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表題作にゃん虎パニック ~恋スル呪イ~

樋垣駿一郎,28歳,海翔が慕う老女の孫
仲原海翔,17歳,突然猫になる身体になった高校3年

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

万が一傷が残ったら、責任を取って嫁にもらうことにしよう

猫に変身する体になってしまった海翔は、憧れの駿一郎に正体がバレないようにしながら少しずつ距離を縮めていくけど……?


身内が父しかおらず一人の家に帰りたくない海翔は、ご近所のおばあちゃんの家に通っていた。
その家に堅物で強面な孫の駿一郎も暮らすことになり、不愛想で冷たい人かと思えば事あるごとに海翔を甘やかそうとしてくれる駿一郎。
毎日一緒に過ごすうちに、海翔は駿一郎への憧れと高まる想いを持て余し始めていた。
しかし、18歳の誕生日直前にトラ柄の猫に咬まれた海翔は、茶トラの猫に変身する体になってしまったのだ!
猫状態の時しか駿一郎との距離を縮められずやきもきしていたある夜、変身する瞬間を駿一郎に見られて――!?

作品情報

作品名
にゃん虎パニック ~恋スル呪イ~
著者
真崎ひかる 
イラスト
北沢きょう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576200897
3.2

(7)

(0)

萌々

(4)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
21
評価数
7
平均
3.2 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

霊獣の加護がもたらす恋

今回は祖母と同居する庭師と留守がちな父と暮らす高校生のお話です。

虎の加護で猫化した受様が呪いを解いて攻様の恋人になるまで。

受様は3才で母を亡くし、海外出張の多い父に代わって母方の祖父母に
育てられます。郊外の古びた一軒家での暮らしは慎ましく穏やかで受様
は祖父母が大好きでした。

ところが中学を卒業する直前に祖父、後を追うように祖母が亡くなり、
受様の1人暮らしは認められず、父の暮らす自宅マンションに戻ること
になりますが、父は相変わらず国内外を駆け回っており、長年離れてい
た溝はなかなか埋りません。

そんな受様が新たな楽しみを見出したのは、祖父母と暮らした家に似た
日本家屋に住む老夫婦との出会いでした。散歩中に見かけたその一軒家
は立派な庭を数匹の猫が駆け回っていて、その家の愛犬に懐かれた事が
きっかけで招き入れられたのです。

長距離の散歩がきつくなっていた2人に代わって愛犬の散歩をしたり、
庭で遊ぶ猫に餌をやったり、夕食を食べさせてもらったり。受様にとっ
てその家はとても心地よい空間でしたが、年明けに元気だった主人が
急死してしまいます。

1人残された老夫人が心配で受様は毎日通うようになりますが、いつもの
ように門をくぐったある日、正体不明の大男にぶつかった上に低い声で
「誰だ」と凄まれてしまいます。この男性こそが今回の攻様です♪

騒ぎに駆けつけた老婦人は攻様を彼女の孫、受様を近所に住む高校生で
愛犬の散歩をしたり、一緒ご飯を食べてくれるお友達と紹介します。な
んとも雑な説明ですが、無表情で受様を見下ろしていた攻様は納得した
ようで、受様は内心でこれでいいのか!?とも思ってしまいます(笑)

疑われても納得されてもすっきりしない受様でしたが、受様をまじまじ
と見た攻様はなぜか受様の前髪を払い、また納得したようなそぶりを見
せ、受様はさらに混乱してしまますが、攻様からの応えはありません。

攻様は受様より10才年上で祖父の生業だった庭師を継ぐべく祖父の知人
の元で修行中で、1人になった祖母と同居する事になったのだそうです
が、祖母と愛犬の楽しみならと特に受様が通う事も許可してくれます。

受様は攻様になかなか慣れませんが、攻様に愛犬やのら猫達と同じよう
に大きな手でくじゃと髪を撫でられてドキドキしてしまいます。妙に
気恥ずかしくて逃げるように出てきた帰り道、受様はを樹の上から落ち
てきた茶トラ猫に右手の親指に噛みつかれてしまいます。

実は受様は春先にも友人とともに訪れた動植物園で、木の上から落ちて
きたトラ猫に引っかかれて額に怪我をしていたのです。自宅で風呂に入
る頃には血も止まっていましたが、夜空には見事な満月が浮かび、ふと
狼男の伝説を思い出してしまいます。

というのも受様の祖父が亡くなる少し前、ひときわ奇妙な事を言ってい
たのです。それは「虎に気を付けろ」というものでしたが、突然激しい
頭痛に襲われ、節々が痛くなってしまいます。

しばらくのたうつていた受様ですが、何度目かの深呼吸で全身の痛みが
消えます。しかし「何だったんだ」と呟いいた一言は「ニャー」と猫の
声になり、ベッドに着いた自分の手は毛むくじゃらのネコの手で!?

母方の直系男子にのみ受け継がれる虎の呪いで猫化してしまった受様が
攻様に助けられながら呪いをしくファンタジックなもふもふラブコメデ
ィになります♪

受様の母方の家系には不思議な虎伝説があります。数代前のご先祖が大陸
出兵の折に、親のはぐれた霊獣の仔虎を助けて「虎の能力」を得、戦火を
潜り抜けて無事に生還を果たしたと言うものです。

「虎の能力」は男子にのみ受継されますが、平和に世では無用の長物で、
虎に噛まれる事が引き金となる能力の顕現は、18歳までに縁を断ち切れ
ば生涯発動しないと聞かされてたものの、病床の祖父に語られた事もあり、
受様は半信半疑だったのです。

また今の日本で虎に噛まれる事はまずないとも思っていたのに、トラ猫
までもアウトだなんて聞いていないし、加護というよりむしろ呪いとい
う感じです。

以降受様はトラ猫にぶつかると猫になり、夜明けと共に人間に戻るよう
になるのですが、ある夜、猫になったところを攻様に見られてしまうの
ですよ♪

この辺りは人間から動物になるファンタジーだと鉄板というか、王道です
が、受様は攻様の協力を得て呪いを解くというか、人間に戻る方法を探す
事となります。

受様が祖母の友人的存在でも、猫になる事がバレるまでも、猫だとバレて
も攻様の態度は全く変わらず、受様だけがドキドキしているような展開な
ので、呪いが解けて2人が恋人同士になるまで、どうやる事かとワクワク
&ドキドキ、楽しく読ませて頂きました♪

攻様が受様にゃんこを愛でるシーンとか、愛犬君がにゃんこになった受様
を匿ってくれるシーンとか、受様が猫になってかなり大変なはずではあり
ますが、すごくほのぼの&ほっこりさせられました。

真崎先生のお話はけっこうとんでもファンタジーで、天然系な受様がグル
グルするお話が多いです。本作もそんな1冊ですが、今回の攻様は祖父に
似て寡黙で無骨そうな方なのですが、思考は柔軟過ぎるくらいに柔らかく
て、受様のグルグルに輪を掛けていたところがあり、そのギャップがけっ
こう萌えツボでした (^-^)v

北沢先生のイラストもすごくキュートで良かったです♡ 猫の受様が攻様に
抱かれて寝てるシーンとか、猫耳&猫尻尾に驚く受様のイラストとか可愛
過ぎですぅ♡

2

とにかく可愛い

お話が王道だけどめっちゃ可愛い。そして北沢きょう先生の挿絵がこれまためっちゃ可愛かったので萌2より萌にしました。ああ可愛いという言葉しか出ない、猫ちゃんに化けちゃうファンタジー、本編210Pほど。猫好きな方には、たまらんはず。

育ててくれた祖父母と死に別れ、やむなく忙しくてロクに家にいない父親と同居することになった海翔(かいと)。散歩の途中に知り合った赤の他人である老夫婦とすっかり仲良くなり、ワンコの散歩をしたり晩御飯をごちそうになっています。ある日、祖母ちゃんが一人暮らしになったから同居する、と孫がやってきて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
リキ(攻めの家の飼い犬、しゃべりませんがお利口)、お祖母ちゃん(攻め祖母、ほんわり癒し系)、受け父(多分不器用)、智希(受け友人)、その他攻め祖母宅に出入りする猫少々。

**可愛かったところ

高校生ちゃんが、先祖からの呪いかなんかで、虎に気を付けなきゃいけない家系という設定。トラ猫に引っ掛かれたり咬まれたりしたのをきっかけに呪い?が発動、トラ猫に触られると猫に変身してしまう・・・という設定。

その猫になった後がとにかく可愛い。猫になった自分に気付いてギャーといったつもりでも「にゃああお」だし、「・・みゃう・・」(家に入れない・・)等喋るのに、萌え転げ。穏やかなワンコらしいリキがちゃーんと受けさんのピンチを救ってくれるも良い~!

最初表情硬めのコワイ人かと思った攻めさんでしたが、猫ちゃん(受け)を「月見につきあえ」などと言って膝にのせ、優しくなでられ、受けは気持ちよくなってゴロゴロ・・・・ああ夢のようなシチュエーション。大好き、こうやって甘やかしてもらうの・・・

途中でネコ化することに気付かれて、ネコ化を解除する方法を色々試され、めでたしめでたしというお話で、王道ではあるのですが、懐っこい受けの性格のおかげか、堅物イメージのある攻めが猫にだけ優しいという設定の勝利か、最後まで「か・わ・い・い!」とにまにましながら読了できました。癒しだ。

可愛いらしいファンタジー、特にネコお好きな方でしたら、おススメです!

2

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