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表題作君が涙を溢れさす

宝泉道春(22) 日本舞踊家
森末斉(28) 暴力団若頭補佐

あらすじ

森末斉は28歳にしてその頭脳で広域暴力団若頭補佐の地位にある。
組長の妻のお供で日本舞踊の公演を観にいった斉は、次期宗家・宝泉道春の舞に涙を流す。
斉は道春に紹介されるが、道春から舞いを極めるために足りない何かを得るため、本名の直哉として友人になってほしいと頼まれる。
斉の家を訪れる直哉と友人として過ごし始めるが、斉は次第に惹かれ…。

作品情報

作品名
君が涙を溢れさす
著者
いおかいつき 
イラスト
高城たくみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344809673
3

(4)

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萌々

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(4)

中立

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趣味じゃない

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レビュー数
3
得点
12
評価数
4
平均
3 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

You are my destiny

いおか先生のやくざ物と言ったら個人的に愛してやまない「真昼の月」なんですが、こちらはちょっと変わり種のやくざ物のようなのでトライしてみました。

キナ臭いことはほとんど出て来なくて、終始ふたりの日常的なお話。
若頭補佐の斉は武闘派ではなく経営に長けた経済やくざ。ある日姐さんから日本舞踊の舞台へ付き合うように言われしぶしぶ従う。姐さんが習っているお師匠さんの舞台。まったく興味もないのに、そのお師匠さん道春の踊りを観ていたら知らないうちに涙がこぼれていた。

斉自身も涙を流した理由を知りたいと思ったが、また道春もその理由を知りたいと斉に近づいてくる。
姐さんを通して道春の面倒を見ることになってしまった斉。道春は斉に友達になってほしいなどと言いだし…

道春が幼い時から踊りに専念していたためにまったくと言っていいほど世間を知りません。斉は「友達」としていろいろなところへ連れ出しますが、それはもうほとんどデートのようです^^;

斉は毎日のように道春に付き合い最初はうんざりした様子だったのに純粋でちょっと強引な道春に尽くします。
そんな関係が続く中、ふたりを引き離すようなことが起こりますが、姐さんの力でするっと乗り越えて、お互いへの気持ちを知ることになります。

斉は「やくざ」なんですけどねー。道春から日本舞踊習っちゃったり、道春の為に自分が受になったり、もう会えなくなるとテンパったり、かわいいですよw 男前でもあるけれど。

ふたりとも少年時代からその道だけしか知りません。その何か欠けた部分をお互いが補えるような運命的な出会いだったのだと思います。
やくざと日本舞踊の師匠。ちょっと変わった組み合わせで楽しませてもらいました。

1

冷酷ヤクザの心を揺さぶるのは

いおかいつき先生といえば、「リロード」のシリーズや「真昼の月」。
読みやすいガチ風味の警察ものやヤクザものが印象的ですが、本作の主人公もヤクザです。
といってもゴリゴリのヤクザではなくて、見た目はスマートな「経済ヤクザ」の森末斉(せい)。(ドンパチはないけど、地上げの時などキッチリ恐喝はしてますが。)

そんな見目いい男の森末が、組長の姐にアクセサリーのように連れて行かれた日舞の舞台。
そこで家元の跡継ぎである宝生道春(本名・直哉)の舞を見た途端、森末の目から知らずに流れ出た涙…
その後姐さんから道春を紹介された森末だが、逆に道春から稽古以外の世界を知りたいから友達になってほしい、とお願いされ…
…とはじまる物語。
日舞漬けの生活を送る世間知らずで純粋な直哉とのどこかチグハグな交友を続けて変わっていく森末が描かれます。
何しろこの「直哉」がなんとも天然で。
森末がヤクザと知っていて、でもヤクザの何たるかは知らず。
そんな直哉との時間が待ち遠しくなっていく森末です。
もちろん波乱もありますよ。
敵対する同じ組の武闘派に直哉を巻き込む脅しをされ、一度は地位も直哉との時間も捨てようとする森末。
だがその事で直哉が自分の中で紛れもなく大きな存在であることに気づく…それは直哉も同様で。

天然な直哉とヤクザの森末のズレた友だち付き合いはやや微笑ましい。
そして、森末を求める直哉の非常に直接的な求愛表現は、素直な直哉であるがゆえに全くためらいも嘘もなく森末の心に突き進む。
2人のHシーンはとても真剣であたたかいです。

直哉は周囲の雑音を超越しているので、これから何があっても動ぜずにヤクザの森末を愛し続けるのでしょうね。そして愛を知って舞の道も極めそう。

1

舞踊家とヤクザ

攻・宝泉道春(22) 日本舞踊家 本名は直哉
受・森末斉(28) 暴力団若頭補佐

森末は経済ヤクザ。
組の資金源としての成果で若くして若頭補佐にまで出世しています。

姐さん(組長夫人)のお供で日本舞踊を観に行き、舞台に立つ道春の舞を見て涙を流します。
後日、ホテルのロビーで道春に引き止められた森末は「あの時何故泣いたのか」と問われる。
否定する森末に道春は「今、自分の踊りを見失っている。踊りを見てもらい意見を聞かせて欲しい」と頼みます。

子供の頃から日舞一辺倒できた道春は年齢相応の「普通」が分かりません。
友達になってくれと森末に頼みますが…正直、森末自身も舎弟はいても友人はいないわけで。
ヤクザの森末と舞踊家の道春と、全く正反対のようでいて共通点が見つかったわけですが…。

舞踊の道を究めるために友達を作って経験を積みたいと熱心な道春。
めでたく「お友達」になりましたが…二人とも友達づきあいとは何をするものなのか、分からないんですよ。
とりあえず映画を観て、レストランで食事をし、時間までに道春を送り届ける…デートじゃん(笑)。
水族館に、ショッピングに、公園でのお弁当…デートは着々と重ねられてます。

若頭が亡くなり、次期若頭の座を巡って森末と中西の間でいさかいが起きます。
中西は自分の下に入らなければ、森末の道春との写真を公表して宝泉流に悪いウワサを流すぞ、と脅迫。

道春に「もう会えない」と断りをいれ、中西の要求を呑むつもりでしたが、舎弟に止められます。
冷静になって考えれば何でもないことなのに、道春に関わることだから動揺が激しくて冷静に考えられなかったんですよね。
姐さんに全てを報告し組内部でのゴタゴタは終了。

その森末を待っていた道春は「稽古が出来ないくらい心配だった」という。
初恋だと告白する道春。
森末も想っていたからハッピーエンドですが…道春君は、初めてなんですよ。
森末も男とはしたことないし(知識はあるが)。
舞台のある道春に無理はさせられないからと、自分が受ける側になる森末。

森末って、ヤクザの顔の時と、道春と一緒にいるときの顔と、ギャップがあっていいです。
最後までどっちが受なのか分からなかったのですが、年下攻の好きな私的には、これで良しでした。

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