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表題作花嫁はマリッジブルー

朝倉正嗣,28歳,御曹司で姉の婚約者
麻生拓海,20歳,大学生

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

大学生の麻生拓海には、双子と間違えられるほどそっくりの姉、美花がいた。
顔とスタイルのよさだけが取り柄の美花は、旧華族で名門ホテルグループの御曹司、朝倉正嗣と玉の輿婚することに。
麻生家は皆大喜びだが、拓海だけは朝倉が姉に愛情を抱いていないのを知って激しく憤る。
だがその冷酷さが複雑な家庭環境のせいだとわかり、姉の婚約者にもかかわらず拓海は朝倉に惹かれてしまい…。

作品情報

作品名
花嫁はマリッジブルー
著者
凪良ゆう 
イラスト
唯月一 
媒体
小説
出版社
白泉社
レーベル
花丸文庫
シリーズ
花嫁はマリッジブルー
発売日
ISBN
9784592875352
3.6

(82)

(29)

萌々

(16)

(25)

中立

(7)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
13
得点
291
評価数
82
平均
3.6 / 5
神率
35.4%

レビュー投稿数13

途中で読むのをやめられない!

花嫁モノが苦手!という方にこそ
読んで頂きたい、絶対のオススメです。
途中で読むのをやめられなくなることを
保証いたします(笑)

姉の婚約者の朝倉のことが
気になってしまう拓海側の心境から
物語がスタートし、
中盤以降はそんな拓海に
心を奪われてしまった朝倉の
ちょっとズレた言動が展開されます。

キャラが良いです!
美人なのに、お金への執着心が強く、
弾けた性格の姉は、実は一途に
元カレのエディを想っている乙女です。

エディは弱気で甲斐性なしですが
姉を想う気持ちは誰にも負けず
最後は期待通り、
バシっと男らしく決めてくれます。

拓海は可愛らしい外見とうらはら
とっても常識人で思慮深く、
周りに迷惑をかけないことや
姉が幸せになることを一番に考えています。

強引で強気、頭のキレる御曹司・朝倉の、
攻めとしてのスペックは非常に高いのですが
ボンボン育ちの天然さを兼ね備えているので
肝心な部分でハズしたり、
嫉妬心を隠しもしなかったり、
拓海の反感を買うこともしばしば。
その、お互いを想い合いながらの
すれ違い感がすっごく良いんです!

巧いなと思ったところは
一見、権力も金もある朝倉の思い通りに
コトが運ぶと見せかけて
主導権は拓海が握っている点です。

後半は、拓海に振り回されまくる朝倉。
そして「君のせいでこんなに苦しい!」
と、手の内を全て見せてしまうような台詞を
口に出して言っちゃう(ボンボンだから)
それがすごく嬉しかった(*^_^*)
(↑拓海が乗り移ってます)

そして登場人物全員が、
落ち着くところに落ち着く、
とても綺麗なエンディングです。
ピターっと帳尻が合うこの感じ、
とっても読後感が良かったです。

花嫁モノを毛嫌いして、
この作品を見落とさなくて本当に良かった!
自信を持って「神」評価をつけます。

7

じっくり読ませてくれる花嫁もの

花嫁ものは地雷だと思っていたのですが、これは、楽しかった!ヒューマンドラマ(コメディ?)として楽しめる作品だと思います。

拓海から感情を持たない「超合金合体ロボ」と評されていた朝倉が、真っ直ぐな拓海と触れ合ううちに、人間らしい表情を見せるようになる過程と二人が気持ちを通わせて行く過程が併せてじっくり描かれていて、どんどんお話に引き込まれていきます。

拓海は、凄く性格のいい子です。顔は女の子みたいで可愛らしいんですが、中身はとても男前で度量が広い。そして、先入観に囚われない柔軟さと庶民感覚に基づいたな真っ当な基準を持っている。(まあその柔軟さや真っ当さゆえに、常識はずれな人間達に引きずり回される損な役回りをするハメになるんですけどw)なので、年下受という感じがしないんですね。朝倉に普通の人生の楽しみを教えてあげたり、どこか拓海が朝倉を育てていくという感じさえする。

物語が進むにつれて、朝倉がどんどん可愛くなっていっちゃいます。なんだかんだいっても朝倉ってそれほどスレてないし、根っこは素直なんじゃないかな。どちらかというと、子どものまま大人になった人という感じがします。本当は、心の奥では色々な感情が渦巻いているんだけれど、それらを自覚して表現することができないというか、ある感情があっても、それが何であるのか分からないというか。それは、朝倉が育った家庭環境によるところが大きいんですけど。子どもの感情を育むには程遠い環境ですからね。そんな朝倉ですが、拓海と触れ合ううちに色々な感情が引き出され、やがて拓海に強く魅かれていきます。

作者様のユーモアとテンポ感が秀逸でした。朝倉のトンデモお貴族様ぶりも、個人的には、鼻につくというより、むしろ笑いを誘う要素になっていたように思います。朝倉家当主の正妻と愛人がバチバチやりながら同じ敷地に住んでいるという朝倉家のぶっ飛んだ事情も、華麗なる一族か!とか突っ込みながら笑わせていただきました。 

姉、美花のキャラも素敵です。凶暴で計算高いだけかと思いきや、ひたむきさや情の深さもある、味のある女性でした。BLに出てくる女性って、どうでもいいキャラor好感の持てないキャラが多いんですが(笑)、彼女には感情移入できました。なんだかんだ言いながら、やっぱり愛着のある男の方を選んじゃうよね。美花の彼氏、エディ(日本人ですよw)は、徹底したヘタレキャラですが、土壇場で根性を見せて、ストーリーの転換に貢献し、ヘタレなくせに、ある意味キーパーソンとなりました。彼が美花をさらっていく場面では、ちょっとウルッときてしまいましたね。BLでまさか男女のカップルに萌えるとは思わなかった(笑)

姉の婚約者ということで、もちろん拓海の中には、朝倉と気持ちが近づいていくことに対する背徳感もあるんですが、センスある軽妙なユーモアのお陰で、作品全体がに重くなることはありません。笑いを誘う地の文(時々シニカルですけど)がところどころにバランスよく配置されていて、作者様の文章センスの素晴らしさが伺えます。重くなりすぎないんだけど、でも例えば、二人が結ばれる場面では、「一度限り」という想いから来る感情の高ぶりがじっくりと描き込まれ、切なくなりました。笑いと切なさが絶妙に同居している、という感じですね。

拓海がウェディングドレスに着替える部分は、緊急のドタバタとしてコメディタッチで描かれていたせいか、意外とOKでした。個人的には「男がウェディングドレスを着る」という事態が、さも普通のことのように描かれるとダメなんですよね~。が、本書のように、普通じゃないんだけど、話の流れ上必然的に着なきゃいけないことになりました、みたいな感じだとすんなり受け入れられてよかったです。

5

過去最高の身代わり花嫁モノです

みなさん書いてますが、身代わり花嫁モノと侮るなかれ。
苦手な方にこそオススメです。間違いなく苦手意識がふっとぶと思う。
私も以前は身代わり花嫁モノは苦手だったんですが(実際テンプレ通りのつまんない作品が多いです)、何作品か面白い身代わり花嫁モノに遭遇したおかげで、苦手意識はなくなりました。その中でもこの作品は過去最高に面白かった。
さすが凪良ゆうさん。

何がいいって、「過程」がいい。
エキセントリックで傲岸に見えた攻めが、どんどん可愛くなっていくんですよ。
「根性曲がり」と言われたことにやたら拘ってたことから可愛さの片鱗が見えはじめ、ストーリーが進むにつれて攻めが愛しくて仕方がなくなる。
これけして攻めの性格が変わっていったわけじゃないんですよ。ほんの少しずつ角度を変えながら攻めを描いてくれてて、そこから見える可愛さなのだ。
凪良ゆうさんの上手さだなーと思います。
受けも攻めも、会うたびにどんどん互いを好きになっていく。その過程に胸がキュンキュンしました。
一目惚れよりよりも好き。

あとこのお姉ちゃんいいね~w
結局エディを選んじゃうあたり、計算高い女にはなりきれてないわけで、ハチャメチャなのに憎めない。
ハチャメチャだけど、二人が出会えたのはこのお姉ちゃんのおかげなわけだしw

2

4頁に一度は笑えるコメディ

監察力鋭い著者のコメディもの。
このストーリーでキモいキャラは、姉の恋人のエディ。強いんだか弱いんだか、分からない人。恋人に殴られたって、泣かされたって、縋り付いて9年。(思い出しただけでも噴き出して笑ってしまう、面白いキャラ)
笑い所は、エディの奇行と、拓海の台詞。表現が面白くて笑ってしまう。笑いながら読んだので、一冊読み終わるのが早かった。
「花嫁はマリッジブルー」→「花嫁は今夜もブルー」の順番で読了。

ハンサムウーマンな姉を持つ弟。ターゲットに向かう押しのけと押し分けが上手い。
弟は大和撫子な気性。顔はソックリでも姉と性格は真反対。
押しが強い姉のおかげで弟に色々な幸せが巡ってくる。
主人公の拓海のとりなしで、長い間拗れていた恋人の家族間の歪が正されて、ハッピーエンドです。
---
関連して思ったこと。

★「ハンサムウーマン」
女性の社会進出を表す言葉で、一見ジェンダーレスを意味しているように感じますが、本当は凄く問題を持つ言葉で、女性の社会進出の陰には、女性の男性化=産むことの拒否、が潜まれているのだそう。BL読者層が増えるのは、その社会現象を反映しているらしいです。
女性が産まなくなるなら、これからは「半陰陽なる者たち」=「両性具有」、男性に出産機能を追加する「オメガバース」的なジャンルに目が行くのだと思う。両性具有の出生率は、キリスト教的概念から奇形扱いされているので、生まれる前の中絶が多く、統計上少ない数になっていますが、案外多いそうです。
私は、奇形ではなく、そういう「性」を持つ人として、認めるべきだと思います。

2

確かに、「花嫁」で見過ごしたらもったいない

このタイトルに、この表紙、カバーに書いたあらすじも、ごくごくテンプレなハーレクインな花嫁身代わりもの、っぽい。
でも、他の皆さんもレビューしているように、この作品「花嫁」の言葉に惑わされちゃイケナイ。
身分違いというか、生活水準や生い立ちの全く違う二人が、「姉の結婚相手」「結婚相手の弟」という出会いかたをしたからこそ、「結婚とは」「愛しあうとは」何なのかを考えながら付きあっていき、本当に最後の結末が「身代わり花嫁としての結婚式」。
この、出会いから、結婚式に至るまでの過程を、丁寧に描いた物語だからおもしろい。

最初は単に傲慢なイヤな奴にしか見えなかった姉の婚約者が、普通に愛されて育った拓海によって、素直に人間的に成長していく所といい、拓海の姉や家族、エディ、朝倉家の家族等の脇役といい、文句なくおもしろい。

凪良さんの作品の主人公の魅力は、心映えの良さ、真っ当なバランス感覚。
この作品もその魅力全開の、読んでいて心地良い本でした。

1

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