永遠の愛と絆が交錯する、ダークロマンス完結編!

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表題作吸血鬼はベジタリアン2

ヴァン、500歳、吸血鬼
トニー、ヴァンから血を与えられた吸血鬼

その他の収録作品

  • ショートストーリー「林の奥のクリスマスツリー」
  • あとがき

あらすじ

村を出て5年。ヴァンから血と体液を注がれて吸血鬼と化したトニーは、これまでにない自由な日々を謳歌していた。だが体に異変が生じ、その原因を探るべく、ヴァンやラビとともに両親の故郷へ向かう。
唯一の手がかりである素描を頼りに訪れた教会で、両親の過去を知る牧師に会い、雪山の畑に埋まっていた骨の正体と衝撃の真実が明らかに。
残酷な運命に、互いを傷つけあうヴァンとトニー。苦悩するふたりを嘲笑うかのごとくトニーに魔の手が襲いかかるが、それは同時にヴァンをも破滅に追い込んでゆく――。
永遠の愛と絆が交錯する、ダークロマンス完結編!

作品情報

作品名
吸血鬼はベジタリアン2
著者
綺月陣 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
ぽん出版
レーベル
アモール文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784434318214
4.4

(22)

(17)

萌々

(1)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
94
評価数
22
平均
4.4 / 5
神率
77.3%

レビュー投稿数4

読後に想像を掻き立てられます

2人と1匹で旅する生活を始めたトニー達。初めての場所、初めて見る文化、初めて食べる食べ物。全てが閉ざされた雪山の生活とはうって変わって賑やかで楽しそうでした。もう、この幸せが永遠に続いて欲しい!まだ3分の1位しか読んでないのに、話はここで止まって欲しい。祈りながらも、やはり止められない方向に話は進んで行きました。幸せそうなのに、読むのが怖くなってくる…これも演出の1つなんでしょうか?!そうですよね。

話は直接読んで欲しいですが、
トニーの両親の過去が明らかになります。両親はトニーが経験した事と同じような、根拠の無い噂話から恐怖心が広がった村人から逃げる様にして雪山に来た事が分かりました。そして、両親は今まで敬虔なキリスト教だったのに、雪山ではその宗教心は捨てて、大地の恵に感謝しながら生活していました。
吸血鬼となったトニーも、両親と同じように今まで心にあった考え方を変えなければならない出来事を経験します。
一方ヴァンは、死の間際に生きることを諦めてしまった両親を、助けられなかったことをずっと悔いていました。そして、死にたいと思っていたのに、ラストでトニーに言い残した言葉は、本当に強い意志が感じられて、涙が止まりませんでした。1人残された人の悲しみ、苦しみ孤独を知ってるヴァンだからこそ、選んだ道がラストに繋がったのだと思います。
ヴァンもトニーも両親の生き方に強く影響されて生きている事が印象的でした。

ヴァンとトニーの運命的な繋がりはなるほどと、思う一方で、2人の悲しい繋がりに、読んでる途中はとても苦しい場面もありました。2人が幸せになるには、トニーの心に革命が起きないといけなかったのですね。
そして、ラストの亜樹良のりかず先生のイラストから色々、救いのストーリーを想像する事ができます。これは、どの時代?とか、様々に妄想してしまいこれからの2人を楽しむ事ができました。

一巻では、トニーが交流あったほとんどの人に酷い仕打ちを受けますが、2巻では出て来た牧師様がトニーの正体を知ってなお、トニーを救うために行動してくれていた所が救いでした。

吸血鬼という設定ではあるものの、「普通に生きたいだけなのにうまくいかない」とヴァンのセリフがありました。これは人間社会で生きていく私達がたまたま人並みとは違った生き方をすると(異端の烙印押されてしまうと)、簡単に不信感持たれたり、また、そういう中でひっそりと息を潜めて生きていく苦しさや、悲しみ、孤独。そういう感情にも繋がっているような気がします。それでも、誰か1人でも心に寄り添ってくれたり、動物でも一緒に生きてくれれば、強く生きて歩いていける。そう言う人間の生き方にも通じる。そんな綺月先生からのメッセージ的な意味も含めて、ラストの余韻がずっと心に残る印象的な作品でした。「共に生きる」とか、「ずっと愛しています」とか、そういう言葉がヴァンとトニーにとってはどんな形であったのか、読んで確かめて欲しいです。

5

家族の愛は絶対で、そして永遠だ…

読み終えてしまった……
吸血鬼を題材にしたBLの中でも、ここまで耽美的で美しく、残酷な物語は中々見かけません。
作品の熱量に圧倒されて、もう2人のことで頭が一杯。
いつまでも、2人と1匹の世界に浸っていたい。
終わらないで欲しい……切実に。

愛する伴侶を手に入れたヴァンは無邪気にトニーとの旅を楽しんでいて、とってもチャーミング!
トニーへの独占欲や執着心を募らせていく様子にキュンとして、蜜月な2人の耽美的な濡れ場に思わずうっとり

いつまでも、2人と1匹の微笑ましい旅が続くのかと思いきや、徐々に雲行きが怪しくなっていき……

1巻では謎のままだった〝トニーの畑の秘密〟について、答え合わせの第2巻でした。
トニーの両親の秘密が分かりスッキリすると共に、またしても人間の醜さと愚かさを感じるエピソードに胸が締め付けられます。

人間と吸血鬼の間で揺れるトニーの葛藤や、愚かな人間の餌食になってしまう様子が痛々しくて……
吸血鬼として覚醒する為とは言え、1巻同様に人を選ぶ表現がありますので、ご注意ください。
(暴力表現は1巻よりマイルドです)

人間は罪深い。けれど、手放しに吸血鬼に罪はないのか?と問われると、何とも言えない気持ちになりました。
神の悪戯か、抗えない運命なのか……
ヴァンがトニーの艶やかな野菜に惹かれたのも、宿命だったのでしょうか。

終盤の怒涛の展開は、吸血鬼として人間を憎み、利用して生きてきたヴァンへの神からの試練であり、赦しでもあった…そして、あのラストに繋がったように感じます。

2人と1匹の生活は、まだまだ始まったばかり。
彼らの旅路が、穏やかで幸せな未来でありますように……
その後の彼等について思い馳せてしまうような、素敵な余韻が残るラストでした。

※亜樹良先生のラストページのイラストが本当に素晴らしいです。救いの神だ……!!!

4

2人の旅路

おもしろかったです。

読んでいて、何か嫌な予感のする感じ、と言うか「あぁ〜そっちへ行かないで!」って思う方に登場人物が行ってしまうのを見守りました。

それは悪いことではなくて、その当人にしたら自然な行動なのですが、読者としてはとてもハラハラするわけで、ドキドキを抑えつつ一気に最後まで読みました。
人の醜い感情や、社会のどうしようもない理不尽さをグイグイえぐってくるところはさすが綺月先生だな、と思います。

最後は、なるほど!と思わせる描写がありそれがすごく救いとなりました。

とても壮大で骨太な物語でした。

3

明かされた過去に埋められていた真実

今回は500年生きている吸血鬼と
攻様により同族となった吸血鬼のお話です。 

受様が自分のルーツを知ろうとする顛末と
本編幕間の短編を収録。

受様は農作物を育てるのが得意な両親とともに
雪解けを知らない極寒の山で暮らしていましたが
両親は7才の時に亡くなります。

それからは1人で野菜作りをして暮らしていますが
500年を生きている吸血鬼でベジタリアンを目指す攻様が
受様の野菜を気に入った事から交流が始まります。

攻様と関わる事で少しづつ変わっていった受様ですが
受様の野菜畑を狙う村人達に急襲され
人としての死を迎えたところを攻様によって救われ
攻様と同じ吸血鬼となりました。

攻様は受様を襲った村人を惨殺し
2人は同じく吸血鬼となったラバとともに村を離れ
放浪生活を始める事となります。

攻様の吸血鬼としての力と長く生きるための知恵によって
受様は新しい世界を体験していくのですが
ある時過ごした港町で唯一残された父の素描から
父の故郷らしき土地が判明します。

今なら父を知る人がいるかもしれない
もしかして畑の人骨の謎を知れるかもしれないと
受様達は教えられた土地へ向かうのですが・・・

既刊「吸血鬼はベジタリアン」の続刊で
500年生きている攻様と吸血鬼として5年目の受様の
人外ダークファンタジーになります♪

受様の父は聖歌隊にいた事から教会を訪れようとしますが
攻様は激しい拒絶反応を起こしてしまいます。

吸血鬼5年目の受様にはまだそんな反応もなく
攻様は受様と離れて行動する事となりますが

受様の両親が故郷を去った事件に攻様が関わっていて
受様は被害者となった事で吸血鬼の本質に触れ
攻様を拒絶してしまうのです。

人間によって両親を殺された吸血鬼の攻様は
人間を憎んで生きてきて、迫害を受け続けてきたために
人間を殺す事も厭いません。

被食者の人間は弱いからと集団で徒党をくんで攻撃し
自分達の正当性を盾に存在を消すまで手を止めません。

強きモノも絶対者ではなく
弱きモノが必ずしも被害者ではないこの世界で
理不尽はなくなる事はないのでしょうか。

本来敵対する者同士ながらも惹かれあった2人の未来に
ハラハラ&ドキドキの連続で

ここで終わりでは物足りないような幕引きで
綺月先生があとがきにてこれ以上の続きは蛇足と
言われたのも判る難しい幕引きでした。

ダークな世界で読者が感じた理不尽が
現実の世界にて行われない事を強く願います。

5

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