【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
松雪奈々先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
エロ 4
甘々 3
凌辱 0
な感じだと思います。
ジェラルドさん×リコくんのカプです。
国家憲兵のジェラルドさんとリコくんは大型客船での禁止薬物の密輸を取り締まる為、潜入捜査を開始する。しかし乗船早々、頭を打ったリコくんは、前世の記憶を取り戻し、ここがBLゲーム、しかも凌辱ものの世界だと思い出してしまう。
前世の記憶を取り戻したリコくん。しかもそれが、自身がシナリオを書いたハードな凌辱もののBLゲームの世界。その為、攻略?キャラのマフィアのボス、船長、モブのルートになってしまうと生きては帰れない、死ぬまで監禁、などの結末になってしまう。
しかし唯一の救いは、ジェラルドさんのルートだけは、至ってノーマルなものなので、リコくんは、ジェラルドさんに抱かれるように何とか奮闘します。
物語りの世界はBL凌辱ゲームですが、リコくんが知っているシナリオに監禁や暴行やSMがあるというだけで、実際にはそういった絡み描写はありません。
しかし、マフィアのボスや船長などがリコくんを隙あらば襲おうとするので、ジェラルドさん以外との無理矢理なキスや身体を触られたりします。
凌辱ゲームもの、と少し身構えましたが、凌辱要素や仄暗さや殆どないので、安心して読むことが出来ます。逆にハードな凌辱ものが好きな人には少し物足りないかもしれませんが、全体的にジェラルドさんとリコくんの濃厚で甘々な絡み描写が堪能出来ますので、是非とも読んでほしいです。
松雪奈々先生の文章はわりと好き。
いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、そうしているのかが最速で伝わってくるから。
難しい言葉もだらだら長ったらしい描写も使わない。
かるーく文字を追うだけで、キャラがわかる、話の筋がわかる、エッチシーンで盛り上がれる。起承転結の型も外さない。
トンデモ設定作品も多いけど、説明が端的だから案外無理なく楽しめる。
読みやすさという点では頭ひとつ飛び抜けていて、小説が苦手な人にも正直おすすめ。
以上を大前提として……松雪先生の筆力は十分に評価した上でなんだけど……
今作はちょっと無理めだった。
もう、本当に読みやすいのは間違いないんだけど、
もっと根底の問題で無理めだった。
それがジャンル混同問題。
もうね、読んでいて、なんかヘン。
ストーリーは異世界転生モノ。
自らシナリオを書いた凌辱系BLゲームの主人公に転生してしまった受が、シナリオのほとんどを占める凌辱バッドエンドを回避するために、攻略キャラのイケメン上司に溺愛されるハピエンを目指して奮闘するというお話。
これね、凌辱系ジャンルと溺愛スパダリ系ジャンルを同じステージに上げちゃってるんですよ。
これがもう、どうしても不協和音で。
特に凌辱系ゲームって、凌辱する、されるを楽しむ目的で作られるジャンルじゃないですか。
なのに今作では絶対にその目的が達成されないんです。
それを匂わすキャラとか展開だけ提供されて、実際はほのぼの溺愛エピソードばかりでって……全然、入り込めないし、スイッチも切り替えられない。すんごい違和感。
逆に溺愛ストーリーが凌辱エッセンスで引き立っていたか?というと大してそんなこともなく。
人間って不器用なので、本格辛口カレーを食べようと思っているお口と、生クリームたっぷりパンケーキを食べようと思っているお口を同時に存在させられないんです。
おにぎりの形をしているけど、実はケーキでした~みたいなものも驚きはするけど、結局美味しいとは感じられないんです。
なぜなら、頭が満足しないから。
来ると期待したはずのものがいつまでたっても来ないから。
フォーマルドレスにスポーツシューズをコーディネートくらいの違和感。
単体としては間違っていないのに、目的が違うものを合わせただけでこんな大惨事。
だったらいっそ溺愛系だけの世界観にしてほしかったかなあ。
読みやすいだけにもったいない。
新しいことに挑戦する姿勢は好きですが、各々のジャンルの良さ、目的を潰さないようにしてもらえるとありがたいなーと思います。
松雪さんのお話は相変わらず設定が面白いですねぇ。
『凌辱系ゲーム、それも自分がシナリオを書いたものの主人公に転生』とは……思わず「なんじゃ、それ」って言っちゃいますよ、もし自分がリコだったら。
そもそもこのゲーム、ひどいのよ。3つあるルートのすべてがバッドエンドなんです。殺されず、輪姦されない唯一のルートは『別れる』んですよ!
そんなの、よっぽどの特殊性癖の人じゃないとやらんわっ!……ってことで、ここでもう既に笑っちゃったんですけれどね。
リコは生き延びるために唯一の死なないルートに入ろうと努力します。
ラッキーなことにお相手のジェラルドはリコにベタぼれ。
ベッドの上でもそれ以外でも、砂を吐くほど甘いです。
どっちかって言えばリコの方がそれほどでもない。
こういう組み合わせをお好きな方っているんじゃないかと思うんですね。
設定はぶっ飛んでいますが、その後はそれほどでもない様な気が。
それがちょっと残念なのです。
だって、松雪さんなんだもん。
もっと私が右往左往するほどはっちゃけて欲しいなぁ、と心から願うものです。
表紙もあとがきも軽いタッチなのでコミカルかなと予想して読み始めたところ、石田恵美先生のイラストの敵?キャラがカッコイイけどヒェー怖いし、主人公も怯えてて大丈夫なの?と不安になったのですが、甘いエンドで安堵でした。
リコ(受け)は自分が書いたBLゲームのシナリオを思い出し、他ルートのキャラでは生還できないから、と消去法で選んだジェラルド(攻め)とのHですが、体の相性は良いしジェラルドの甘い優しさにときめいて…とドキドキ(ハート)の合間に、他ルートキャラのちょっかいにドキドキ(冷や汗)するというストーリーでした。ハッピーエンドと思いきや、破局が待っている?!という展開も面白かったです。
カラー口絵が、攻め以外とのキスシーンという意外性にもビックリしました。石田恵美先生のイラストがイケメンすぎて、クレイジーな変態でなかったら船長によろめいちゃうところでした。
松雪先生曰く凌辱系ゲームの世界のお話、国家憲兵の先輩後輩のジェラルド×リコ。
前世の自分が作った凌辱系ゲームの世界だと思い出したリコが、1番安牌なジェラルドルートに入ろうと頑張るのが可愛い。対してジェラルドがリコ大好きで紳士で一途なのが素敵。ゲームの攻略だったはずがジェラルドに恋をしていく様にドキドキしました。
リコが嫌がってたから相当なんだろうけどラウロや船長のルートがどんな感じか気になったなぁ。悪者なんたけど、ラウロが良いなぁなんて(笑)
石田先生のイラストが美しくて、特に口絵!あのシーンを口絵にするセンスも、イラストそのものも素晴らしかったです!