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楽しみにしていた小林典雅先生の初オメガバース、とても良かったです!
以下、ネタバレありのあらすじです。
Ωのキリル王子は、その身を案じた国王夫妻によって王宮から隔離され、森の奥で育てられます。共に暮らす乳母と幼なじみ、そして日を開けず会いに来てくれる兄からも愛情を注がれ、素直で健やかに、そして美しく成長するキリル。
キリルが十六歳になる年、大好きな兄が大国ダウラートの王を弑そうとして返り討ちに…。攻め入るダウラート軍から国を守るために、キリルは兄の仇であるダウラートの若き王、ロランの伴侶となることを誓います。
しかしαのロランと目が合った瞬間、キリルに初めての発情期が訪れ、ロランもキリルを運命の番と宣言し、初夜から無体を強いてきて…というところから始まります。
まず、登場人物がとても魅力的でした。
キリルは勝ち気なところもあるけれど、箱入り育ちで純粋でとても可愛いです。
そしてロランは作者様のこれまでの攻にはいないタイプで、笠井先生の挿絵によりその鬼畜具合がより際だっていて新鮮でした。
ですがロランはけして粗野な暴君ではなく、キリルの母国へも繊細な配慮をしてくれ、自国の民からも慕われる善政を敷く王なので読んでいて大変好感が持てます。
唯一キリルにだけは愛情の裏返しでひどいことをしてしまうのですが、その愛情とご無体シーンの塩梅が絶妙でした。
またロランの長いマントの演出が最高で、度々萌え転がりました。
ロランが馬上にキリルを乗せ、夜風に震える身体をマントでくるんでくれる場面があるのですが、このまま甘い雰囲気に突入かと思いきや口下手なロランがいらぬことを言ってキリルを拗ねさせ、馬上で密着してラブラブな体勢なのにキリルが超しかめっ面なのが可愛くて…!
そして渾身のエロスも堪能させていただきました…!
ダウラートに入国したキリルの身体検分はロラン自ら行い(口内、肛門、はては尿道まで)、そのまま初夜に突入。
発情も初めてなら、性的なことにも未熟だったキリルがロランの手で淫らに開かれ、心に反して媚態を晒してしまうシーンには悶絶しました…。
他にも口での奉仕を強いたり、靴下止めで縛ったり、自ら動くよう命じたり…でもそれらの行為に愛がないと思っているのはキリル(と、その幼馴染み)だけで、ロランの不器用な愛情はひしひしと感じるので安心して楽しめます。
エッチの描写も身体の様子が目に浮かぶようで素晴らしいのですが、二人の心の距離が縮まっていく過程もとても良かったです。
互いに言葉が足りずすれ違いばかりだったロランとキリルは、ボードゲームで対戦したことで心の距離が近づきます。
その中で勝ち気で過激な戦法を立てるキリルをロランが面白がって「意外に軍才があるようだ」と誉めてくれる場面があるんです。
王子でありながらΩという性のために森に隠され、国の役に立つためには結婚外交という道しかなかったキリルにとって、誰かに能力を認められたり期待されることがどれほど嬉しかったか…。
そして少しずつ距離を縮めていく中で、自分が手にかけたキリルの兄について初めてロランが言葉少なに語る場面があります。
それを聞いた瞬間キリルの想いが溢れてきて、その胸の内を語る言葉は僅かなのですが、その数行にキリルのこれまでの想い全てが込められていてたまらなくなりました。
素直で感情が全て表情に表れると思っていたキリルの胸に、こんな苦しみがしまわれていたのかと切なくなり、またそれがロランの言葉で溶けていくさまに惹き込まれました。この名場面はぜひ作品で味わっていただけたらと思います。
エッチシーンも大満足で、運命の番と認め合うまでの二人の恋愛も見所のオススメの一冊です!
あとがきの後に、キリルを慕う幼馴染みの救済SSもあり、明るく幸せな余韻に浸れます。キリルの可愛い巣作りも必見です!
兄を殺した仇が運命の番と言う、帯の通りのドラマチック・オメガバースになります。
典雅先生でオメガバースで挿し絵が笠井先生って「何事!?」となったけど。
いや~、良かった!
めちゃくちゃ良かった!!
典雅先生と言うとギャグにラブコメと言うイメージなんですけど、今回はややシリアス寄りなんですよね。
主人公は、仇に人質同然に嫁がなくてならない王子ですし、攻めは傲慢で俺様でと、かなり無体なんですよね。
だからこそ!
二人がスレ違いを乗り越えて、いつしか心を通わせるようになるのに、めちゃくちゃ萌え転がっちゃうんですよ。
また、この流れがめちゃくちゃ上手いんですよ!!
ちなみに、主人公の境遇と言うのはかなり気の毒なものですが、基本的に打たれ強くてわりと図太いキャラです。
そのせいか、そこまで痛くて切ない印象では無いのでご安心を。
ザックリした内容です。
オメガである為に、森の奥でひっそり育てられたコルトー公国の第二王子・キリル。
16歳になったある日、大国ダウラートとの間で領土争いが起こり、講和を装ってダウラート王暗殺を目論んだ兄が討たれてしまうんですね。
そこで、国を守る為に人質となるべくダウラート王・ロランと対面したキリルは、何故か初めての発情期を迎えてしまいー・・・と言うものです。
で、ロランから同盟の条件として、運命の番であろうキリルを伴侶として寄越すように要望されと言う流れ。
と、こちら、大筋だけみると、かなりシリアスなんですよね。
実際、序盤は結構なシリアス展開なんですよね。
ロランは最初から「稚児趣味は無いが、運命の番のようだ」てな感じで傲慢な態度。
しかも、初めて会ったその日に、「何も隠し持ってないか検分する」とか言って目の前で裸にさせ、更に「口の中や尿道、肛門も確かめさせて貰う」と無垢なキリルの身体を拓く。
で、そこから毎晩毎晩、キリルが気を失うまで激しい責め苦。
えーと、かの名作「恋襲ね」がかなりのエロエロっぷりだったりするんですけど、負けず劣らずエロエロなんですよ。
身体検査に始まり、わざわざ乳兄弟に情事の声を聞かせ、射精管理に潮吹きにと言った感じで。
いや、典雅先生、飛ばしてるー!
と、こんな感じで抱き人形のように扱われと、ロランに対して憤りを募らせるキリル。
更に、ダウラートには同じような美しい人質達が多く居てと、自分はその中の一人でしかないと思い込むんですね。
繰り返しになりますが、これ、普通ならかなり痛い印象だと思うんですよ。
が、そこは典雅先生。
このストーリーで、実際の印象としてはそこまで重くなかったりします。
と言うか、結構笑えるし可愛くてキュンとしちゃう場面も多いと言うか。
そもそもキリルですが、森の奥で、乳母と乳兄弟であるリオと言う限られた人の中のみで育ちと、かなりの箱入りだったりします。
ただ、国王夫妻や兄王子は定期的に訪れて可愛がりと、すごく愛されて育った幸せな子なんですよ。
だから、箱入りだけど打たれ強いし、精神的にも強い。
図太いとも言うか。
えーと、かなり強気ですし、基本的にポジティブなんですよね。
ロランに「病弱で箱入り育ちらしいから~」とか言われれば、内心で「病弱じゃないし、森で暮らしてたから健脚には自信がありますが?」みたいな。
また、「馬の扱いに慣れてるか?」と聞かれれば、「「乗馬は得意です。空想では」と言うべきか「もちろん乗れます」と答えて初挑戦でも巧みに乗りこなせる奇跡を願うか・・・」なんてやってる。
一応シリアスなのに、こんな感じでちょくちょくプッとくるエピソードが入ってるんですよ。
えーとこう、傲慢な攻めにやられっぱなしじゃ無い所が、雰囲気を明るくしてくれると共に、キリルの魅力にもなってると思うんですけど。
対して、攻めとなるロラン。
しつこく傲慢と書きましたが、実は彼は彼で、少しずつ見えてくる本当の姿が魅力的でして。
奴隷上がりの残虐な王と言う噂が先に来てるんですけど、それは先代のダウラート王の話。
ロランですが、その残虐な王を弊して、圧政に苦しんでいる国民を救った英雄なんですよね。
実は。
また、彼のバックボーンと言うのはかなり過酷なもので、孤独な人生を歩んできた人物だとも分かる。
共に過ごすうちに、ロランのそんな本当の姿を少しずつ知り、キリルの気持ちに変化が起きて行くー。
や、最初の「憎むべき仇」から、少しずつ少しずつキリルの中に親近感が芽生え、そんな彼の変化により、二人の関係があたたかいものになって行く。
いやね、愛も無く嫁がされ、一生許せないと思った相手を、これからは共に生きて行く伴侶だと心から思えるようになるかも・・・。
と、キリルが思うシーンが素敵で。
ロランを知れば知るほど、憎み続ける事は難しくなってしまったんですよね。
本当は、もう許したかったんですよね。
いやもう、祖国を遠く離れた場所でと激動の運命をたどった主人公が、こうしてやっと安らぎを覚えるのに、グッと来ちゃんですよ。
この後ですが、もう一波乱あります。
で、このエピソードにより、ようやく誤解が解け、心が通じあう二人。
えーと、ここまでのロランの傲慢な態度ですが、実は・・・と最大級の萌えが来ます。
ちょっ!?
ロラン、どんだけ不器用なの!?
内心と言ってる事の解離が凄まじすぎるんだけど!
てか、そんなの分かるかーーーい!と。
いやもう、小学生かい!!
また、ここでキリルがズケズケと、これまでの酷い態度を突きつけて責めるのにもニヤニヤしちゃって。
ロランがやり込められてタジタジで、ボソボソと謝るのにも笑いが止まらんがな!と。
攻めザマァとしちゃ生ぬるいけど、とりあえず最高だよ!
ちなみに、二人が結ばれた後はめちゃくちゃ甘いです。
終盤でキリルに妊娠が発覚しますが、お腹の子供に「キリルからとって『リルリル』と呼ぶか。『キリキリ』ではあまり可愛くないからな(キリッ」とかってロランがやってるのにも爆笑しましたよ。
小林典雅さんは作家買いしているので、小林先生のオメガバース、どんなのかしらって、書影も絵師様もノーチェックで予約してたので、開封してビックリ。
これ、予約してなかったら書店の店頭では見逃す。
でも、笠井先生のカバーイラストにしては珍しくガッツリ着衣していて、その辺の奥ゆかしさが小林作品らしさに通じているのかな。
オメガがただただ虐げられていたり、アルファが(アルファじゃなくても攻め全般が)傲慢だったりするのは、私もあんまり好きじゃないので、小林先生の世界設定はすごく安心できて楽しかったです。
最後のリオドルス救済のお話もすごくうれしかった。
小林先生自身も後書きでおっしゃってましたが、小林先生がオメガバース!?と最初はビックリでした。
なんだか、あんまりイメージじゃないんだけど…と思ったのですが、皆様のレビューを見て、あら、なんだか面白そうね、と購入させて頂きました。
まずは受け様のキリル。
オメガではあるけど、両親にも王太子である兄にも愛されて大事にされてて、離宮で暮らしてるけど、優しい乳母と乳兄弟のリオドルスとのびやかに暮らして、成長していきます。
攻め様のロランは、キリルの兄が和平交渉の場でむかってきた為にその場で殺してしまい、キリルからは兄の仇、と初対面が憎まれちゃってます。
なのに、キリルが運命の番だと理解して、そのまま伴侶として自国へ連れ帰ることに。
こんな関係からのスタートなので、キリルはもちろん絶対心は明け渡すものか、と頑ななのですが、オメガバースで運命の番の2人なので、えちシーンはけっこうあるし、めっちゃトロトロです。
うぶなんだけど、楚々としてるんだけど、エロいって素晴らしい。
そしてまたロランがもう最初からなんだこいつ、という傲岸不遜な態度で、鬼畜な所業のあれやこれや。
口をひらけば、あざ笑うようなセリフの数々。
てめぇ、いい加減にしろや、と何度思ったことか。
そんなロランが、キリルに対して兄を殺した事を詫びたのは、キリルに対して救いになっていてよかった。
頭ではロランだけが悪いわけじゃないって分かっていても、気持ちは納得できないものだものね。
やっとロランへの好意に対して素直になれる事ができてよかったねぇ。
ロランをかばってキリルが怪我をするところは萌えまくりでした。
受け様が攻め様をかばって怪我をするってシチュエーション、大好物なんです。
こっからは怒涛の溺愛攻め様ロランでございました。
いいぞー、そうこなくっちゃね。
不器用がすぎるだろ、ロラン。
そう思って読み返してみたけど、ちょいちょい不器用だねぇポイントあるけど、最初の頃のロランはやっぱり鬼畜だわ。
その分を取り返して有り余るくらいの溺愛をキリルに捧げていってね。
そうそう、挿絵が笠井先生っていうのも意外でございましたが、笠井先生の描く中世の騎士みたいなロランと深窓の王子キランがとっても美しかったです。
小林典雅先生のオメガバース、そして笠井あゆみ先生がイラストって知って楽しみにしてました。
今回はいつもの穏やかな溺愛攻めではなく、悪しき先王を倒して王位に付いた奴隷上がりで俺様な敵国の王ロランです。
受けのキリルは小さい時に城で重臣に狼藉を働かされそうになり、森の奥で大切に育てたられた箱入りのオメガの王子なのです。
キリルの兄が和平交渉の際にロランを暗殺しようとした事から返り討ちに遭い、ロランが城に軍勢を引き連れて来た事により2人は出会います。
キリルはロランに出会い初めての発情を迎えるのです。「運命の番」であるから伴侶とし迎えるかわりに、属国ではなく同盟国にすると言われロランの治める国に向かいます。
道中から2人は体を繋げるのですがロランが不器用で口下手な上に、キリルも勝ち気で兄を殺されたと思っているので拗れまくるんです。
そしてキリルが子どもで箱入りで世間知らずなのがややこしくしてました。2人の相性は悪く無いしロランは無愛想ながら優しいのに、頑ななキリルに焦ったくなりました。それでいて勝手に誤解して、無意識に嫉妬したりしてました。
それでも最後に2人が気持ちを確かめ合ってからは、ロランは初めからキリルに夢中な溺愛攻めに変わってました。むしろ尻にしかれてました。やっぱり小林典雅先生らしい作品でした。