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表題作王と獣騎士の聖約

ネヴィル,忌み嫌われる黒獅子の一族の始祖
ユリウス,18歳,ジーンヴェルグ王国の若き国王

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

若き王が穢れたケモノに国と自身の命運を賭す、人外ファンタジー♡

たかが隣国との親善試合、
けれど負ければ民も領土も奪われてしまう――。
雌雄を決する試合直前、頼みの騎士に逃げられ、
命運尽きかけた若き王・ユリウス。
家臣の大反対を押し切り、唯一の望みを賭けたのは、
最強の魔獣――同族喰いとして忌み嫌われる、
黒獅子の始祖だった!!
「俺の力が欲しければ、お前の精気を喰わせろ」
危急存亡の時、屈辱を呑んだユリウスは、
穢れた獣と契約を交わして!?

作品情報

作品名
王と獣騎士の聖約
著者
かわい恋 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009754
4.1

(54)

(31)

萌々

(9)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
222
評価数
54
平均
4.1 / 5
神率
57.4%

レビュー投稿数8

最高でした!

国を守る為に、穢れた獣に身体を差し出す王ー。

と、今回のかわい恋先生はシリアス一辺倒かと思いきや、甘々あり、キュンあり、ハラハラドキドキありと言った、ファンタジー好きにはたまらない作品でした。

や、なかなか序盤はシリアスで主人公が可哀想なんですけど、そこからの萌えがすごいから!
「穢れし闇の一族」と忌み嫌われる黒獅子(攻め)の真実には「おおっ」となるから!
いやこれ、とても深いし、なるほどなぁと唸らされたりして。

とりあえず、執着系の攻めや主従ものがお好きなら、ぜひオススメしたいです。

ザックリした内容です。
国家の命運を賭けた親善試合で、頼みの綱である騎士に裏切られてしまったジーンヴェルグの若き王・ユリウス。
家臣の反対を押し切って、最強の魔獣であり同族喰いと忌み嫌われる黒獅子の始祖・ネヴィルに助力を頼むんですね。
しかし、その代償に求められたのは、自身の身体でー・・・と言うものです。

まずこちら、序盤から結構なシリアス展開です。
この試合ですが、始めは友好国同士のお遊び程度だったのが、互いの行き違いから次第に「賞品」の要求が大きくなり、敗北が続くジーンヴェルグは、まさに風前の灯状態なんですね。
今回負ければ、国そのものを差し出さねばならない。

まぁそんなワケで、追い詰められたユリウスが決断したのが、忌み嫌われようと最強である魔獣・黒獅子の聖騎士となる事。

えーと、聖騎士と言うのは、獣に変容できる特別な力を持つ騎士の事なんですね。
で、黒獅子の始祖・ネヴィルを訪ね、自身を一族にして貰えるように頼み込むと、彼は自分が試合に出てやると言い出す。
と、言う流れ。

これ、ユリウスと言うのは、一途に国や民の事を思う、とても真っ直ぐな青年なんですよ。
恥辱にふるえながらも、国の為に身体を差し出す。

かわい恋先生ですが、濃厚なエロ描写も魅力の一つだと思うんですけど。
今回ですね、「精気を喰わせろ」と言う事で、序盤からかなりエロエロなのです。
で、このエロが、痛々しいかと言いますと、これが結構甘い。
えーと、ネヴィルは「俺を楽しませろ」的に言う事は傲慢なんですけど、ユリウスを決して傷つける事は無く、甘く激しく抱くー。
いや、読者には、ネヴィルのユリウスに対する愛や執着と言うのが透けて見える状態なんですよね。
こう、執着攻め好きには、なんとも萌えまくっちゃうエロなのです。
また、犯されながらも、あくまで誇り高く強気なユリウスの言動もいい。
エロ時のこういうやりとり、めちゃくちゃツボなのです。

で、ご注目いただきたいのが、ここからどんどん増してゆく甘さ。

ユリウスの求めに応じ、昼は忠実な臣下、閨では俺が主人だー。
的に、ユリウスに付き従うネヴィル。
そして、最初こそネヴィルに対して怒りと恥辱でふるえていたユリウス。
それが、ふとした時に気づく、ネヴィルの優しさや思いやりに、気持ちがほどけてゆく。

また、忌み嫌われる彼等の「同族喰い」。
これが、愛する者に対する彼等の最上級の弔い方法であり、ただの悪食では無いと分かる。

緊張感あふれる関係から、少しずつ少しずつ心を許してと、二人の関係性の変化が最高なのです。
いや、抱き合ったあとに、「おまえは美しいな」「どれだけ汚しても、清廉と言う言葉がよく似合う」とかネヴィルが言い出すのに、めっちゃ萌えまくっちゃうんですけど。
これ、熱烈な口説き文句も同然と言うのに、ネヴィル、気付いてる?

と、そんな時間を経て、ネヴィルに惹かれてゆくユリウス。
ところが、国に新たな聖騎士が現れと、ネヴィルとの契約である「他の聖騎士が現れるまで」と言う条件が満たされてしまうんですね。
更に、これまで必ず人間の姿でユリウスを抱いていたネヴィル。
何故か、黒獅子の姿でユリウスを犯そうとしー・・・と続きます。

実は、ここから怒涛の展開となります。
ジーンヴェルグを狙う、トール王国の宰相の正体。
突然の、魔物の襲撃。
そして、去ってしまったネヴィル。

や、とりあえず、ネヴィルの行動の意味が分かると、めちゃくちゃ萌えちゃいました。
こいつ、意外と不器用だし、可愛いヤツですよ。

あと、ユリウスが選んだ道も最高なのです。
ネヴィルですが、実は一族の最後の一頭だったんですよね。
同族に食べてもらう事が弔いである彼にとって、死後、誰にも食べて貰えないのは、とてつもない孤独だった。
だからこそ、ユリウスの選んだ道に、深い愛を感じる。
「俺が死んだら、俺の肉を喰ってくれ」と、普通に聞いたら猟奇的なセリフなのに、すごく萌えちゃうんですけど。
いや、本当、最高でした。

最後になっちゃいましたが、獣姦ありです。
一応、お話の根幹部分にも関わってきて、私は深く感動したけど。
苦手な方はご注意下さい。

13

引き込まれるバトルシーンと本当の愛

忌み嫌われる同族喰いの〝黒獅子〟と
美しき王との人外ファンタジーです!

国力の弱いジーンヴェルグを治めるのは、
美しく清廉潔白な若き王・ユリウス。
隣国・トールと行われる聖騎士親善試合に今回負ければ、
王族の身柄はトールへ移送されてしまう崖っぷち⁉︎
唯一の頼みは〝炎竜〟クロード。
しかし、そのクロードに裏切られたユリウスは万策尽き果て、
自らが聖騎士となるべく忌み嫌われる存在〝黒獅子〟の力を借りるため旅立ち……という展開です。

聖騎士というのは、獣に変容できる特別な力を持つ、
王直属の騎士の名称です。
この聖騎士の強さ、数は国力に影響しているのです。

ユリウスが頼ったのは黒獅子・ネヴィル。
ネヴィルは圧倒的力を誇り人間の精を好む野獣ですが、
ユリウスに対しては優しさと忠誠心をみせます。

国に仕える代りにユリウスの精を貪るネヴィルですが、
ユリウスを扱う手には愛しさと優しさがあふれているのです。

ユリウスもまた心身共にネヴィルに絆されていき、
数々のピンチを乗り越えていくうちに関係がどんどん
変化していく様子にドキドキして非常に萌えました。

徐々に周囲の人々からの憧れと信頼を得ていくネヴィルの姿は、
誇らしくもあり嬉しくもあります。
〝忌み嫌われる〟存在から〝頼れる〟存在への変化が
わかりやすく描かれておりとてもよかったです^^

ネヴィルは多くを語らないミステリアスなキャラですが、
ユリウスには素直で弱味をみせる一面も!
そのユリウスを裏切るような行動に出るネヴィルの真意とは?

本作は壮大なファンタジー作品ですが、
裏切りと暗躍の物語でもあります。

隣国のクソジジイ・イルギルに狙われるユリウスと
利用される獣やクロード。

化け物と獣の戦いは壮絶ですが、
臨場感あふれる表現でグイグイ引き込まれます!
夢や希望を持った青年だったクロードの末路は、
とても苦しく悲しいものでした……
正直ここが一番切なかったし、
精神的ダメージが大きかった。゚(゚´ω`゚)゚。

そして、思い合うユリウスとネヴィルの恋の行方は……?
〝同族喰い〟の意味とは?
『喰いたい・喰われたい』の同義語は『愛』です。
ラストはそうきたか……という驚きと納得。

恐ろしいことばかり言い同族を喰らうネヴィルは、
一番命を大切にし敬意を払う存在だったと思います。

脇役も魅力的で、特にベテラン騎士・ワイズマンは
強くて頼りになるイケおじ♡
ヘラジカの聖騎士・トニにおいては、
彼で一本作品作って欲しいと思うほど気に入りました!

登場人物それぞれが自分の意思や信念を持って動いているところが本作の魅力の一つはないでしょうか?
続編・スピンオフなど、
もっともっと広がって欲しいと思える作品でした^^

9

異なる種族が出逢ったら

善き王、とは何だと思いますか?

経済を発展させる力を持つ者?
国力を更に高めようとする者?
国民の声に耳を傾ける者?

きっとどれも正解なのだと思います。
今作の主人公であるユリウスは、まだ18歳という若さでありながら、代替わりしたばかりで先王時代から国力が落ちつつある国をどうにか支え、時には自らを投げ打ってまで国や国民の事を第1に考え行動しようとするとても心根が強く美しい強い王でした。

窮地に立たされた1人の美しくも若き王と、人間に忌み嫌われる種族の出会いが、2人だけではなくやがては国の運命までもを変える大きな出会いへと変化していくお話。
ファンタジー色が強い印象を受けるかもしれませんが、お話に無理がなく非常に読みやすいです。
全編受け視点です。


この世界には聖騎士と呼ばれる、人の姿にも獣の姿にも変容出来る人間離れをした特殊な力を持つ者が存在しています。
騎士として鍛錬を積み、獣の一族に請願し力を分け与えて貰う事によって命懸けで聖騎士になる者がほとんど…と、決して数は多くはありません。
生まれながらにどちらにも変容出来る獣の一族も存在するものの、そちらもごく少数な上、滅多に人と関わり合いにはならずにひっそりと暮している。
そんな聖騎士を何人有するかによって、国自体の強さにまで影響を及ぼす大きな存在なのですね。

先王時代から始まり、いつしか国家の命運をも賭ける事となってしまった隣国・トールとの聖騎士親善試合。
この試合に負けてしまえばジーンヴェルグ国は終わってしまう。
窮地に立たされる中、竜の力を持つ国唯一の聖騎士が隣国側へ寝返り、更に窮地へと追い込まれていきます。
竜の力に対抗出来るような頼れる聖騎士は居らず、ならばもう己が聖騎士となって戦うしかないと決意したユリウスは、黒獅子と呼ばれ忌み嫌われる者・ネヴィルに助けを乞いに行き…と続きます。


「黒獅子」とは、同族を喰らう野蛮な生き物として忌み嫌われる存在。
しかし、物事の善悪とは一体誰が決めたものなのでしょう?
種族や生まれ、育ちが違えば価値観も異なるもの。
人間が畏怖していた、同族を喰らい・喰らわれる行為は、愛し尊敬していた者を体内に取り込むという、彼等にとっては最上級の愛と尊敬の念を込めた神聖なものだったのです。
愛しているから喰らう。愛しているから喰らって欲しい。
ある意味究極の愛なのではないでしょうか。

片や、国を守り助けるために。
片や、その対価として精気を得るために。
利害関係の一致から生まれた身体の関係が、いつしか互いを深く知る事によって違うものへと変化していく。
2人ともが自身の考えを押し付けず、まずは理解しようとする人なのが素敵だなと。
2人の関係性と心情の変化はもちろん、国民のネヴィルという存在に対しての誤解が解けていく過程もなんとも自然。
民と国を第1に想う高潔で気高い心を持ち、決して守られるだけの存在であろうとはしない美しいユリウスと、寡黙で不遜なように見えて、実は孤独で一途で愛情深いネヴィル。
どちらのキャラクターも魅力的で好感が持てました。

数ある展開も読み応えがあり、悪をそのままにせずばっさりと粛清するのも、手に汗握る迫力のある戦闘シーンも良かったです。
ユリウスの選択にも、その後の行為も納得のいく結末で、本当に話の運びが上手い。
かわい恋先生の新たな一面を見た気がしました。
すっきりとした読後感が心地良いファンタジー作品。

7

一気に楽しんで読めた

小椋先生のイラストも麗しいですが、内容もとても好みでした。

窮地に立たされた若き美貌の王と、忌み嫌われている黒獅子のお話しです。黒獅子は醜い姿ではなくユリウスには魅力的で美しい獣に思えます。人型の時のネヴィルもとても美形で素敵です。聖騎士親善試合のネヴィルの圧倒的な強さは読んでいてワクワクしました。

王国に聖騎士として残って貰う取引きとして、ユリウスの精気をネヴィルに与えるわけです。最初は屈辱に感じていたユリウスが快楽に慣れ、ネヴィルに独占欲を感じて行くのが良いです。ネヴィルも明らかにユリウスに執着していました。

ネヴィルが人々に受け入れ出したのに新しい聖騎士の登場で、ユリウスを獣姿で襲おうとして城を去るネヴィルにヤキモキしました。

炎龍との戦いをきっかけにネヴィルが戻り、想いを伝えあってユリウスは黒獅子の番になりました。
ユリウスは王位を弟に譲り2人で聖騎士となりました。
孤独だったネヴィルが幸せになって良かったです。是非読んで欲しい作品でした。



4

ビックリの連続

甘そうなお話だな〜と軽い気持ちで読んだらそうでもなくてビックリしました。

まずプロローグでこれは受け視点?攻め視点?と思うのですが明記なく、分からないまま本編へ。

他国の宰相の策略で国のピンチになり、王は忌み嫌われる魔獣の元へ行き、ピンチを脱するのですが「あ、めでたしめでたし〜」と思ってるとあれ、これまだ話が始まって序盤だ…となります。

王が国を守るためとはいえ、魔獣に体を差し出すというのは外聞も悪く、二人だけの秘密の関係で…あれ、これハッピーエンドと遠くないか?とここで疑問を持ち始めます。

そこからの二人の関係が露見し、二人はどういう関係を求めるのか…という流れですが全てを書くと面白くないので割愛しますが、色んな意味でビックリの連続でした。展開の多さや黒獅子の設定、そして二人の選択。

そして最後まで読んでプロローグが意味を持ちます。二人は二人だけの愛を全うしたんだな…となるわけです。甘いお話だと思って想像しながら読んでたら全然思ってた展開と違っていい意味で裏切られて気持ちよかったです!

2

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