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表題作おしえて僕の神様

杉村慧,高校生
野宮真心

あらすじ

慧は高校の卒業式に友人の真心への告白に成功する。喜んだのも束の間、真心から自分は「かみさま」だという秘密を打ち明けられて…

作品情報

作品名
おしえて僕の神様
著者
瀧本羊子 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リイド社
レーベル
SPコミックス mimosa
発売日
電子発売日
ISBN
9784845858194
4.2

(51)

(32)

萌々

(10)

(4)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
7
得点
214
評価数
51
平均
4.2 / 5
神率
62.7%

レビュー投稿数7

素晴らしい!図書館に置いてほしい!

自分以外の人と自分の本当の幸せとは?について深く考えさせてくれる。名作です。
キャラクターの表現、描写、言葉のチョイスなど全てが好きです!そして、ものすごく共感することばかりの深い内容でした。
私は20代〜30代の頃、自分の悩みを聞いてくれて核に気付かせてくれる[かみさま]の様なカウンセラーを崇め奉っていた経験があります。
こちらの作品で、多くのふつうの人からそうされる真心くんは、自分の欲望よりも相手が求めることを当たり前に優先してしまう。攻めの慧くんも、恋人の真心くんがどうしたいと思っているかに誠実に応えて叶えてあげたいと想いつつも、自分の想いや欲望も伝えて、お互いが共に幸せでいられる方向へ進めていこうとしている。
特別な人と共に生きていくことで、かみさまとしてどう生きていけばよいか、、、苦悩する真心くんと慧の描き方に引き込まれました。

1

心揺さぶる

長い間親友として過ごしてきたけれど、実は真心にずっと片想いをしていた慧。
卒業式の日にその想いを伝えたら両想いだったと判明するので、そこからきっとハッピーな日々へと繋がっていくのだろうなと思っていました。
でも真心からは慧への想いだけではなく、自身が「かみさま」だということを告げられて…

それが本当の"神"だったならファンタジーになってちょっぴり笑えるような展開になっていたかもしれませんが、悩みを抱えた人が拠り所を求めた先に辿り着いた架空のかみさまを「仕事として」真心がしているので、正直戸惑う部分はありました。
でも慧はそんな真心の告白を言葉通りに受け止め、なんなら真心以上に冷静で。
そういうところに慧の魅力が見えたので、ふたりをすごく応援したい気持ちになったのでした。

初々しくて可愛くて微笑ましいふたりの恋愛の場面と真心の事情を受け入れたあとの慧の葛藤や真心自身が苦しさを感じてしまう場面の感情の差がすごく大きくて、それについていくのが難しいなーと思いつつ。
この先どんな状況になってもお互いを求めて支え合っていくんだな、という大きな絆がラストの場面では感じられたので、すごくあたたかな気持ちになりました。

誰からも愛されちゃう系男子とその親友、という立ち位置でのお話かと思いきや想像以上に重たくて深くて、心を揺さぶられるお話だったなと思います。

0

神様でいることの矛盾

人の話を聞くだけでその人の心の穴を埋めてしまう真心と友だちとして付き合ってきたが、実は真心への恋心を隠し持っていた慧。高校卒業の日に慧から告白したことから真心も自分の秘密を打ち明けます。それは「自分も慧を好きなこと」と「自分は『かみさま』であること」

突飛な設定に興味が惹かれました。神様とBL?ファンタジー?どうやら現実世界の話のようで、いわゆる新興宗教のような神様なのでした。

真心は思ったより俗的で、エッチなことにも興味があるし、普通の十代男子。それがなぜか人の話を聞くだけで求心してしまうんですよね。本人が嫌なら問題ですが、自分しかできないことなら、と、神様を続けているわけです。そのギャップが奇妙で、コミカルなのに不穏さを感じました。

最後の選択は、良かったなって思います。真心がたくさんの人の心の穴を埋め続けている限り、慧と真心の心の穴は埋まらない。自分と大事な人の心に穴を空けてる神様なんて、本末転倒ですよね。二人のことは二人以外には救えないんだから。

BLとしての葛藤はあまりなく、人間ドラマのように感じました。シリアスだけど暗さはなく、テンポが良かったです。もっとどろどろしてても良かったかも。

今後は真心の特技を活かした別の仕事をして、お母さんと慧とで切り盛りしてくれたらいいなーという妄想をしてます。お幸せに!

0

謎のカリスマ性で人々を惹き付けてしまう受け

面白かった。
博愛的で誰の話でも親身に相談に乗ってくれたりするから、心が弱ってる人はコロッと依存してしまうメンヘラハンターみたいな性格の受け。そうやって人の話を傾聴してるだけなのに、人伝に布教されていき宗教になっちゃった話。

攻めは中学の頃からの受けに片思いしながら友人として、ヤバいストーカーとかが生まれないように受けを守ってきた。で、卒業式で王道ロマンティックな告白と両思いイベント!微笑ましい展開の中で「僕、神様なんだ」と衝撃的なカミングアウトをされる。

攻めは驚くものの、受けの異常なカリスマ性を傍で見てきたから納得するのも早くて順応性が高すぎるのも面白かった。そして神様活動している受けを変わらず人間として扱い続けてくれるのも良い。神様活動で忙しいもの春休みも働いてて偉いな〜ワーカホリックだよ!とバイトで忙しい人に対するような軽さで向き合ってくれる。本人は無自覚だけどその態度に受けが救われているのも良い。

宗教を取り仕切ってるのは受けの母親なんだけど、芸能活動みたいな雰囲気でオカルトな空気がなくて重すぎず読める。アクスタとかブロマイドとかぬいグッズを原価で売ってるお金のかからない良心的なスタイル。メンヘラストーカーハンターな息子を神様にすることで変質者が手出しする心理的ハードルを上げてるって話にはなるほど〜となった。

神様やっててもお年頃な男の子な受けが恋に夢中になっていき、信者より攻めを優先しそうな自分に罪悪感を抱いてしまう展開は切なかった。ただの他人が背負うもんではないんだけど、責任を持てないのに中途半端に手を差し伸べてしまったと苦しんでいる。飼えない動物に中途半端に施すな的な理論なんだろうけど、二人は後始末とかもうなんも気にせず楽しく暮らしたらいいと思う。そもそも大人が子供に依存すな〜て気持ち。
二人が結ばれた次の朝のシーンのセリフ達が好き。とても素敵だった。

2

彼らの恋・大人になること

てれてら…
(てれてれ)

ただのラブストーリーとは一風変わっていて良かったです。
両思いで抱き合ったり焦れたり照れたりする二人が可愛い。
少年たちが恋する初々しさがベースにあって、その上で、人を見つめ欠けた部分を埋めること、博愛からただ一人を愛することを選ぶこと、大人になることと喪失がアナログな線で描かれていて、ほっこりしつつ考えさせられました。

真心は素直で天然だけど、人を蔑ろにしない責任感がある。
恋をしても自分の時間が持てず、泣くのを堪える姿にグッときました。
“お勤め”の後の、真心の肩に手を置こうとして止め、お疲れとポンと叩く慧。二人はお互いを信じて受け明け、考えて行動していく未来が明るく感じました。
深夜に落ち着いて読みたい一冊です。

0

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