電子限定描き下ろし漫画付き
愛憎浪漫譚。
タイトルのインパクトに反して純愛にやられました。
すっっっっっごい良かった……(;////;)
葬らなければならない恋心。
内に内に秘める心が燻り黒く流れ出す。
歯を食いしばって耐えて耐えて……。
時代背景が重なって昏い昏い影を落とす。
刹那的な時間がとても切なくて、すれ違いが痛々しくて、
めっっっっっっっちゃ萌えました(;////;)泣・泣
4人の男の因果と執着が絡み合って、
でもその中に浮かび上がる純愛が堪らなかった。
そして下巻では非常にやるせない気持ちが募ります。
ちなみに私のイメージと違った点は、
義息を愛人にするなんてキモいおっさんかと思いきや
下巻表紙の長髪男性が父親でビックリしました。
普通に見目麗しい父親なので歪な関係が耽美的な美しさに映りました。
さてさて。
主な登場人物は4人。
・千代森家に拾われ育てられた[伊月]
・千代森家で働き伊月の付き人[芳野]
・千代森家の当主で伊月の養父[環]
・環の旧友で子爵家[結城]
ストーリーはあらすじにもあるように
千代森家に拾われた孤児の伊月は義父・環の情夫をさせられています。
付き人の芳野がいつも傍にいてくれることで唯一の安らぎを得て、
いつか必ず家を乗っ取ろうと強かな一面も見せます。
本当に恋心を寄せる相手は芳野。
口に出来ぬ想いを抱えたまま父親に抱かれる。
芳野に情事の声を聞かれ、事後の姿を見られる。
伊月:「お前にだけは…こんな姿見られたくない…」
と顔を伏せる伊月が切なくてシンドイんです!!!!
(そんでめっちゃ萌えちゃうのよ…腐女の業なのよ…)
伊月視点だと芳野は淡々とお世話しているように見えるんですが、
芳野視点に切り替わると全く違うってのも(鉄板ですが)そそられますね…!
家の主(環)に対して口汚く諫めるのがカッコよきです。
芳野は伊月に惹かれ、あまりの愛らしさに自分を制御出来ない衝動に駆られながら
自分の心を「殺せ、殺せ」と言い聞かせる。
そんな中、肉体的接触をするキッカケが出来るのですね。
もしかしたら通じ合えるかもしれない、
1度でいいから好きな男に抱いて貰いたい、
と伊月は期待をし、芳野も応えようとするんですが…。
それが両片想いのすれ違いを生むのがまぁ~~~~~シンドイ。シンドイ。
芳野に抱いて貰えなくて傷ついてる伊月が痛々しくて、とにかくシンドイ。
ここも少し難しい所でして…。
伊月はずっと子供の頃から父親に抱かれているから、
逆に言えば父親好みに仕上がっている身体なんですね。
でも伊月自身はそれを自覚しておらず芳野を苦しめる。
芳野:「アンタを抱いているのは俺だ!!!」
これはキツかった。。。
伊月を責めたってしょうがない話しだし、
だからといって芳野の嫌さもわかる。。。
好きで好きで求めても傷つけ合って。
好きで好きで求めた結果すれ違って。
2人が拗れてまくってるタイミングで
父親の環が"伊月は俺のモノ"と牽制するのもゾワリ。
上巻では環は何を考えているのかわからなくて時々人形みたいな無感情さが怖かった。
(個人的にラストページはホラーだったわ…)
描き下ろしは7P。
芳野視点の過去回想。
最初は伊月を小馬鹿にするように呼び捨てしてたけれど、
"伊月様にお仕えしよう"と忠誠心が芽生えた瞬間のお話。
些細なことが本当に嬉しかったんだなぁとジンワリ温かくなりました。
絵がとっても見やすいです、物語も時代があるので世界観がとても素敵なお話でした。
きゅんとできるし、しっかりお話として満足以上の感覚を得ました。
何より登場人物を好きになれますし私は1週間ほどこの作品の余韻がとれませんでした(笑)
登場人物の気持ちも辛いほど伝わってくるので本当に購入して良かったと思います。言葉選びが時代に合った素敵な言葉になっていたりするので絵と文章を見るとこの世界に産まれてみたかったなあとつい考えてしまいました·͜·
儚く綺麗に描かれたお気に入りの作品です
あかねソラ先生の作品は本当に 優しい地獄 が似合う作品です。
環の台詞ひとつひとつが本当に胸を打たれ、特に下巻は涙無しでは読めない作品です。
1番印象に残っている台詞の 「流産だ」 は本当にこれでもかと涙が溢れましたし 妊娠するわけないと頭では理解しているのに中のものを出したくなくて腹痛に耐えようとする環の姿にも涙が溢れます。ただただ環には素直に、幸せになって欲しいという気持ちが強いです。
もっと沢山の方々に本を手に取ってもらい読んで欲しい作品です。
この作品に出会ってから私はソラ先生の地獄で生きてます・・・・・・
環と結城メインのお話の続編も決まってますのでこの機会に 踊る阿呆と腐れ外道 是非呼んで頂きたいです!!
「大正」ってロマンがあるよね…。
目まぐるしく変わる激動の時代。
階級制度。
経済格差。
個人的にすごく萌える時代で、思わず今作品も手に取りました。
初読みの作家さまでしたが、いやー、こんなに素晴らしい作家さまを読み逃していたとは。とても素晴らしい作品でした。
千代森家の養子・伊月は見目麗しい青年。
が、その実情は千代森家当主の環の情夫。子どもの時に拾われ、そのまま環に抱かれるようになるが、いつか千代森家を乗っ取ってやろうと画策しているガッツのある青年。
そんな伊月には想い人がいる。付き人の芳野だ。
けれど主人の愛人と奉公人という関係の2人には大きな壁があって…。
まあ、バッサリ言ってしまうとよくあるお話というか。既視感ありありのストーリーではあるのです。あるのですが。
伊月と芳野の感情の機微の描き方が実に緻密で繊細に描かれていて、彼らに感情移入してしまう。
お互いに愛してはならない人なのだと。
自分が想いを告げてはならない人なのだと。
そんな二人の一途な愛情がきちんと描かれていて、さらにそれが上滑りしないストーリー展開。めっちゃ良い…。
で。
この二人の関係を引き締める存在として描かれているのが、彼らの主人である環。彼がまたいい味出してます。
「良い人」として描かれてはいません。
時にひどく伊月を抱きつぶし、経済的に恵まれている人ならではの傲慢さも持ち合わせている。けれど、その表情とは裏腹に、彼の孤独とか愛情も透けて見えるんです。その魅せ方がとってもお上手。
だからこそ、伊月と芳野は、お互いに想いながらも環のもとをあっさり逃げようという思考にならず、ストーリーに奥行きがある。
実際、飢えるほどの貧困から抜け出すことができたのは環のおかげであり、そこに環の想いも見えてくる。単にきれいな男の子を侍らすだけであるならば、伊月に、そして芳野に固執する理由は環にはなく、別の人間と入れ替えることも、環には可能なわけで。
そんな三人の思惑が絡み、読んでいてすごくドキドキした…。
ただ、伊月がモブレにあうシーンがあります。苦手な方は注意が必要かもです。
王道のストーリーでありながら、萌えがぎっちり詰まってる。
文句なく、神評価です。
二人の物語だと思っていたら四人が主役の物語で、こうゆう感情が交錯するお話とても好きだな。表紙の構成がそれぞれのカップルのダンスしているシーンなのが素敵!黒と赤のなにかぞくっとするような印象の色使いもよい。絵が可愛くって気品があるんだけど、最中に受け君の肩とか膝とかとにかく全部真っ赤になってるのが可愛かった。ネタバレになってしまうので詳しくは言えないけど、下巻の最後の切ないやり取りは印象的な表現で素晴らしかったし、こうゆう感情になりそうだなと強く共感した。