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表題作紅の大王

南紅大国国王・嵩原天人(32)
天人の正妃・シオン・オルレアン・嵩原

あらすじ

『死神に愛された黒衣の公爵』として、北青王国の王族でありながら、孤独に生きていたシオン。
特使として赴いた南紅大国で、王・天人と結ばれる。
過去にシオンを愛した男たちは、皆、凄絶な死を迎えた。
しかし太陽のような天人は、そんな運命を恐れない。
初めての幸福を噛みしめるシオン。
だが天人は、北青王国に攻め入ることを決意する。
やはり死神は、大切なものを奪うのか…?美貌の公爵・シオンの運命は…。

作品情報

作品名
紅の大王
著者
剛しいら 
イラスト
珠黎皐夕 
媒体
小説
出版社
学習研究社
レーベル
もえぎ文庫
シリーズ
黒衣の公爵
発売日
ISBN
9784059040330
3.5

(13)

(2)

萌々

(3)

(8)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
46
評価数
13
平均
3.5 / 5
神率
15.4%

レビュー投稿数6

イブの本気は

シリーズ1巻目は、黒衣の公爵シオンが南紅大国の王・天人と結ばれるまでがメインのお話でしたが、この第2巻では、ソラの話や、シオンの過去の話などを挟みつつ、いよいよコンピューター「イブ」との直接対決へと、新たに登場したシオンの兄の北青王国の皇太子レナードやアーサーと共に進みます。
北極の大地の下、イブのモニタールームで、辛くもイブに勝利したかに思えた一行でしたが・・・。
北青王国で女王イザベラに再度まみえたイオンは、女王に違和感を感じます。
って、ここで終わりかぁ、
なんだかあっという間に読み終えちゃう。
イブの本気はまだこれから。

2

命について考えました

決戦の巻。アクションがたっぷりです。
ドラマは、間にシオンの軍での過去回想を挟みながら、北青王国との紛争の原因であるコンピューター『イブ』との全面対決が書かれています。
前巻では腑抜けばかりかいないと思っていた北青大国にもちゃんとレジスタンスはいたし、第2王子はうつけのふりをしていた賢い人だったし、まずはその辺で安心しました。まぁ、第2王子、かなりの変人ではあるみたいですが。

いやー、この巻も面白い!
戦争を仕掛ける者は安全な所にいて失われるのは一般の人達であるとかね、そういう状況の中に置かれている為に軍隊の規律が非常に乱れていて、そのストレスのはけ口としてシオンが『生贄』にならざるを得なくなっちゃうとかね、もう、エピソードの一つ一つが身に染みますわ。

この巻は『命の重さ』についてかなり考えさせられる巻です。
『イブ』にとって大切なのは多分『効率』。
でも、人間の命はひとつですから。
宗教を持たない北青王国の人々にとって、死ぬということは世界の消滅と同じ意味になります。
だからこそ、自分の所為で身の回りの人達が死んでいくという経験を重ねたシオンには、自分の生が人の死と引き換えで与えられている様に感じる事で、生きていくこと自体に苦しみを伴ってしまいます。
アンドロイドに「君たちには、生きる苦しみはないから」と言うシオンの姿に涙腺を刺激されました。
そんなシオンを『生』の方向に引っ張る天人。
生命力に溢れ、シオンへの愛情を素直に表す彼にかなり救われましたよ。
なんてイイ奴だ!

『イブ』初期化の為に、2つのコンピューターをプログラミングしたアーサー・ビノシュという天才のクローン少年が登場するのですが、この子がちょっと不穏な雰囲気。とても気になります。

で、大団円かと思いきや……『イブ』まだご健在の様です。
ハラハラしつつ、3巻へ。

1

シオンの過去とソラの過去

前作「黒衣の公爵」で
天人に愛され、その汚名を過去のものとする決意をしたシオン。
そんなメインカップルのラブはあまり変化もなく。。。
と言うか、放って置いてもラブラブなので
安心して幸せそうな2人を見ていられるんですが
その幸せに辿り着くまでのシオンの波乱の人生が語られていて
その非情なまでの壮絶さが
かえってシオンの今現在の幸福を実感させてくれて
なかなかにうまい演出だな~と思いました。

肝心の「イブ」との戦いも
シオンの兄で北青王国の皇太子・レナードや
「イブ」を作り出した張本人・アーサー(のクローン)の協力で
「イブ」の初期化に成功した。。。かのように見えましたが。。。
なにやらまだ続きがありそうだ、と匂わせて続いてしまいました^^;

で、この2作目では
シオンの養育係で、シオンを身を挺して守ろうとして行方不明になったソラと
ソラを救出した漁師とのエピソードが載っていて
それがかなり切なくて泣けました。
ひと目でソラを愛してしまった漁師と
過去の記憶をなくしてしまったソラ。
そして、ソラの居場所を見つけて会いに来たシオン。
ソラの複雑な心情が心に沁みます。

あと、詳しい内容は載っていないのですが
シオンに付いて南紅大国にやってきたアンディと
天人の側近の有理仁もなんだかいい感じになってたので
その辺の詳しい様子ものぞいてみたいな、と思ったりしてw

相変わらずエッチシーンやBL的萌えポイントは少ないのですが
お話としては、世界観に入り込めれば面白いですね~。
ますます先の展開が気になります!

4

SFファンタジー相も変わらず脳内上映中

「黒衣の公爵」の続きになります。
死神を呼び寄せる運命と共に戦うことを誓い、婚姻を結んだ南紅大国の王・嵩原天人と、敵国北青王国の第五王子・シオン。
今回は、人間を導くのではなく支配しようとする北青王国のメインコンピューター”イブ”に戦いを挑むお話です。

イヴとの戦いへ動いていく中に、上手く登場人物達の過去や現在が織り込まれています。
シオンの為に命を落としかけ、記憶を失い南紅の漁師・和馬に拾われたシオンの教育係のソラのこと。
シオンの軍隊時代の苦難について。
そしてシオンの侍従として周りを和ませるアンディと天人の側近・仁の仄かな恋。
唐突にそれらの描写が入るのですが、いずれも現在彼らが対峙しているコンピューター対人間という、心や愛は緻密に計算された無機質なものよりも大事なんだという伏線を絡ませて、それらの為に無関係ではない、それと闘うことにより、シオンの呪縛が解けることで、皆が幸せになるのだ。
そんなメッセージが込められている気がします。

コンピューターに管理されるのではなく、人類が幸せに共存するために、争いのない世界を造る為に、人間がコンピュータを管理し、利用しなくてはならない。それが目的なのですね。
それがどうして、死神に愛されるシオンの呪縛を解くことと関係があるかということなのですが・・・
北青王国ではイブの管理のもと、女性が隔離されている為、男性の欲望の捌け口がなく、それは歪んだ方向へ走っている。
女性が隔離されて接触ができないから少年や美しい者に矛先が暴力として向かうのです。
その歪んだ愛を一身にうけてしまうのが、絶世の美貌のシオンであると。
彼を自分のものにしたい為に争いや暴力が起き死人が出る。
それは、北青王国の間違った姿の象徴だと思うのですよ。

一見スラスラと読めてしまうファンタジーなんですが、深読みするとそんな色々なメッセージが隠されていると思うので、そんな部分も楽しんで読めると思います。
それぞれのカプエピソードも短編のように入ってきているので、中休みのようで物語に緩急がはいって丁度いい具合になっています。
やはり、今回もタウとマウのロボットがかわいい!!←かなりお気に入り?

4

すっごくおもしろいだけにもう少しボーイズラブ!を!!!

『黒衣の公爵』の続編・・・
『紅の大王』とタイトルがつけてありますが
引き続き『黒衣の公爵』のお話だったように思いました。
前作でもシオンが“黒衣の大公”と呼ばれるようになった悲劇についての
記述があったのですが、まだあったんだ・・・。

愛する者すべてに死が訪れるというシオンと
ジンクスやタブーをはねつけるたくましい王・天人。
ふたりは、ともに愛し合い婚姻まで済ませLOVEの部分は
すでに『黒衣の公爵』で完結をしているのですが
ふたりだけの幸せのためでなく惑星へブンに住む人類を救う戦いに踏み出します。

地球から移民して500数年。
人工生命体“アダム”と“イブ”が神として存在する世界。
“アダム”を制圧し、“イブ”を制圧しようとシオンと天人は戦うのです。

人工生命体、機械である“イブ”が敵として立ちはだかるのですが
“イブ”を設計したアーサーと“イブ”の関係は?
アーサーという人物はとは?
という伏線が引かれたところでおしまい。
続きが気になるお話です。

前作のラストもシオンの養育係であったソラが〆ていたのですが
今作のラストもソラで締め括っています。
ソラは、男性機能に障害があるとのことでしたが
具体的に描写がなかったんですよね
今作では、ソラの男性器の描写がありました。

物語の主人公は、シオンと天人というのはわかってはいるものの
ソラがどのように関わってくるのか・・・楽しみです。

ちょっと残念だなぁと思うのは、複数いる男性の登場人物が
それぞれすでにカップリングが決定してしまっているところ・・・。
女性が少ない世界観で男性同士の婚姻もアリなのはわかるのですが
そんなに登場人物は総ホモに設定しなくてもいいかもwと、思う。

ボーイズラブという区分で描くなら、SFファンタジー設定にばかりに
気を囚われずにお願いしたいです。
すっごくおもしろいだけにもう少しボーイズラブ!を!!!と、思います。

3

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