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manindensha to kimi
なんだか薄暗い表紙に惹かれて購入しました。
いざ蓋を開けてみれば、はじまりこそ歪だけど、意外にも純なストーリー。
インモラルなエロを楽しみたい方はご注意ですよ!
主人公の真山(攻)は、後輩に舐められ上司になじられ、地味で冴えないサラリーマン。
頼まれると断れない「お人好し」です。
あぁ、いるいるこういう残念な人…!
断らない、だったらかっこいいですけど。
断れないってところがなんとも残念なんですよね。
都合のいいように使われて、自分だけ割りを食うタイプ。
けれど、そんなお人好しすぎる真山だからこそ、このストーリーは成り立つのです。
ある日、満員電車で通勤中の真山は、見知らぬJKに無理やり胸を触らせられます。
そのJKの正体は、痴漢プレイでしか興奮できない男子大学生のつかさ(受)でした。
胸を触った時の写真をネタに脅され、真山は痴漢プレイに付き合わされることになります。
ヤバいことを強要されているのに「もうちょっと自分を大事にした方がいい」などと、つかさの身を案じる真山。
ふいに見せる寂しそうな表情が気にかかってしまったり、さっそくお人好しモード全開です。
さらに、つかさの特殊な性癖は中学時代のトラウマが原因であると聞かされ、自分が断れば別の男とすることになるのだと覚った真山は、つかさのことがますます放っておけなくなり本当の恋人だと思って接すると宣言するのでした。
そんなある時、真山はつかさが別の男に痴漢されているところを見てしまい、反射的に手を引いて助け出します。
よけいなお世話だった?と尋ねると、触られるなら真山がいいと返事が返ってきて…
ふたりの関係はぐんと甘いものに変わっていきます。
汗くさいからくっつかないでと言えば、おじさん(真山)の匂い嫌いじゃないと答えたり。
満員電車に乗っている間、ずっと手を握ったり。
あまりにも初々しくて、見てるこっちが恥ずかしいくらい。
ついには、自宅に上がることまで許してしまうのです。
ちょろいなぁ、真山!(笑)
でも、最後にするから抱いてほしいというお願いだけは、受け入れることができなくて――…
「人畜無害そうだから」真山を選んだと言っていたつかさですが、実はきちんとした理由があったことが最終話で明かされます。
なるほど。
やたら強気で強引だったのも、真山が相手だからこそで、つかさなりに必死だったんだなと分かります。
つまり、自分を必要としてほしいという願望を燻らせていた真山にとって、つかさはまさにそれを満たしてくれる存在で。
真山の側としてもつかさだからこそ、ただ流されるままではなく自分の意思で惹かれたのでした。
最後まで読んでみて感じたことは。
JKコスで痴漢プレイ強要するつかさは確かにヤバい子なんですけど、真山の方がよっぽどヤバい奴だということ。
自らを「電信柱」に例えるところなんか、けっこうゾッとします。
でもヤバいと言っても理解不能なサイコパスじゃなくて、分からなそうで分かってしまうから余計に怖い。
たいした主体性もないくせに、他の誰でもない自分を求めて欲しいと思ってるあたり、うわぁ…と思うのに、冴えない真山の気持ちが分かってしまう残念なわたしがいるんですよ。
真山ださいなぁ→でも分かる→真山かっこわるいなぁ→でも分かっちゃう
これの繰り返し。
とにかく真山という人間に嵌ってしまい、万人ウケはしないだろうなと思いつつ、個人的には買って良かった一冊でした。
で、本編後のふたりが見れる描き下ろしと電子限定の描き下ろし。
相変わらず真山視点なんですが、もうね、つかさがすこぶる可愛いです。
つかさの愛が深い。そして重い!(笑)
重いのがまた可愛い。
最後の最後に可愛いつかさを連続投下されて、なんだかものすごく甘ったるいものを読んだような、ほんわかした気分で本を閉じました。
真山に負けず劣らず、わたしもちょろいな。
とてもライトな痴漢ものです。
ただこれ、痴漢ものといっていいのかな……?
ちょっと触る程度の行為だけなんですよね。
小指先生も仰っていますが〝痴漢もの〟というジャンルを活かしきれていない…と、失礼ながら私もそう感じました。
電車内でしか興奮できない大学生・つかさにロックオンされた会社員・真山。
女装したつかさに無理やり胸を触らされて、その写真をネタに車内での痴漢行為を強要されていくーー…というお話。
うーん、かなりエロい内容を想像しちったのですが、実は全然といっていいほどエロくない!
痴漢ものには、スリリングさや背徳感、エロさを期待してしまうのですが、そういったものが全く感じられませんでした。
ここがすごく残念だったし、つかさの過去は理解できても、そこを克服するプロセスが雑だったと思います。
そして攻めの真山は、ただの押しに弱いお人好し。
つかさの憂いのある表情に絆され、流されていきます。
恋人でもない限りそういう行為はできないと言う真山に、つかかさは「なろっか」と返し、二人はあっさり恋人に。
直ぐに恋人関係になってしまったことで、痴漢ものとしての魅力は半減してしまったかもしれません。
恋人同士になってからも痴漢プレイはほとんどないのですが、満員電車で手を繋いでいるだけの場面は可愛くてキュンとしました。
それでも、つかさが真山を選んだ理由を知ると納得できるところもありました。
好きな人に触ってもらいたい……そして、好きな人となら場所は関係ない。
名前だけの恋人から、本当に思い合える恋人に変わっていくところは良かったと思います。
ただ、描き下ろしの初Hもページをめくると既に事後って……
ちょっとばかり物足りなさが残りました。
痴漢ものとして期待しなければ、普通に可愛いお話だったと思います。