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表題作白の九尾は月影の皇子に恋う

李貴,大国・楊華の第二皇子,22歳
紫春,九尾という素性を隠して薬師として働く青年,20歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

第22回角川ルビー小説大賞 読者賞受賞作家のデビュー作!

自らの運命を変えるため故郷から逃げ出した九尾の紫春は、薬で正体を隠し人間の薬師として暮らしていた。ある日、偶然居合わせた青年の料理に毒が盛られているのに気付き声を掛けるが、逆に容疑者として捕縛され、青年の前で人々から忌避される九尾の姿に戻ってしまう! しかし大国・楊華の第二皇子を名乗る李貴という青年は、恐れるどころか、突然紫春に求婚してきて!? その後も紫春に付き纏い愛を囁く李貴に困惑するが、彼の一途な想いは紫春の孤独を次第に癒していき…。

作品情報

作品名
白の九尾は月影の皇子に恋う
著者
ミヤサトイツキ 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784041129036
4

(19)

(8)

萌々

(8)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
75
評価数
19
平均
4 / 5
神率
42.1%

レビュー投稿数5

すごく読みやすい

非常に柔らかな優しい筆致に好感が持てました。とても読みやすく、そして間の取り方と緩急の付け方が上手いなと思いました。時折、クスッと笑ってしまう場面も混ぜ込んでいて、メリハリが効いています。

中華ファンタジーと、九尾(モフモフ)が合わさっていて独特の世界観です。楊華国の皇位継承問題に、白九尾である紫春の婚姻問題がうまく絡み合っていて、見どころたくさんなストーリー展開になっています。
最初は色んな設定が盛り盛りでゴチャついてないかな?と思ったものですが、杞憂に終わりました。

お・も・し・ろ・い…!!

作者さんの文章が非常に心地よかったのがまず一番。あとは、キャラクターたちの個性が際立っていたこと、ストーリーの流れがサラサラと流れるようにまとまりが良かったことが面白さアップに繋がっていたと思います。

九尾である紫春が、いきなり皇子である李貴から求婚されることから始まる物語ですが、この本線から枝分かれしている、皇位継承、過去の出会い、九尾の里のエピソードだったりとあれこれが面白い。見せ場が多いっていうんですかね、2人の心と心の通わせ合いに留まっていないんです。李貴は最初から紫春ラブですけど、紫春がどんどん李貴を好きになっていく恋への移ろいが楽しい。感情の起伏によって尻尾を膨らませたりしていて、なんとまあ可愛らしい恥じらいをするものかと微笑ましく読ませてもらいました。

李貴への恋心を自覚したとき、李貴に自分の気持ちを言おうか言わまいか悩む行動は、レイザーラモンRGのコント(あるある言いたいネタ 笑)みたいでした。
言おう…やめた。やっぱり言おう…またやめた。言いたいことがあるんです…。(やっとか!)
どんだけ焦らすの〜?って感じでした(笑)一応、重要なシーンではあったから多少のRG化は仕方ないにしても、気の短い私はジッタンバッタンしてしまいましたね^^;


メインとなる事件があって、それを乗り越えた先にやっとこさ拝めた平穏と2人のイチャラブ……この2人の会話やイチャりが好きだなと何度も思いました。作者さんのワードセンスが良いんですよ。テンポ良い掛け合いと、じゃれついた言葉遊びがいい。何度も萌えさせてもらいました^ ^


スパダリの李貴と、可愛い紫春だけじゃなく、李貴の側近・櫂染の存在感もまた良し。始まりから終わりまで心地よく物語に夢中にさせてもらいました。2人の子どももできることなら見てみたかったです♪

8

悪役が魅力的すぎるよ!!!!

既刊の『黒狼王子が辺境に押し掛けてきました』が好きで、デビュー作も読みたいと思い購入!
二転三転する飽きの来ない展開で、初めから終わりまで夢中で読みました!

もう、一途でクール天然攻めな李貴がイケメン可愛いすぎるよ〜〜〜!!!
黙ってればクール美男子なのに、話すと「む。」が口癖のポヤポヤ天然男子。可愛すぎてクール天然攻めスキーの性癖に刺さる攻め様でした(合掌)
そんな天然ポヤポヤ男子に的確なツッコミを入れる側近の櫂染と、突拍子無く現れる2人に振り回されてしまう紫春の会話もめちゃくちゃ楽しい!

コミカルな文章でクスクス楽しみつつ、意外にもシリアス展開。コメディとシリアスの緩急が絶妙で、全く飽きずに楽しめました。

そして、キャラクター作りが上手い!
李貴・紫春・櫂染の生き生きした会話劇は勿論のこと、メイン2人だけじゃなく、サブキャラに至るまで物語の中に人生を感じます。特に悪役の霹政!

九尾の里で暗殺業を生業とし、紫春の許嫁でもある霹政ですが、冷酷無慈悲な性格で紫春に恐れられ、婚儀の前に逃げられてしまうヴィラン役。
そんな紫春に執着して、逃げまくる紫春をひたすら追いかけてくる恐怖の存在ですが、こいつのその後が気になりすぎて夜も眠れません!笑

支配的で暴力を振るう、最低モラハラDV男ですが、暗殺業を継ぐために某ハンター漫画のゾ⚫︎ディック家のような苦行と死戦を乗り超え、家族すら敵で孤独に戦う中、唯一自分を愛してくれる筈と拠り所にしていた許嫁の紫春に逃げられた事で、霹政の残虐性が加速!
何としても、紫春だけは自分のモノにしたい。と、精神的に消耗しきってるキャラクターでした。

もう、ゾ⚫︎ディック家大好き人間的には気になってしゃーないです。
霹政主役で一本書けるよね???って位に魅力的。
『黒狼王子が〜』でもそうですが、ミヤサト先生は敵キャラも魅力的なので、めちゃくちゃ困る!

と言う訳で、霹政スピンオフがめちゃくちゃ読みたいです!
先生、どうか霹政にも幸せを与えてやってください!!!お願いします!!!!

0

デビュー作とは思えないクオリティの高い作品。

サマミヤさんホイホイされお買い上げ。
初読みの作家さまだなと思ったら、角川ルビー小説大賞を受賞された作家さまのデビュー作なんですね。おめでとうございます!

ファンタジー要素モリモリのお話でした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




主人公は紫春。
薬師として働く彼は、人々の信頼を得る能力の高い薬師だ。
が、実は彼は九尾。故郷をとある理由で逃げ出し、自身の能力で人間に擬態しながら人と共存している。

そんなある日、一人の青年の食事に毒が入れられたことに気づいた彼は食べないよう注意喚起する。が、紫春が毒を入れた人物だと疑いをかけられてしまう。己の容疑を晴らす術がなくピンチに陥ったことで擬態が溶け九尾だとばれてしまった紫春だったが、そんな紫春を救ってくれたのは、その毒を入れられた青年だった。

ホッとする紫春だったが、なぜかそのままその青年・李貴に求婚されてしまい―?

序盤はややコミカルにスタートします。
薬師として働く紫春の可愛さと一生懸命さが前面に出ていること、李貴に理由もわからず、けれどある種の真剣さを持ち合わせた状態で求婚されること、などが理由ですが、そこから進むストーリーはなかなか骨太でシリアス風味な展開でした。

李貴という青年は大国の第二皇子ということで紛うことなきスパダリさんですが、そのスパダリさんに愛され求婚される九尾、というモフモフとかケモ耳、シッポ、などの要因を絡ませながら進むラブコメなのかな?と思わせる序盤。

からの、二転三転するストーリー展開が非常にお上手でした。

紫春は、なぜ故郷を捨てたのか?

という部分を軸に、彼の薬師としての思いとか、優しさ、見た目を裏切る男気溢れる内面がきちんと描かれているので話にブレがない。ストーリーとしても起承転結がはっきりしていて、かつ読みやすい文体を書かれる作家さまなので、一言で表現するならば「非常に読みやすい」作品だったように思います。

紫春の素性とか、九尾である、といった部分は独創的で面白いですし、彼のピンチの際にはもれなく助けに来てくれる李貴とか二人を支えてくれる人物の存在など、BLとして王道といえる部分もきちんと押さえているのも素晴らしい。

が、教科書のような、というと語弊があるかな。
こういう感じで書けば面白い、というツボがきっちり抑えられているがゆえに枠に収まってしまっていた感も否めなかった。

とはいえ、デビュー作でこれだけのクオリティの作品というのは素晴らしいです。次回作が楽しみな作家さまです。

ストーリーの面白さももちろんですが、サマミヤさんの描かれた挿絵がこれまた素晴らしい。紫春、李貴、そして彼らの周囲の人たちも魅力的で、敵キャラですら魅力的でした。モフモフ好きな方には堪らない作品かと思います。

「彼」には幸せになって欲しいと思いますし、「あの人」のお話も読んでみたいし、ぜひともスピンオフを書いていただきたいと思います。

6

驚き

角川ルビー小説大賞読者賞受賞作とのことでgetしてみました。キャラの役割のはめ方が上手いなあと感じられて、驚きでした。めっちゃ萌えたキャラというわけではなかったですが、どのキャラにもちゃんと入れ込める感じがしたので萌2にしました。次回作も読もう!と思います。本編280Pほど+あとがき。

山間の小さな街、香林街で薬師を営む紫春(ししゅん)。町で買い物をしている際、酒楼の店先に出ている卓のあたりから毒と思われる異常な匂いがするのに気付いて・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
櫂染(かいせん、攻めの側近)、霹政(へきせい、黒の九尾)、李晃(りこう、攻めの弟)、英桂(えいけい、引退した将軍)ぐらいかな。櫂染がちゃんと側近していて良い!

++良かったところ

受けは、定めに抗い、自分の人生を切り開くべく、九尾の里から逃げ出してきた頑張り屋さん。自分の人生、自分のやりたいことをやるって感じです。がんばって生きてきているのに、櫂染に追い詰められて、追い詰められてハラハラという感じ。

攻めは攻めで、ずっと命を狙われてきた、なかなかな人生連続崖っぷちな皇子。大きく強くなったからだいぶマシになったものの、幼い頃はさぞかし大変だったと思います。ややコミュ障という印象で、上手く気持ちを伝えられていないよなあ。だから受けとすれ違っちゃう。

攻め受けの恋心はおいといて、一番ああ!と思ったのが霹政。こいつの気持ちが切なかったなあ・・・悪党なんだけど。

あと良かったのがモフモフの九尾と耳に関する記載。しっぽのお手入れシーンとか、九尾に対する設定(求婚)などが良くって、ああモフモフよろしくてよ・・と思いました。添い寝している時にしっぽが巻き付いちゃうのは良いよねええ。

攻め受けのキャラも、サブキャラも良いではないか!と思った一冊でした。お話書くのは大変だと思うのですが、是非2作目を読ませてくださいませ。中華モフモフに興味がある方はおススメしたいです♡

2

突然求婚されました

今回は大国の第二皇子と
里から出奔して薬師をする九尾のお話です。 

九尾である受様が攻様との出会いで
逃げ続ける生き方を変え、幸せを掴むまで。

古の次代に化け狐・九尾と人の間に生まれた子を
始祖とする一族は狐の耳と9本の尾もつ事から
九尾と呼ばれるようになります。

皇帝が傍においた九尾に毒殺された逸話もあり
九尾は毒や暗器を使って人を殺める一族として
人から恐れられ、忌避される存在となります。

受様は薬師の家に白尾として生れますが
九尾の最高位である白尾は滅多に生まれない事から
長によって暗殺を担う武人の許婚者とされます。

許婚者は受様の妖力を婚姻で継承し、
その力で里の外にも力を絞めそうと企んでおり

受様はその野望阻止のため里を出奔、
今の受様は大国楊華の都から国境へと向かう
交易路にある小さな街で薬師として働いていました。

ある日、受様は街の屋台で粽を注文していると
異様な苦さを放つ臭気を捕らえます。

そして気品に溢れた佇まいの青年が手にした椀から
それが漂っていると気づくと咄嗟に彼の手から
椀を叩き落とします。

この青年こそが今回の攻様です♪

受様は間一髪で攻様の危機を防いだのに
攻様のお付きの男に冷たい刃先を
押し当てられる事になります。

受様は役所に連行され小牢で尋問されますが
九尾の嗅覚で知ったとは言い出せず
攻様達を説得する材料が有りません。

そんな時に人化する薬の効力が切れてしまい
受様は九尾の姿をさらしてしまうのです。

更なる窮地に追いやられた受様に
助かる道は有るのか!?

角川ルビー小説大賞の優秀賞受賞作で
宮廷策謀に巻き込まれて命を狙われる攻様と
九尾の郷の習わしから逃げ続ける受様の
もふもふファンタジーになりのます♪

九尾となった受様に攻様のお付きは
ためらいなくは抜刀しますが
攻様は自分を庇った彼を諫めたばかりか
なんと受様に求婚するのです!!

その上、
自分は現皇帝の第二皇子だと身分を明かし
次の日からお付きをする側近と共に
受様の元に日参するようになるのです。

かなり変わった皇子様に
最初は読者も受様と一緒に翻弄されていて
コメディぽい展開になるのかと思っていたら

第二皇子である攻様が狙われている理由と
受様の許嫁の存在がリンクしていき、
なかなスリリングな展開になっていきます。

受様の婚約者と攻様達の戦いという山場では
受様の印象をも変える結果となり
大団円までとても楽しく読ませて頂きました。

攻様の性格設定が
一般的なヒーローとしてはかなり変っていましたが
個人的には攻様が受様の許嫁と一騎打ち対決しないとか
ちょっと色々とびっくりした展開もありましたが
次作にも大いに期待しています (^-^)v

2

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