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宮本さん作品て、なんて言うのかな。
すごく優しいっていうか。心温まるっていうか。そういう作品が多いイメージが個人的に強いのですが、今作品もそのイメージを損なうことの無い優しいお話でした。
主人公は料理研究家として日々精進している紬。
子どものころに両親を亡くし、以来父方の祖母に育てられてきたが、その祖母も他界してしまった。
仕事は楽しくやりがいを感じているが、独りぼっちで過ごす時間が寂しくて、かつて両親や祖母が生きていた時と同じように愛する人と食卓を囲みたいと思っている。
ある日、いつものように帰宅し、そして就寝した。
はずだった。
なのに紬が起きたとき、なぜが獣人たちが住まうローゼンリヒトという国にトリップしていて―?
というお話。
なぜ違う地に移動してしまったのか、言葉もわからずどうすればいいのか。
そんなパニックに陥った紬を助けてくれたのが、アスランという可愛らしい子ども。実はアスランはローゼンリヒトの王子。偏食のアスランが、なぜか紬の作る食事は美味しそうに食べる。ということで紬はアスラン専属の料理人として城の滞在を許されるが。
アスランちゃんは非常に可愛らしい男の子ではありますが、紬のお相手はアスランではありません。アスランの父である、王のオルデリスク。明るく天使のようなアスランとは異なり、終始仏頂面で愛想も悪いオルデリスクだけれど、それには理由があってー。
オルデリスクは国のためなら自分の危険も顧みず戦いに赴く。
イケメンで王という立場ながら、どこか孤独で。
その理由が、少し見えてくる。
その理由が分かるにつれて、紬と共に読者もオルデリスクの孤独と葛藤に心揺さぶられ、そして徐々に惹かれていく。
カッコよく、そして彼の抱えるものに萌えが滾る。
そんなオルデリスクの殻を破っていくのが紬。
よくあるお話、というかストーリーではあるんですよ。あるのですが、オルデリスクのカッコよさと紬の可愛さが、その既視感を上回る。
で。
今作品の萌えツボはまだあります。
まず一つはモフモフです。
モッフモフです。もっとモフモフでもよかったのになー。
そして食事。
紬は料理研究家ということで、そしてアスランが偏食ということで、あの手この手を使っての美味しい食事の描写がてんこ盛り。
こんなん飯テロやん…
ヤバい。
空腹時はご注意あれ。
食事、というツールを使って、家族の温かさとか、優しさががっつり描かれています。愛する人と一緒に過ごすことの素晴らしさ、っていうのかな。
二転三転するストーリー、悪いやつも登場してハラハラドキドキの展開、ではありますが、ベースにあるのは愛だったり、優しさです。
あと脇を固める登場人物たちも。
いやん、これってスピンオフ作れるんじゃない?というナイスな方々も登場していて、読後はほっこり気持ちが温かくなりました。
そして、挿絵も良かったです。
鈴倉さんの描かれる挿絵が綺麗で可愛くって、萌え度は確実に上がりました。
今回は獣人国の獅子王と界渡りした日本人のお話です。
受様が界渡りした獣人国で攻様の傍で新たな幸せを掴むまで。
受様は幼くして両親を事故で、
半年前には祖母を亡くし、天涯孤独となります。
受様は料理研究家の助手して働いていますが
誰もいない家に帰る日々は生き抜くだけで精一杯で
若者らしい恋や遊びとも無縁でした。
そんなある夜、受様は元気だった頃の
両親や祖母が現れる夢を見ます。
笑顔で手を振る彼らに近寄ることはできませんが
「しあわせになりまさい」と言われた瞬間、
背中がふわっと暖かく深い眠りに吸い込まれました。
しかし・・・
次に受様が目覚めたのは自宅の部屋の中ではなく
レンガ色の建物に囲まれて真っ赤な薔薇や
桃色の薔薇が咲き誇る庭園だったのです!!
しかも受様を見つけて駆け寄ってきたらしい男達は
受様にわからない言葉で何かを叫んぶと
受様の目の前で狼の姿に変って遠吠えを上げたのです。
受様は牙をむいた獣達に取り囲まれて絶対的危機でしたが
そんな受様を助けたのは不意に現れた褐色の肌の男の子で
彼が受様にしがみつくと獣達も牙をしまったのです。
そして男の子はお付きの女性ともめながら
桃色の砂糖菓子を取り出すと受様に差し出したのです。
受様が差し出されたお菓子を口にすると
自分の中の何かが薄らぐような感覚が起こり、
周りの人々の言葉がわかるようになっていたのです。
呆然とする受様に護衛だという黒豹獣人は
この国は獣人たちの国で
受様は特殊な薔薇の花の砂糖漬けを口にした事で
言葉がわかるようになったと教えられます。
しかも男の子はこの国の第一王子であり
王子に気に入られた受様は国王である攻様の前に
連れ出された上に、偏食だという王子の
食事係に任命されてしまうのです。
人間の受様が獣人の国で生きていけるのか!?
天涯孤独な受様が界渡りした世界で記憶をなくしながらも
料理の腕を活かして新たな幸せを掴む恋物語なります♪
受様は世話係となった兎獣人から
受様が口にした砂糖漬けの薔薇は王家の宝で
その薔薇は「大切な記憶を忘れさせる」作用があると
教えられます。
しかも失った記憶を取り戻す術は知られていないらしく
今できる王子の食事係に専念することにするのですが
王子や周りの城の人々と関わっていく中で
王子の父親は攻様の亡き兄である事、
攻様が若くして亡くなった兄王の後を継いだ事、
旧態依然の王宮内で攻様を煙たく思う一派がいる事、
敵国である隣国が辺境で小競り合いを繰り返している事等
子供を顧みない冷たい心人だと思っていた攻様が
たった一人で王としての重圧を背負っている事を
知ることになり、落ち込んだ受様は
元の世界へ帰る事を望むようになります。
しかし王である自分にまっすぐに向かってくる
受様という存在に無自覚に惹かれていた攻様によって
事態は思わぬ方向に向かう事になります。
王家の薔薇は記憶を奪うだけでなく
2度目の変化、3度目の変化をもたらすのですが
それが受様と攻様の関係を変えていくターンとなっていて
受様がこの世界での幸せを掴むまでハラハラ&ドキドキ
タイトルで期待したよりもモフ度は低かったのが
ちょっと残念でしたが、楽しく読ませて頂きました♪
特に記載は有りませんが、受様が界渡りした世界は
宮本先生の既刊で人間の王と人狼の恋を描いた
「銀の祝福が降る夜に」と同じ世界となります。
本作の攻様は国王の結婚式に列席していたり、
人間である受様が頼れる国として話に出たりするものの
客演などの絡みはなく単巻で楽しめるのですが
読了しているとニマっとできるお仕立てでしたよ。
異世界の獣人の国に転移した料理研究家の紬。王として生きる為に自分を封印したオルデリクスとは不穏な出会いだし、衝突もするしで前途多難。だけど一緒に過ごす内に惹かれ合う姿が素敵。別れの場面は辛すぎて涙。その分ラストは読んでても幸せでした。紬の名の通りオルデリクスとアスランの中を修復できたのも良かった。出てくる料理が美味しそうでそれもまた楽しい。アスランがすごく可愛かった。鈴倉先生のイラストもかっこいいし可愛いしで最高。
もう少し設定や背景が丁寧に書かれていたらもっと面白かっただろうなぁ。そこだけが残念でした。
「銀の祝福が降る夜に」のイシュテヴァルダの隣国のお話でした。
アルベルトとサーシャは登場しませんが、彼等の結婚がローゼンリヒト国でどう思われていたか知ることが出来てとても興味深かったです。
今回も宮本先生らしい優しいお話でした。違う点は紬が異世界から来たことくらいです。
なぜ紬がローゼンリヒト国に飛ばされたのかは最後まで分かりませんでした。それから食材や香辛料が異世界にかかわらず、紬の世界と全く同じである点などはスルーされています。
でもそんな細かい点は気にしなくて良いと思いました。
国を守る為に個人的な感情を殺したオルデリクスが、紬の真っ直ぐさに惹かれて行く過程が良いです。彼が垣間見せる独占欲にキュンとしました。
また2人を取り囲む人々が暖かくて良い人ばかりでした。アスランもとても可愛いです。
唯一の敵は保守派の一派くらいです。
2人のお互いを想い合うすれ違いにはハラハラしましたが、最終的にまとまって安心しました。
そして紬の身体に現れたサプライズも良かったと思います。
真夜中に読んだのでとてもお腹が空いてしまいました。www
両親も祖母も亡くなり、天涯孤独になってしまった主人公
祖母と住んだ古い家で寝て居たら、亡くなった人達の夢を見る、
夢から目覚めると異世界だった
・・夢を見て異世界へ誘導されたなら、
何時か夢から覚めるときが来るんじゃないかと思いながら上下巻を読了
痛い展開無しのファンタジー 激甘好きなかた向け