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鳩村衣杏先生の2006年発表作。
「彼の背に甘い爪痕を残し」のスピンオフ作、なのですが知らずにこちらから読みました。
実母が失踪、義父から虐待され施設で暮らしていた淑仁。8才の時に遠縁の出版社社長・今給黎家に引き取られる。そこには5才の晶がいて、淑仁を慕い、背中に残る虐待の傷跡を見て泣いてくれた…
小さな晶が自分を守ろうとしてくれている事、自分も晶を一生守ろうと決めた事。
34才になった今、淑仁は晶から逃れて見つからないように生活しているが、社長となった晶がついに淑仁を見つけ出し…
…という冒頭。
兄としてではなく恋人として求めてきた晶と関係してしまった高3の夏。
養父から実は自分が実父だと知らされ、晶が異母兄弟だという罪に慄いて身を引いた淑仁だったが。
あれから17年、淑仁の出生の秘密を知らない晶は、淑仁が自分を捨てたと思い込みもう二度と離さないと執着し、怒りと愛情があいまって淑仁を淫乱と貶めながら激しく抱く…
この辺り、鳩村衣杏先生にしてはかなり濃厚な愛欲シーン。そして晶が淑仁に抱いている誤解とそこからくる酷い抱き方が哀しい。
どんなに誤解されてもすれ違っても、また本当は晶に愛を告げたくとも、血の繋がった兄弟である禁忌を越えられない、なのに激しく感じる淑仁…
ここは一瞬淑仁がうじうじとして見えます。
しかし、絶対に愛の誘惑に負けまいとする強い意志は、後半厳しい出版業界の中で会社の仕事で晶をなんとか助けたい淑仁の変貌につながります。
後半は幻の作家と目利きのエージェントの引き抜き話がどこかスリリングな展開を見せますが、そこで見せる淑仁の機転や強情さ。
強引に抱かれて泣く前半の淑仁の、全く違う一面を見せてそこも面白い。
さて、終盤かつて淑仁を虐待した義父が淑仁を襲い、晶が刺される事件が起こります。
この筋立ては何ともチープですが、輸血に絡んで遂に晶が真実を知ったり、晶の背中にも淑仁と対になるような傷がついたり、と回収は鮮やか。
全てを知った晶が淑仁に赦しと愛を請うラストは、神などいないという激しさと、甘さと禁忌が混じり合う巧みさだったと思います。
「彼の背に甘い爪痕を残し」のリンク作でした。といっても話は独立しているので単体で読めます。私は間違ってこちらから読み始めましたが、全然大丈夫でした。
椎名淑仁は8歳のときに遠縁の今給黎家に引き取られてきます。前の家で義父に虐待を受けて、養護施設に保護されていたのですが、やさしい今給黎家の夫婦とその息子の晶に少しずつ癒されていきます。
そしてもちろん(!)この弟、晶と少しずつ恋愛感情を持ち始めます。
でもある日、淑仁は晶の前から姿を消して・・・17年後。
この二人が大人になって再会してから、怒涛の濡れ場が展開されるのですが、個人的には十代の時の初Hが最高に萌えました!高校3年生の淑仁(受)に、なんと中学3年生の晶(攻)。しかも別荘で!更に親にばれる!・・・もう最高です。ヤバいです。
とにかく今回の話はエロでした。なんか鳩村さんといえば受けも攻めも理性的でいっぱい仕事してるというお話が多くて、エロシーンにはそんなに重きを置いていないイメージを勝手に抱いてたのですが、
こういうタイプの鬼畜的攻めが出てくるの、はじめて読みました。
背骨が・・・というのも斬新でした。
でもやっぱりなにより文章が非常に読みやすくて、いいです。
いろいろネタがてんこ盛りなのに、ちゃんと理解させてくれます。すごい。
「彼の背に甘い爪痕を残し」の方と合わせて読むとそのリンク具合がピタッと合って、爽快です。
ラスト近くの淑仁の豹変にはビビりましたが。そこはもうちょっと段階があるとよかったかな。でもおもしろかったです。
近親相姦なお話を含んでいるので、苦手なかたは注意かも。
表紙のイラストはきれいなんですが、あんまり内容と合っていないような?
というか、内容はわりと息苦しい妄執で、テンションが高くて、ちょっと……いい悪いじゃなくて、いろいろとチグハグな本でした。