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小説
本作品はフィクションであり~とお決まりの注意はあるものの、実名がぽんぽん出てきて、しっかり現代ものとして没入できる。だからこそ楽しい部分と、だからこそ引っかかる部分があった。
ロマンス部分はとても面白いけど、付加情報が多い印象。
まずメインカプの設定がすごい。アメリカ大統領の息子アレックスとイギリス王室のヘンリー王子。アレックスは感情のままに行動することも多く、そのせいでピンチに陥ったり。ヘンリーは普段は明るいけど、逆風に弱い箱入りっぽい。
メッセージのやりとりをして、キスをしてドキドキし、そわそわ会いに行って、とやってることは可愛らしい。ただお互いの立場ゆえに、そこらのカップルとはスケールが違う。
母親に恋人を紹介するシーンが、大統領に恋人は英国王子だと告白するシーンになってて、笑ってしまった。問題は相手が同性だからじゃない、他国の王子だからだ!って現代ものでこれはすごい。別れても一生言われるし大変だ。
恋愛小説としては、王室に認めさせたところがピークな気がする。くっつく前の両片思い状態で逢瀬を重ねる二人のロミジュリ感が好き。
モヤモヤしたのは、レインボーが浸透し、反対の声もある世界観で有名人が同性の恋人を公表すれば、政治利用するかされるかになりそうなとこ。というか思いっきり政治の世界で生きているキャラだった。
大統領選で、息子の性指向が選挙結果に影響するかのような煽りはどうなんだろう、書き方として。あの流れで保守のテキサスを獲ったすごいぞ、とかやられても、女性大統領は初でなく再選だし、どういう解釈で読んで欲しいのか分からなかった。
また、この作品に限らずだけど、アメリカ視点のクセが強い。アメリカ=正義で世界の指導者っていうナチュラル上目線が当然の認識で、ちょこちょこアメリカ出てるーと思うところがあった。イギリス側に怒られそうな描写もある。
全体を見ると、いろんな要素を詰め込み、さらにその一つ一つの情報を広めに書き込んでて冗長に感じる。
アレックスとヘンリーに絞って見たストーリーは、遠恋で秘密の恋に萌えるシーンもたくさんあってとても良かった。二人の軽快な会話も好き。映画版も観てみようかな。
映画を先に見てから、原作を読みにきたパターンです。
映画のレビューで、小説にはすごく魅力的なキャラクターが沢山いる!とのことで、とても楽しみに読み進めました。
映画を見ていたので「あ、ここはあのシーンだ!」となりながら読み進めていたのですが、小説を読むと、二人のやりとりというか、言葉の選び方がとても詩的です。
二人のメッセージのやり取りが、本と、映画とそれぞれ最高の表現の仕方なので、是非どちらも見てほしいなと思いました。
ヘンリーのほうが、どちらかというとメンタルが弱目なんですが、そこに遠くアメリカの地から駆けつけるアレックスのシーンが大好きです。
スケールの大きすぎる話でしたが、二人は誰もがトリコになる可能性のある愛に素直なだけの、若者には違いなく、ヘンリーとアレックスの言葉には何度も胸を打たれました。
また映画を観てみなおして、本作を読み返して、のループがしたくなりました。
この先の二人もみたいー!
アメリカの大統領の息子とイギリスの王子様の恋物語。
これぞ海外BLだなぁと思える設定です。米英の上流階級の違いも面白く読めました。
エッチなシーンはふんわりしているので、BLが苦手な人も読みやすい反面、物足りないと思う人もいるかもしれません。それでも他のふたりのやり取りなどで充分萌えることができるはずです。
ボリュームのある1冊です。今どきのSNSのやり取りも面白く、お国柄、政治、将来、立場、LGBTQ+など、読み応え十分な作品でした。
特にヘンリーの言葉使いがおしゃれだなぁと思ました。
「これできみを完全に黙らせられることがわかっていたら、とっくにこうしていたんだが」
初めてオーラルセックスをした後のセリフです。
初対面から嫌われて、さんざんケンカ腰に嫌味を言われたりしながらも、ずっとヘンリーはアレックスに片想いしていたなんて!!
はじめてふたりが身体に触れ合うシーンは、めちゃくちゃよかったです!!
クライマックスのアレックスの衣装がタイトルの伏線にもなるスーツを着ます。
きっとアメリカとイギリスの国旗の色や両国の交わりともリンクしているんでしょうね。
表紙も素敵なイラストでした。
アメリカの作家さんのせいか、イギリスのことをよくわかっていないのか間違いもあります。
「プリンス・オブ・ウェールズ」の呼称はヘンリーの兄フィリップのものですが、ヘンリーが名乗っていたりしています。でも、細かいことは気にせず楽しんでください。
実存する団体名を記載する、Casey McQuiston作のラブロマンス。
偽装暴露本のようで好きじゃないけど、
「2019年goodreads ベスト・ロマンス賞第1位 王子との恋を描く全米ベストセラー!」を読んでみた。
プロのもの書きの作品だけあって、文章が上手い。翻訳者の腕もいい。
でもやっぱり、物語自体より著者の創作意図や動機に興味がいく。
表紙の二人。
アレックス:米国の女性大統領の息子、黒茶の巻き毛
フィリップ:英国皇太子 金髪碧眼・・アイルランド風の風貌。
物語は、アレックスの視点、会話主体で進む形。
実際にあるものの「名称」をやたらに散りばめる内容、
故意なのか、名が示すものの解釈が微妙に実際とずれている。
故意なら、洗脳か誘導を意図したスリコミ。
何をしたくて英国王室とアメリカ大統領を選んだんだのか分からないけど、
今世の英米の風俗を知ることができるゴシップ小説。
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★きになった事のメモ。
送金アプリ ベンモ :送金アプリ venmo
設立経緯が「紙の小切手」の置き換え。
アメリカでは若者を中心に、送金アプリ「Venmo(ベンモ)」が流行
ペイペイみたいなアプリらしい。
英国王室の遺伝:
金髪碧眼は、後世。元々は、褐色の肌、黒い髪だったらしい。
「王室病」、血友病。ビクトリア女王が、血友病の保因者。
最近の話題は、「リチャード3世の骨」
このピンクの表紙の印象が安っぽいのと(イケメン二人のイラストは素敵です)、言い回しがくどい的なレビューを読んでたので、そこまで期待せずにトライ。
結果、めっちゃ面白かったです!ほぼ一気読み。
もう、登場人物みんなとハイタッチ交わしたいくらいよかったです!
アレックスのキャラクターは、いかにも知的なミレニアル世代といった感じ。初の女性大統領である母親、ヒスパニック(今一番勢いのある勢力)の実父という、現実のアメリカの一歩先を象徴するような二人を両親に持つ、保守的なテキサス生まれのハンサム。
片やヘンリーは英国王子という、白人人種のヒエラルキーの頂点に立つお方。
こんな途方もない組み合わせの二人の恋を、しっかりとロマンスを感じさせつつ、文春砲的な記事からのカミングアウトや大統領選の緊迫をうま〜く取り込んで、いろんな伏線を綺麗に回収しきって大団円に見事に落とし込んだ作者さまの力量に大変感服いたしました。いやー、作家ってすごい。
ストーリーは先が読めちゃうけど、こうなるよね〜と思いながらもぐいぐい引き込まれました。恋に燃え上がる二人だけでなく脇役たちも皆魅力的で、読んでいてとても楽しかったです!
まあ、冷静に見れば現実はこうは上手くいかないでしょうが、いいじゃないの、ロマンス小説はかくあるべし。とても素敵な夢物語でした!