ずっと、一生、死ぬまで、俺のそばにいてくれ。

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六花の騎士と雪の豹 ~冬実る初恋~

rokka no kishi to yuki no hyou

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表題作六花の騎士と雪の豹 ~冬実る初恋~

五十嵐在臣,27歳,六花の騎士団副団長・白野の義兄
五十嵐白野,22歳,雪豹の獣人・在臣の義弟

その他の収録作品

  • 白き野に咲け恋の花よ
  • あとがき

あらすじ

人々に愛される優秀な騎士×希少な雪豹の獣人。
兄弟のように育った主従のふたりが送る、すれ違い純情ロマンス


十八年前のクリスマス、稀少な雪豹の獣人であり、愛玩用に密輸されかけた白野は、獣人専門家の五十嵐夫妻に引き取られる。
夫妻のひとり息子・在臣は、ひどく傷つき名前すら忘れてしまった彼に『白野』と名づけ、優しく寄り添ってくれた。
そして現在、在臣は六花の騎士団副団長、白野はその従者となった。自分の恋心を押し殺す白野は、在臣の役に立つことだけを願っている。
そんなある日、一度も来ていなかった発情期が突然白野に訪れ…?

作品情報

作品名
六花の騎士と雪の豹 ~冬実る初恋~
著者
柄十はるか 
イラスト
白松 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576201610
3.2

(33)

(8)

萌々

(8)

(7)

中立

(5)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
9
得点
98
評価数
33
平均
3.2 / 5
神率
24.2%

レビュー投稿数9

この世界にもっと浸りたい

ちるちるさんの記事に惹かれて、初めてBL小説を買いました。
買ってよかった!と大声で100回くらい叫びたいです。
はっきりしたネタバレはありませんが、結末は伝わってしまうと思います。

在臣は獣人に引けを取らないほど強く、見た目も文句なしに格好いい騎士。
それでいて奢らず、くだけた口調で人々に親しまれています。
従者の白野はユキヒョウの獣人で、美しくこちらも実力者。
とても控えめで、在臣の身の回りの世話をせっせと焼いています。
主従でもあり義兄弟でもあり、そして…
両視点で描かれるお互いへの想いに一喜一憂しながら夢中で読みました。

白野の過去、すれ違う二人に何度も泣きました。
家族として愛する人としての、優しく熱い愛情にも泣きました。
幸せなシーンでは胸がいっぱいになり、嬉し泣きしました。

上官でもあり友人でもある理王、その従者でありアニキ肌の灯里。
この二人の存在が本当に心強かったです。
在臣と理王・白野と灯里の関係もすごく沁みました。四人が堪らなく愛おしいです。
スピンオフか、出来れば在臣と白野の続編の中でこの二人を描いて頂きたいです。
他にも人間・獣人問わず魅力的な登場人物が何人か登場します。
叶うなら、もっともっとこの世界を見ていたいです。

本当に本当に素敵で、とっても満たされました。
白野の愛らしい仕草がすごくツボで、いま猛烈にユキヒョウを見に行きたいです。
白松先生の透明感のある美しいイラストにも魅せられました。
タイトル文字も綺麗な表紙のデザインはコガモデザインさんです。

6

雪のシーズンにぴったりなファンタジー

主従両片想いすれ違い純情の萌え萌えで拝読中は優しい世界に癒され続けました。人物も和名で把握しやすくすんなり関係性を繋げられます。
先生のインタビューで一度目のプロットは学園物だったとありましたが、なるほど魅力的な友人達が登場しますものね!
白豹の耳と尻尾に気持ちが現れているシーンは可愛さで唸りました。
このお話、というかこの世界線の登場人物たちがそれぞれに人生背負って生きている奥行きを感じるのでもっと色々な出来事を読みたいです。スピンオフが刊行されますように!

2

温め続けた想いのゆくえ

今回は六花の騎士団副団長と雪豹の獣人のお話です。

義兄弟として育ち主従として接する2人が互いの手を取るまで
と続編短編を収録。

この世界には一般的に人と呼ばれる"人間"と
動物の様な耳と尻尾を持ち身体能力や感覚の優れた"獣人"です。

獣人がいつ頃、どこから来たのかは定かではなく、
知能の高い人間と身体能力に恵まれた獣人が
得意分野で腕を生かして適材適所で暮らしていますが、

人間よりも地位の高い獣人はごく少数しかいない事から
獣人は人間よりも下等な生き物と主張する者もいます。

中でもタチが悪いのは希少な種類の獣人を捕まえて
愛玩動物として売り買いする密売買人達により、
別の大陸から密輸入されたうちの1人が受様でした。

受様は珍しい雪豹の子供で、
兄弟らしき亡骸の手を握った状態で保護されますが
過剰な薬の投与を受け、声もほとんど出ない状態でした。

湊で密売組織の取り締まりをしていた騎士団から
獣人専門家である夫妻に託された受様は
夫妻の1人息子である攻様の弟となります。

攻様は傷ついた受様にただ黙って寄り添い、
名前を付けて大切な弟として守り続けます。
そして攻様は自分を大切な兄として慕う受様に
見合う男になろうと日夜研鑽に勤しみ騎士を目指します。

曙立の国の騎士団は3つ。
災害の救助を始めとする医療、防疫分野を担う春雷、
都市の治安を守り、あらゆる土地の情報収集を図る青嵐、
国防や武力を必要とする重大事件や事件に対応する六花です。

攻様は当初両親の関わる事の多い春雷を目指しますが
獣人に関する事件に多く関わる六花に入団します。

六花は騎士団の性質から腕が立ち、矜持が高く、
血気も盛んな騎士たちが多く、
六花の騎士団団長が代替する事に伴い、
士官学校では主席の座を競った彼の好敵手である攻様は
副団長に任じられます。

受様は攻様が士官学校に入学した時から
攻様の従者として寝食をともにするのですが
その頃から攻様への恋心を自覚するようになります。

式典後のパレードの際には若き団長と共に
攻様にも多くの祝福や女性達の熱い視線が飛び、
受様は心臓がきゅっとなってしまいます。

受様は攻様が恋人を得る日が近いだろう事を思い
淡い恋の幕引きを誓うのですが・・・

希少な雪豹獣人である受様と受様の義兄であり
優秀な騎士である攻様の両片思いのジレジレ恋を描いた
もふもふ系ファンタジーになります♪

受様が獣人というもふもふ設定と
2人が義兄弟であり主従であるという関係性が
かなりMYツボだったので手にした1冊でしたが、
思った通り、たいへん美味しく萌えさせて頂きました♡

人間と獣人の住む世界観、六花の騎士団長や従者を始め
関わるキャラがとても魅力的でした。

特に六花の団長と従者は
攻様と受様が両片思いである事は丸わかりなのに
手助けする準備は万端にしつつも立ち入らないという
絶妙な立ち位置がとっても良かったです。

両視点で進むのでそれぞれの関係性ととともに
お互いへの気持ちは早い時点でわかるのですが

家族である事が大きな障害となっていて
2人はお互いへの気持ちを打ち明けられず
受様と攻様はそれぞれでグルグルだし
すれ違いによるジレジレ感がとても美味しいです。

但、個人的な予想として
六花という騎士団の特性を生かして
獣人用の違法薬物とか、銃火器の密輸騒動とかが
もっと深く絡んで獣人である受様がピンチになるとかで
2人の仲が急展開するのかとワクワクしていたのですが

2人の仲を急変させる出来事となった事件が
受様の絡む獣人騒動ながらもちょっと地味めで
予想外過ぎというか物足りない感じでした。

攻様の個人的な魅力は受様視点で存分に見えるので
副団長まで務める攻様の騎士として公的な立場での
魅力がもっと見たったです。

個人的に受様の尻尾かみかみがとってもツボだったので
「萌2」評価とさせて頂きました。

団長と従者の恋バナにてのスピンオフを期待しています♪

1

一途で純情なラブロマンス

初の文庫本出版、おめでとうございます。

人間と獣人が共存する世界を舞台にしたファンタジー作品です。
人間の五十嵐夫婦に引き取られた雪豹の獣人・白野と、五十嵐家のひとり息子・在臣。
兄弟として育った2人は、それぞれ秘めた想いを抱いていて……という、焦ったいラブストーリー。

白野の過去は暗く悲しいものなのですが、お話は比較的明るいトーンで進んでいきます。
といいますのも、登場人物たちが皆優しくて心温かい。

美しい容姿に反して辛い過去をもつ白野。
自分を救ってくれた優しい在臣のため、献身的に尽くす健気で可愛い子です。
そんな白野を守るために生きてきた在臣は、白野に深い愛情を注いでいるのが分かります。
明らかな両片想いなのに、伝わらずにすれ違っていく2人が焦ったい!

2人の気持ちのすれ違いが特に浮き彫りになるのが、白野の発情期です。
有臣を想って発情した白野に対し、白野に好きな人ができたから発情したのだとショックを受ける在臣。
そして本心を隠し、発情のせいにして身体を繋げ……と、とことんすれ違っていきます。

お互いの心理描写が丁寧で、2人の気持ちが手に取るように分かるから尚更焦ったいんですよね。
両片想いのラブストーリーとしては王道だと思います。
気持ちを伝え合う場面はジーンとしたし、ラストは幸せに満ちていて読後感はいいです。

ただ、白野の過去に迫るような事件が起こるわけでもなく、ちょっとドキドキが足りなかったかなあ。
兄弟・主従の禁忌的ムードもなく、途中は間延びした印象に……

それでも、表現の美しさや魅力的な脇役と、見所はあります。
ふたりの親友・理王と灯里は、どっちがどっちなのか気になりました。きっと、理王が受けよね?

白松先生の表紙が美しく、挿絵も沢山あったので嬉しかったです!

4

シリアス、でもどこまでも優しいストーリー。

ちるちるさんの作家インタビューを拝見して購入しました。

表紙、あらすじ、そして作家インタビュー。
そのどれもがとても素敵で期待度MAXで読み始めました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






人と獣人がともに住む世界が舞台。
お互いイーブンな立場…、というのは建前で獣人を見下す人もいる。

主人公は、雪豹の獣人・白野と、白野の兄である在臣。作中、視点が交互で変わるので、どちらの気持ちも分かりやすく読みやすい造りになっています。

彼らが住まう国には騎士団が3つある。
中でも実力、人気共に一番高いのが「六花」。その六花の、新しい騎士団長就任の日、からストーリーは始まります。

在臣はその六花の副団長に指名されるほどの実力者。
白野は在臣をサポートする立場にいる。

白野、そして在臣は子どものころから仲良し。その関係は今も変わらず、白野は良い弟であり続けようとしているが、実は在臣に秘めた恋をしていて―。

というお話。

一言で言ってしまうとすごく「ありがち」なお話です。

在臣と白野は、血の繋がりの無い兄弟であること。
白野の過酷な幼少期。
自分の想いは相手にとって負担になるであろうから、この想いは伝える気がないこと。

が、王道のスパダリ攻め×薄幸・健気受け、というCPで、ツボに突き刺さる方は多いと思われます。

で。

今作品は在臣×白野の恋の成就を描いた作品ではありますが、それだけではなくって、彼らをサポートする人物たちが非常に魅力的。

新騎士団長で、在臣の親友でもある理王。
理王の公私ともにパートナーである獣人の灯里。
そして、在臣、白野の両親。

彼らがとても温かく、思いやりに溢れた人物として描かれているために、どこを切り取ってもすんごい優しいお話に仕上がっています。

正直に言ってしまうと、もう一声ほしかったな、という感もあります。
白野の過去とか、獣人たちへの扱いとか。そういったところをもう少し描き込んでくれたなら、もっと奥行き深い作品になったかなー、と。

さらに在臣、そして白野の視点が交互で書かれているために、若干のすれ違いがあっても読者には最後の展開がきちんと読み取れる。ハラハラ、はしますが、それ以上でもそれ以下でもない、と言えばいいのか。

けれど、その辺りをサクッと読ませるに留めているからこそじんわりと流れる温かい空気感が、今作品の大きな魅力の一つになっているかと思われます。

さらに言うと、柄十先生の文体もあるかな。
これはもう完全に好みの問題で悪いということは全然ないのですが、文体が軽い、っていうのかな。セリフに「~」を多用していたり、在臣のセリフがざっくばらんだったり。そういったところで、シリアス寄りにならず、コミカルな感じが出ていたように思います。

痛いお話はノーサンキュー。
スパダリに愛でられる薄幸・一途受けが大好物。
ほっこり優しいお話が読みたい。

そんなときにはぴったりの、心温まるストーリーでした。

あ、あと理王と灯里のCP。
すんごい気になります。ぜひとも、彼らのお話も書いてほしいです。
二人の、深い信頼と愛情に萌え禿げましたが、彼らのバックボーンにも萌える。

ということで、柄十先生、正座してお待ちしております。

白松さんの描かれた挿絵も可愛かった。
白野のモフモフなケモ耳&しっぽがクッソ可愛いの。

何より、この作品の持つ世界観にぴったりだったと思います。

2

この作品が収納されている本棚

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