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小山田さんの美麗表紙につられて購入。
宮本さんて、なんとなく可愛らしいというかほのぼのなお話を書かれる作家さま、のイメージだったのですが、今作品は攻めさんも受けさんもとにかくカッコいい!男のプライドと意地をかけた硬派な作品でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は名家・月舘家の三男である仁。
かつては男爵の爵位を賜ったこともある由緒ある家の子息です。
が、彼は10歳の時から家族と離れ、山奥にある別宅に執事の守永と共に越してきて以来、学校に行くこともなくひっそりと生きてきた。彼にとって守永は唯一心を許し、守ってくれる、そんな祖父のような存在。
けれど別荘に越してきて20年。
ずっとそばにいてくれた守永も年を取り、そして病を抱えるように。そんな守永は仁の傍を離れることを良しとしなかったが、仁は守永のために彼に暇を出した。
世間のことを何も知らず守永に守られて生きてきた仁は新たに執事を探さなければならなかったが、そんな仁のもとにやってきた人物がいて―?
というお話。
仁が家族と離れ生きてきた理由。
守永がいなくなった後、仁のもとにやってきた人物の正体。
その謎は、序盤で早々に明らかになります。
この「謎」が今作品の軸になる部分なのですが、あらすじにも書いてあるのでここでも書いてしまいますね。壮大なネタバレを含みますので、ちょっと下げます。
仁の家系は人狼の血を持っていますが、仁はその血をより濃く受け継いでしまったこと。それにより、世間体を気にする家族から蔑まれ、子どもの時に家から追い出されてしまったのです。
そして、そんな仁のもとにやってきた人物。それは死神のランツェフィード。仁の魂を狩るために、やってきたのです。
が、なぜかランツェフィードは仁の命を奪えない。
それはなぜか。
そしてランツェフィードは仁の魂を狩ることができるのか。
そこを軸に進むストーリーです。
仁という青年は過酷な幼少期を過ごし、そして家族からも疎まれ孤独に生きてきた青年なのですが、彼がとにかく豪胆です。人狼ゆえに満月の夜は発情期を迎える。それを発散させるために街に出て、性欲だけを発散させるべく一夜の享楽的な関係を結ぶ。それだけが、彼の楽しみなんですね。
そして死神でもあるランツェフィードと、対等に渡り合い交渉する逞しさもまた、持っている。口調も蓮っ葉ですし、やられっぱなしの青年ではない。なので、薄幸受け、というのとはちょっと違って男前なのです。
そして死神のランツェフィードも。
彼がとにかくカッコいい。サルベージを振るい、俺さまで不遜な態度を取り、隙あらば仁を殺そうとする。
そんな男前×男前の、ガチンコな闘いを繰り広げる二人なのです。
が、うーん。
もう一声ほしかったな、という気も。
仁は人狼の特徴をより濃く受け継いできた、というその点において家族や親せきから疎まれてきたわけですが、そもそも月舘家は人狼の血が流れている一家。なのになぜ仁だけが疎まれてしまったのか。
仁が疎まれた理由はもう一つあるのですが、それもお二人に(誰のことなのか、ぜひとも読んで確認してみてください)に確認してみるということはしなかったのだろうか…。
家族との確執、は書かれていますが、その落としどころまでは書かれていないのでちょっと消化不良な感じ。
そしてランツェフィードの方も。
彼の親友の話がもっと読みたかった。その「彼」の存在があって、初めてランツェフィードは自分というものを持つようになっていったわけで、けれどその部分があっさり流されてしまっていたために今一つ感情移入できず。
そして、肝心の死神が執事になる経緯も。
んー。
ランツェフィードが仁の魂を奪うために執事になる、というのが、個人的にはちょい納得いかなかったな。話の展開として強引というか、こじつけな感じがしました。
男同士のプライドをかけ、仁とランツェフィードが一歩も引かずにお互いを出し抜こうと画策するとか、死神vs人狼とか。設定とかキャラは凄く良かっただけに、その辺りをもう少し踏み込んで書いてくれていたなら、より萌える作品になったんじゃないかなー、と。
が、小山田さんの挿絵は今回も素晴らしかった。
とにかく麗しいです。
闘うシーンとか、マジでヤバいです。
小山田さんの挿絵で、萌え度は確実に上がりました。
作家様のイメージを覆すカップリング臭+小山田あみ先生のイラストに惹かれました。萌と中立の間くらいの印象です。
展開に勢いがあって、主人公・仁のキャラもオスオスしくて序盤は期待感でいっぱいだったのですが、意外性や新鮮味は思ったほど得られなかったかな…。というのも、タチなはずの仁はイラストのヴィジュアルがいかにも…なので、自分より体格の良いランツェフィードを抱いてやるといくら意気込んでも、抱かれちゃうんじゃないか?とハラハラしてしまって。
仁は不遇な生い立ちで、由緒ある一族から爪弾きにされています。20年ほど仁に仕えていた執事を療養に専念させるために辞めさせて、寂しさ半分、さぁ自由を満喫しようかという時に死神と出会ってしまう…。
死神・ランツェフィードのキャラが好きなやつなんですよね。冥界では地位が高くハイスペで尊大なくせに、任務には忠実で手は抜かずプロ意識炸裂。人間に傅く執事役すらしれっとこなしてしまうのです。
カップリングは好みだったんですけど、仁の家(親)族が嫌な奴ばかり。すぐ上の兄貴・伶は本人が病んでて余計なお世話だけど気の毒になってしまいました。
死神と人間っていうだけじゃないプラスアルファの設定が加わっていることで、ちょっと混乱してしまったところもあります。ランツェフィードが仁に目を開かれた(惚れた)部分がボヤけてしまったような気がして、その設定が必要だったのか悩ましい。ファンタジー的には楽しめるのかもしれませんが…。
エロの寸止め感や、濃厚なキスシーンにはめちゃくちゃ萌えました。ですが、伶のエピソードにしろジョエルの登場にしろ、この二人がお話に水を差してくれたために、終盤は急にテンプレじみてきてテンションが下がってしまいました。ジョエルのあざとさがなァ…。彼ら以外の脇キャラで素敵だったのは、前執事の守永とランツェフィードの小間使いをしているリュー。仁の心理的な救いとなってくれた癒しの存在です。
レーベルとの相性もあるかもしれませんが、語り口に勢いがあってキャラが立っていてもなんとなくバキッとハマれずで…。挿絵では2枚目の仁がコミカルで好きでした。
今回は冥界から来た死神と人狼の血を引く男爵家三男坊のお話です。
受様が命を狙う攻様との関りで今までとは違う生き方を選択するまで。
受様は代々議員名簿に名を連ねる男爵家に生まれます。
一族の初代は人狼であり、男爵位を賜った成功も
人狼としての能力とも実しやかに伝えられており、
一族の男子は程度の差こそあり人狼として生まれます。
今の長である伯父は初代の生き写しと言われる人ですが
受様もまた一族特有の体質が色濃く出て生まれた上に、
父よりも伯父似だった事から母は不義を疑われ、
父からは家の恥として疎れ、別荘に隔離されて育ちます。
10才の受様の手を取ってくれた執事は20年、
実家との軋轢に辟易する受様を陰に日向に支えてくれますが
定年を超えた彼の身体は病に侵されつつあり、
受様は強引に暇を出す事にします。
唯一の理解者だった執事が去ってから初めての満月の夜、
受様は今後の不安を思いながらも獣の性で高揚する気分のまま
バルコニーから飛び降りようとしますが、
一瞬遠くで何かが光り、ものすごいスピードでそれが
こちらに向かってくることに気付いてとっさに身を躱します。
ビュンと空気を切り裂いたものの正体は銀色に光る剣で
突然受様の目の前に現れた黒づくめの男は
まっすぐに受様を睨みつけたのです!!
受様の人狼の急須区でさえ捕える事の出来なかった
戦う事に慣れた東欧的な美貌の主こそが今回の攻様です♪
受様は攻様を自分と同じ人狼かと思いますが
攻様は人間ですらなく受様の魂を狩る為に
冥界からやってきた死神だったのです!!
攻様は受様に「もうすぐ死ぬ」と断言し、
攻様は「尊い仕事を遂行する」と剣を振るってきて
受様は防戦一方になります。
そして絶体絶命な危機が受様を襲うのですが
なぜか受様を狙った剣は攻様の狙った軌道を逸れ
なぜか中空へと抜けてしまうのです。
あるはずのない状況に攻様は剣を納めるしかなく
そんな攻様に受様は意趣返しの為に
嫌がらせをこめた強硬手段に出る事にします。
果たして命を狙われている受様に勝機はあるのか!?
冥界の死神である攻様に命を狙われた受様との攻防戦を描いた
人外ファンタジーになります♪
受様の命を狙う攻様は冥界の王の右腕として活躍し、
冥界第二の実力者と言われる死神です。
攻様が王から命じられた魂狩りに失敗する事等あり得ず
攻様は受様の嫌がらせをこめた提案をも受け入れて
人間界でチャンスを狙う事にするのですが
受様の嫌味な提案とは
先日去った執事の後任として家のことをする事と
受様を楽しませるためのベッドの相手をしろという事でした。
命を狙う攻様と一緒に生活しようという受様も受様なら
人間毎期の世話をするのは反吐が出るものの
寝首を描くには都合がいいからと話にのる攻様も攻様です。
攻様は隙あらば受様の命を狙いながらも
執事として家の中を整える事にも余念がないのですよ。
根が真面目ところにギャップ萌え♡
そして攻様を押し倒したいと目論む受様も
タオルを持ってきた攻様をバスルームに連れ込んだりと
盛んに煽るのですが押し倒すまでには至りません。
攻×攻バトルの攻防戦に
攻様に仕える使い魔や攻様の元恋人だという死神や
受様を虐待していた兄や受様の実家を仕切る家令が絡み
2人の関係が少しづつ変化する様にドキドキしつつ
2人がお互いを大切な相手と認めて
攻様事情に決着がつくまでワクワク読めました。
しかし、
受様事情による出来事は攻様が絡んで解決するのに
攻様事情による出来事は受様が絡むのに
受様にも読者にもかなり割愛されたような速さで解決し
なんか消化不良だったので「萌」評価としました。
ラブモードなシーンはエロくて良かったのです♪
途中まですっごく面白かったんです。男らしくてランツェフィードを抱こうとする仁と、堅物で仁の命を狙ってくるランツェフィード。
でも途中からどうやってこの2人をくっ付けるのか心配になって来ました。
そしてランツェフィードの元彼のジョエルが登場してから、仁の怒りなんかがわざとらしく感じてしまってからはスンって気持ちが冷めてしまいました。
何でそう考えるのかなぁってイライラです。読んでいてランツェフィードの考えが伝わって来るだけに、仁だけがこだわってる感じがしてしまいました。
そしてランツェフィードのあっけない程の冥界への執着の無さと王の処分に肩透かしを食らった気持ちです。
月舘家の次男のスキャンダルをマスコミにリークした人物も分かって無いし、屋敷の周りを彷徨いていた不審人物の件はどうなったのかも回収されてないです。
2人の寿命の違いはランツェフィードは仁を眷属にする事で解決なんでしょうが、そもそも死神がどうやって誕生するかとかも明らかになっていないので消化不良のまま終わってしまいました。
ランツェフィードの執事の描写に萌えたので萌にしましたが、限りなく中立寄りです。
死神×人狼の人外ファンタジーです。
攻め×攻めで、結局どっちが責めるの〜?と、ワクワクしながら読みました。
全体的には感動的で、ラブラブのいいお話です。
が、個人的に辻褄が合わない部分を多く感じてしまい、引っ掛かりすぎて入り込めませんでした;
家のしがらみで隔離生活を送る人狼の仁と、彼の魂を狙う死神・ランツェフィールド。
ランツェを気に入った仁は、魂を狙うチャンスとしてランツェを執事として家に住まわせる事にし……と、いうお話。
まず、死神を執事として住まわせるための取引の意味がよく分かりませんでした。
命を狙う相手を家に住まわせるかな?
そして、執事としての仕事を全うするランツェにも違和感;
ワーカホリックで片付けられるもの?
結局、人狼の魂を死神の剣で奪うことはできないらしいです。
『禁断の書』というものに寿命が近い人間のリストがあり、そのリスト順に死神は魂を狩に来ます。
今回は、その『禁断の書』の記載が何らかの原因で間違っていた──という表現があるのに、ランツェが仁の魂を狩ることを免除されることはなく、仁の魂を狩る手段があるわけでもなく、普通に同居生活が繰り広げられていきます。
その中で、孤独な二人がお互いの存在や言動に救われ、愛する事を知っていくという展開は素敵でした。
その理由も分かるし、ラブストーリーの部分はとても良かったと思います。
「人間は魂の器」でしかないと言い、限りある命など無意味だと思っていたランツェが、仁の命を守るために冥界の王に抗う姿も感動的です。
だがしかし、人の気配に敏感なはずの死神が不審者を見張るためにモニタールームを作ったり、王からの拷問が5日だけで終わったのは疑問でした。
ランツェ不在時の仁の護衛であるリューが、仁のピンチに全然現れないのとかも……なんで?
それから、仁のバックグラウンドも曖昧に感じました。
特に、仁に性的虐待を仕向けた次兄の伶。
ランツェが追っ払った後もコソコソ何かしそうだったのに、結局何もないまま終わっちゃったんですけど;
で、この家族ふつうに腹立つんだけど。
仁は、もっと早く自立した方が良かったと思う。
そんな感じで、気になるところが多かったです。
ランツェの元彼・ジョエルも、私なら許さん!
ただ、ラブは良かったし、この作品に行き着くまでのあらましが書かれたあとがきは面白くて笑ってしまいました。
小山田先生のイラストも眼福です♡