堅い受けは自分も大好きだ。
但し、この話では特に『繁殖・子育て』に重点を置いているので、オメガの母性が相当色濃く出ている。
子宮やら妊娠出産、堕胎、母乳だのといった単語が妙に生々しいのでオメガバース自体が駄目だという人には厳しいだろう。

二人の関係は間違いなく『運命のつがい』だと実感できるのだが、お互い愛情を認識せずにがっつり結び付いてしまったせいでここまで拗れてしまった訳だ。
特にイルメールがエミリオへの愛情を再認識するとなると、己が亭主関白を煮詰め切った性格で、エミリオが彼に従う根拠は夫唱婦随に基づくような当然の感覚…的な考え方を省みる事から自覚する必要がある…(-_-;)
まぁ彼は獣人アルファとオメガが自然に共存する創世界でこってり絞られて荒療治を受けているが、それでも尚、伴侶にシンプルな愛の告白を吐けない不器用攻めの極みみたいな男でもある。

最後の行き着いた結果には個人的に大満足だ。
二人の行く末で気になるのは今までオメガを排斥してきた過去の罪の償いだが、できる事ならこれからのアルファ×オメガカップルと共にその後の先の道が拓けて行きますように…
崎者が最後に用意していた奇跡は素晴らしかったが、欲を言えばミゲルとメイビス兄妹にも生き延びて欲しかった。

3

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