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福引で当たったので異世界に移住し、恋をしました ~命を紡ぐ樹~

fukubiki de atattanode isekai ni ijushi koi wo shimasita

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表題作福引で当たったので異世界に移住し、恋をしました ~命を紡ぐ樹~

クリシュ,22歳,誠実で皆に慕われる騎士隊隊長
松本忍,19歳,植物系チート能力持つ料理上手な日本人

その他の収録作品

  • 少し未来の空の下
  • あれから八年たちました

あらすじ

福引に当たって移住した異世界で、騎士隊長クリシュと恋人同士になった忍。
ずっと孤独だった忍を、クリシュは温かな腕で抱え込み、愛で満たしてくれた。
生命の木が枯れていき子供が生まれなくなった世界。
大好きな人たちが生きるこの世界のために、できることならなんでもしたい…!
そんな時、植物チート能力で生命の木の記憶を見た忍は「種」を託される。
それは、この行き止まりの世界を救う最後の希望だった…!

作品情報

作品名
福引で当たったので異世界に移住し、恋をしました ~命を紡ぐ樹~
著者
花柄 
イラスト
笹原亜美 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
電子発売日
ISBN
9784799748145
4

(23)

(12)

萌々

(5)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
1
得点
89
評価数
23
平均
4 / 5
神率
52.2%

レビュー投稿数1

世界を支えた木の望みとは

今回は特別な一族を守る騎士と異世界に移住した日本人のお話です。

異世界で生きる事を選んだ受様がチート能力で世界の未来を変えるまで
と後日談短編を2本収録。

高校卒業後に就職予定だった受様は就職が決まらず、少なくなる預金に
困っていた時に商店街の福引で特等「選べるギフト」を当てます。その
中の「異世界移住権」で異世界移住者に衣食住保証していたアグラムに
移住する事にします。

界渡りした受様は植物系チート能力保持者となっていて、植物が早く
大きく育つ能力を持っていた事から、特別な"生命の木"を守る一族の
当主を守る騎士隊の隊長である攻様と知り合います。

大柄なアグラム人の中で華奢な受様は色々と苦労しますが、人見知り
しない性格で周りの人々と親しくなり、彼らと関わる事で徐々に受様
も異世界生活に慣れていくのですが、そんな時に界渡りのゲートが
消え、元の世界へは二度と帰れなってしまいました。

気軽に行き来できると思っての移住だった受様にとって、それはとても
ショックな事でしたが、攻様の存在が受様の支えとなります。受様は
攻様と恋人同士として一緒に暮らし始めます。

そうしたある日、受様のチート能力で生命の木を活性化できないか見て
欲しいという要請を受けます。アグラムの夫婦は生命の木の実を食べる
事で子供を授かるのですが、生命の木は10年前から実を付けなくなり、
結果的に子供が生まれなくなっていたのです。

多くの人が解決策を探し、攻様も主人と様々な土地を巡っている事を知
る受様は自分にできる事があるならばと引受ける事に。翌日、早速当主
に返事を伝えに行くと大変喜ばれます。

今でも活力のある生命の木の本体のある場所に行くには色々と準備がい
りますが「ぜひ木の見学をしていってくれ」という当主の言葉で受様は
攻様の案内で森に入ります。

武装する騎士に守られた鉄の扉を潜った受様の目の前に広がっていたの
は枯れた森でした。歩き進めていくうちに雑草すらも少なくなり、最初
に枯れ始めと言う場所は土もバサバサでした。

少し進むと彼はと黄色くなった葉が入り乱れ、辛うじて生きている事を
感じられる場所に出ます。受様が幹に触ってみると表面はしっとりして
いてホッとしますが、着の声が聞こえるわけではない受様でも何があっ
たのかと訊ねずにはいられません。

受様は幹に抱きつくように額を当てて、目を瞑って心の中で話しかけて
みます。

みんな心配してる。早く元気になって欲しい、って祈ってるんだよ。

受様が頑張れ、頑張れ、元気になれと唱えながら抱きついていると触れ
ている部分が徐々に熱くなり、子供の笑い声が響いたと思ったら周りの
景気が一変します。

黄色かった葉が一面の緑に変わり、木漏れ日が煌く中、生命の木は緑の
匂いが濃く漂い、生命力に満ち滝となっていました。なぜか懐かしいよ
うな気持ちになる受様ですが、攻様に声を掛けられるとその情景は消え
てしまいます。

受様の見た情景は生命の木の記憶なのか!?
果たして受様の力は生命の木に力を呼び戻す事は出来るのか!?

3月刊行の「福引で当たったので異世界に移住し、恋をしました~手を
繋いで~」の続刊で、異世界に移住した受様と攻様との恋の行方を絡め
つつ、異世界の未来に大き変化をもたらす異世界トリップファンタジー
の完結巻となります♪

既刊は生活に息詰まっていた受様が異世界移住を試み、少しづつ異界に
馴染んでいく様子が主軸でしたが、本作はアグラム人が異世界と繋がり
を持とうと試みた理由の元ともなった生命の木の存在がクルーズアップ
されていきます。

アグラム人は妊娠しにくい体質で、結婚して3年以上たつ夫婦が生命の木
の付ける実を食べる事で体をが変えて子宝を得やすくしていました。し
かし、生命の木はなぜか10年前から実を付けなくなり、徐々に枯れ始め
たのです。

生命の木を守る一族の当主を始め沢山の人々が生命の木の異変を止める
べく様々な手を打ち続けるも上手くいかず、遠くない未来に絶えてしま
う世界に新たな人々を移住させる事で人口を増やそうとしたのに、異世
界とのゲートですらも消失してしまうのです。

なぜ生命の木は実を付けなくなったのか、初めてにして最後の異世界人が
なぜ受様だったのか、受様が植物チート能力を得たのは偶然だったのか。

既刊で明かされなかった謎というか、伏線は本作で全て詳らかになり、
生命の木が枯れ始めた理由も明らかになります。それにはある人物が関わ
っていたのですが、受様は生命の木の想いを受け取り、新たな未来をアグ
ラムの人達にもたらすまで、どうなるのかとハラハラ&ワクワクでした。

生命の木に纏わる展開はなかなか作りこまれて面白かったのですが、受様
の私生活や恋愛絡みの個の出来事と、生命の木と受様の力に関わる世界レ
ベルの出来事が交互に進み、どっちつかずな感じが強く「萌」評価としま
した。

受様的にはどちらも同じレベルで大事なのでしょうけど、既刊でかなり私
生活は描かれているし、本作は生命の木との関りに重点を置いて一気に読
ませる感じのほうが読みやすかったかなと思ます (^-^A

とはいえ、受様の私生活パートの早食い大会とか、攻様の両親へのご挨拶
旅行とか、生活感の溢れるほのぼのはしっかり甘々で美味しかったです♪

次作に期待しています。

2

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