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戸ヶ谷先生の2作目がすごく良かったので、デビュー作も遡って読んでみました。
結果、なんとも言えない独特の世界観があって最高に良かったです。
突然変異によって普通の人間ではなくなってしまって、血を求める衝動に忠雪自身さえも驚き戸惑ったというのに。
それをいとも簡単に受け入れてしまった十字の"なんでもない"優しさがすごく沁みました。
忠雪を支え続けたその生涯、表向きは医師として接していた部分が多かったのかもしれません。
でも医師と患者の関係以外で繋がった37年という日々には、きっとたくさんの愛があふれていたはず。
表情や目線からしか十字の想いはわからないけれど、そこから感じる温かさだけで充分だったな、と。
忠雪の最期のときを見ていれば、多くを語らずともふたりがどんな時間を過ごしてきたのかわかるのも美しかったです。
どうして忠雪はそんな風になってしまったのか?というのは結局わからないままで、謎が謎のまま終わるところにも惹きつけられました。
BLという括りをこえた作品だったなと感じました。すごく面白かった…!
初作家様でした。
吸血鬼モノって美味しいですよね(当社比)
喜んで食いつくわけですよ。でもこれは…吸血鬼なのだろうか…?
ごく普通の社会を生きる1人の人間がある日突然、吸血鬼のような異常な体になる。原因は不明。前例も無い。歳をとるのが遅いため長い付き合いはできない。血液以外口にできないせいで人とご飯に行くこともできない。家族にさえひたすら隠し通し、ただの人間として行き続ける。……よく気付かれずに生きられたよな。無論、そばにい続けてくれた唯一の存在があってこそとは思うが…設定的に色々と気になってしまう故、初見後数日咀嚼してから感想書いてます。が、うーん…やはり評価悩ましい…私に合わなかっただけなのかもしれない。BL味も激薄だったしなぁ。
繰り返し読んだり時間を置いたりしてる内にじわぁ〜…っと染み入る感じの作品かもしれません。(私には染まなかったのが残念)
とりあえず一言。
死ねないのは何よりも恐ろしい。
表現力と言えばいいのだろうか、魅せかたがめちゃくちゃ上手いです。はっとするコマが何度も登場してセリフが少なくても(全く無くても)感情がしっかり伝わってくる。才能すごい。
ハッピーアホエロBLをメインディッシュにして日々を生きてるのでラストどうなるのかドキドキしながら読みましたが納得の終わり方でした。最終話の最後のコマに見事にやられました。素晴らしい作品でした。今後のご活躍が楽しみです(皆さんレビューに書いてますが私も泣きました)
※シーモアで読みました。修正が必要なシーンは登場しません。
えっ?これってBL?BLを越えた人生ドラマのようなお話なのかな?あと吸血鬼のお話かな?と思って購入しましたが、化け物ということばは出てきても吸血鬼という単語がてて来ないので、そういう病気になったんでしょうか?
今まで読んだことないようなお話ででもとても胸に響きました。最後はもう涙しか出ない
よくある吸血鬼の子孫とかそんな話ではなくもっと現実的な、もしこんな病気が本当にあったら怖いですね。
忠雪が家族に会いに行くところは、本当に切なくて苦しかったです。以前大好きだったお母さんの手料理が食べれないとか、小さくなったお母さんを抱きしめるシーンとか泣
お父さんのエピソードとか…すごく悲しいけどなんて暖かい思い出なんだろうと思いました。
そしてなんといっても、十字さんです。最期まで忠雪と一緒にいてくれて、寄り添って見守って死後も忠雪の心に居続けます。本当に大好きです。ていうかいい人すぎませんか?
お互いの間に確かに恋愛感情は確かにあったと思うんです。でなければあんな情熱的なハグはせんでしょう!
でもそれは本当に見つめるだけのピュアすぎる恋だったように思います。死後再び生まれ変わって今度こそおもいっきり恋愛してほしい二人なのでした涙
派手さはないけど間違いなく名作です!
BLか?という疑問さえ湧いてくるような、2人の人間の人生を覗き見た感じです。いえ、1人は吸血鬼?でしたね。
【研修医の忠雪と指導医の十字。あるとき忠雪の体に異変が起こり、死ぬことさえできないほどの治癒力や、吸血衝動などが現れる。それを知った十字は忠雪の治療として血液の提供を申し出る】
初めは確実に吸血鬼の話だと思ったんですが、いくら読み進めても忠雪が吸血鬼になったきっかけや、事実『吸血鬼である』という謎解きは出てこない。十字との間にもすごい信頼関係は見えるのですが、恋愛かというとそうでもない。ただその関係はひたすらにーーエモかったです。
年を取らない忠雪と普通の人間である十字との生活、人生の違い、寿命の差など、何もかもが隔たっているのに寄り添っている2人。そこかしこに儚げな雰囲気があり、いつこの関係が悲しい結末として終わるのか、ドキドキしながら読みました。結果的にはそんな悲しいことはなくて、忠雪は十字の最期まで寄り添うことができていたし、忠雪も不老不死ではなくその生涯を終えるという、ある意味新しい吸血鬼像でしたね。
月明かりが似合うような、静かで詩的な話でした。