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崎谷はるひさんの2007年の作品。
書評サイトを読むと、かなりエロ度高い作品なのだそう。
2007年の「凄い」を知りたくて、電子版を購入。
名門進学校に通う遠山由宇と、義理の叔父・瀬名匠の関係を綴る物語。
由宇を産んですぐ亡くなった母は、美しい人。父親も美丈夫。
でも虚弱児で生まれた由宇は、自分に自信がない、人見知り。
病弱で一年留年している、友達もいない。骨格の割に大きな前歯が生えてきて矯正具をいれていた、等々由宇が引っ込み思案で、学校で虐められる要素は沢山。
後妻の里香と 弟の匠は、そんな由宇を可愛いと、優しく接する希少な存在。
由宇の面倒を忙しい両親の代わりにずっと見てきたのは、匠。
匠は、由宇のどんなことも受け入れる、包容力を持っている。
由宇が万引きをする場面から始まる物語。
由宇が叔父の匠に邪魔な存在になりたくないと匠を避けていた。
由宇には、人に言えない願望があり、それを聞き入れてくれたのも匠。
・・面白い展開。
多分これは、叔父が溺愛する甥を、自分好みに時間をかけて育てて調教して、理想の恋人に仕立てていく過程を綴ったものなんだ、
と分かったら、ニヤニヤしながら読み終えました。
今どきのBLストーリーとちょっと違った感じがするお話です。耽美系に近いのかもしれませんね。私的にはこういった感じの話が好きなのですがかなりかなり読む人を選ぶ作品だと思います。崎谷はるひさんが好きな人でもちょっと違った作風に手にするのを迷うかもしれませんね。挿絵もシュシュっと描いた細い線の絵が儚い感じがして雰囲気にはあっていると思いますが、個人的には、ちょっとイメージと違っていました。耽美作品が読みたいと思う人には絶対におすすめします。
主人公、遠山由宇が父の再婚相手の弟として出会ったのが瀬名匠。
匠に甘やかされ育てられいつしか、隣に寄り添いたいと思った時に
地味な自分ではだめだからと、きれいな女の子だったらそばにいられると
いう発想で女の子の装いをします。
挿絵もデコラティブで雰囲気充分でした。
これでもかとエッチが濃いです。
その度に、匠がいじわるってつぶやいていました。
作者は実験的な作品とあとがきで書いています。
大昔のJUNE時代の作品に通じるものがあります
正直、既思感も感じます。そういう世界観は嫌いではないのですが
BLというジャンルではもう少し攻めと受けの対等感や
受けの自立みたいなところがあればと思ってしまいましたが。
でも、そういうところを目指した作品ではなかったのですね〰
崎谷先生の作品がとても好きで色々と読みましたが、この少年人形の不健康さがとてもやみつきになります。
不健全ではないんです、不健康なのです。
色々と過程なども描かれていて、それでも不潔さを感じさせません。(個人差はもちろんありますが)
内容的にはひどく偏るところがあるので万人受けするとは思いませんが、ただのBL作品ではくくれないような病的であり芸術的な作品だと思います。
背徳と禁忌の世界。
叔父に愛されるために女の子になりたい由宇
そんな由宇を身体だけでなく、心も調教していく叔父・匠
虚弱な少年と魅力的な叔父
ふたりだけの閉じた世界で繰り広げられる官能。
由宇の健気な想いと、匠の甘く残酷な支配が、すれ違いながらも通じ合っていく。
匠に愛されたい由宇と
由宇の想いが自分に向いていると気づかない匠
匠に愛されるために、ふさわしくなるために女の子になりたい由宇
その想いが匠に全く伝わっていないところが、もどかしく切ない。
最初から最後まで、ふたりだけの世界。
それが良いのか悪いのかはわからないけど。
作中のイラストもとても耽美で素敵。