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春雷のような君
季節は春。
高校1年生となった大生が出会ったのは、美しい黒髪の美少女・白良木。
しつこい部活の勧誘に困惑していた所を救ってくれた白良木に一目惚れをしてしまった大生だけれど、"彼女"にはワケがあって…と続きます。
初読み作家様でした。
あらすじの通り、女装男子ものです。
共学高校に颯爽と現れる長身の美女。
初見では誰も男子生徒だと見抜けないほどの美しさの彼。
男だとバレた後もそのまま女子制服を着てメイクをして登校を続ける白良木のハートが強い。
これだけだとなんのこっちゃとなりますが、彼が女装をするのにはワケがあって、ただの趣味での女装ではないのです。
というのも、幼い頃から身体が弱く入院生活を送っている妹の「私も外の世界でたくさんの人に愛されてみたかったなぁ」という言葉を聞き、自分が妹のような姿をすれば妹がたくさんの人に愛されるという証明になるのではないか？と考えたからとのことで…
いやもう、なんでそうなる？と思ってしまう。
しかしながら、その美貌からか実際に男子生徒から告白をされたりもしていますし…謎の説得力がある…
彼なりの信念のようなものがあるんでしょうね。
ちょっとズレていますけれど。
そして、そんな白良木という、ある意味衝撃とも言える存在と出逢ってしまった平々凡々な男子高校生の大生。
初めは女装姿の美貌に一目惚れし、その後男と知って戸惑うものの、やがて学校行事やデートをきっかけにお互いの距離が縮まり、少しずつ彼の人柄に触れていく。
その内に、白良木の飾らない真っ直ぐな性格、人と違う事をする勇気や信念を持った姿に惹かれていきます。
お約束ですが、女装姿ではない素の姿も可愛く見えて来ちゃうなんてことも。
うーん、お話的には少し荒削りな部分もあって、分かり辛い部分が多々見られるのです。
距離が縮まるのが早かったり、性的関係に進むまでが早かったり、女装の理由も突拍子のないものだったり。
どこかひとつのエピソードに焦点を絞って掘り下げたらもっと読みやすくなったかも。
ですが、自分には出来ない事を周りの目を気にせずに平然とやってのける白良木のかっこよさに魅力を感じる大生の気持ちは分からなくもないかも。
一方の白良木は、自身の異質さをきちんと把握していて、男だと知った周囲が距離を取るのも無理はないと考えていましたが、そこに自ら飛び込んで来た大生という優しい存在にいつしか心が救われていたというもの。
この作品、白良木も大生もどちらも優しい子なのですよね。
デート前のドキドキや告白シーンは若さあふれる甘酸っぱさで素敵でした。
ちなみに、女装受けではなく女装攻めです。
素の姿ではなく女装のまま攻めているので、苦手な方はご注意ください。
同時収録はカフェが舞台の短編。
天然たらしのオーナーに胃袋も心も掴まれてしまう男の子の甘いお話です。
絵は綺麗ですし、登場人物にも好感が持てます。
作家様はこちらがデビューコミックスとの事で、今後に期待を込めての萌評価で。
優しいお話
入院生活が長い妹の願いを叶えてあげたい心優しい兄・佑の振り切った行動。
それは自ら女装して妹の姿で学校に通うというもの。
そんな佑を女の子だと思って一目惚れした、同じクラスの大生とのお話でした。
すぐに佑は女装している男だというのは明かされますが、それでも大生の気持ちは冷めず。
さまざまな出来事を通して佑自身に惹かれていく日々が優しく描かれていて良いなと思いました。
女装しているのでほぼ女の子みたいな佑ですが、その真ん中にある男らしくて温かい心にキュンとしてそんな彼に惹かれた大生の気持ちがわかりました。
初エッチは保健室！というロマンのある展開になりながらもそんなに簡単に挿入らないよ…とつっこみたくなる場面で現実に引き戻されてしまって。
駆け足でエッチを盛り込んだ感じになっていたので最後の最後でスンッ…となってしまったのがちょっと残念だったな、と。
エロなしでも十分楽しめたお話だったのではないかなと思いました。
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