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あらすじは、先にレビューがあるので割愛。感想だけ。
伊勢の神島の海底神殿の噂を聞いたことがあるので、興味津々、期待を込めて読みました。伊勢の海底神殿 というか、日本の古さを証明する品々の宝物庫があるそうです。当然そういう所には、番人役も昔から居て、人でない魔物だったり。伊勢や和歌山、出雲や四国、九州だとトンカラリンがある辺りは面白い所らしいです。
「背徳のマリア」もそうですが、著者の資料集めと調査力に感服。伊勢-和歌山-広島-福岡までは、天武天皇が隠した日本の秘密が一杯。でも、限りなく真実に近い事柄を引き出すヒントになるものを書いても、BLの娯楽小説として出すなら、ファンタジーで済ませることが出来るので波風立ちません。
古い日本の伝承、御伽噺と対比しながら読んで、とても面白かった。
神
陽気で人間くさい海皇様と、不動産会社社員である主人公。
彼等が沼の底の竜宮城で恋をすると言った、笑えて痛快なファンタジーになります。
調査目的で個人所有の山へと入った来人。
突如、目の前に現れた沼に、アックス(小型の斧)を落としちゃうんですね。
すると、「そなたが探しているのは、こちらの(金の)斧か?」と、沼から神々しい美青年が現れてー・・・と言うものです。
えーと、こちらですね、最初からエンジン全開で笑わせに来てるんですよね。
この沼から現れた海皇様ですが、何故か近畿弁で陽気に喋りまくる、やたら人間くさい神様でして。
また、来人が落としたアックスですが、なんと海皇様の住み処・竜宮城にぶっ刺さりと、屋根を破壊しちゃってたんですよね。
まぁそんなワケで「人間、責任持って修理せぇ! 直すまで、陸に戻るの一切禁止!」みたいな。
いやね、「そなたが落としたのは・・・」と言い、竜宮城といい、なんか色々ごちゃ混ぜだぞ!と。
また、近畿弁で喋りまくる海皇様に、テンション低く答える主人公と、二人のやりとりがやたら笑えるぞ!と。
えーと、何でしょうね。
この海皇様と言うのが、明るくてハイテンションでやたら人懐こくてと、およそ神秘性とはかけ離れてる所が、逆に面白くて魅力になってるんですよね。
また、なんのかんの理由を付けて修理を邪魔したりと、明らかに来人を引き留めたくて引き留めたくて仕方ないんだと分かるのにも、思わずニヤニヤしちゃうと言いますか。
さてはコイツ、さみしがり屋だな!?みたいな。
これ、彼は最初から、どうも主人公の事を知ってるみたいだぞと、読者に匂わせてあるんですよね。
このへんが上手くて、来人が竜宮城に来てくれた事が嬉しくて嬉しくて仕方ない感じでハシャぐ海皇様と言うのが、なんか可愛く感じちゃうんですよ。
そんな彼とヒッポくん(海皇様のペットの巨大タツノオトシゴ)に乗って水中散歩みたいな心踊るシーンなんかも綴られと、来人がほだされて行くのが自然に感じられるんですよ。
くっ、キュンキュンするわー!と。
あとこちら、そんな感じで笑えて楽しいだけかと言うと、予想外に深みもありまして。
いや、予想外って失礼だけど。
来人ですが、会社と言う組織に属している自身の役割や責任、また人間である自分と神である海皇様との生きる世界の違いから、一旦地上に帰るんですよね。
すると、海皇様の住む山を、切り開いて太陽光発電機を設置する事が決定したと知る。
来人は、果たして工事を止める事が出来るのか?
と言った感じでしょうか。
これな~。
私が一番心を打たれたのって、実は海皇様の健気さなんですよね。
や、海皇様がですね、広々とした海では無く、何故こんな山の奥の沼で暮らしていたのかー。
その理由が明かされると、彼の健気さにグッときちゃうんですよ。
また彼は、どこか子供のような可愛さも発揮してくれまして。
こう、ポロポロ涙をこぼしたりするシーンに、すごく心を動かされるんですよ。
長い間、一人にしてすみませんでした。
これからは、ずっとそばに居ますね。
この、来人のセリフには、胸がいっぱいになっちゃうんですよ。
良かった!
良かったねえ! 海皇様!と。
ちなみに、エロは最後に一回だけですが、なかなか変わり種のプレイで「おおっ!」となりました。
まさかの、乳首から射精。
ついでに、触手。
来人・・・。
童貞なのに、初体験から飛ばす羽目になっちゃったねぇ。
と、そんな感じで、笑えて痛快で感動的でもあってと、とても素敵な作品でした。
ガッシュ文庫が休刊となり、どうなる事かと思いましたが、こちらも良かった良かった。
私も待ってましたよー!
小山田画伯の美麗な表紙絵に目が引き付けられてしまって、タイトルの不条理に気づかないところでした。
沼には竜宮城はないし、竜宮城にいたのは乙姫様のはず……気づいた時点でトンチキ好きの私の期待度が上がる上がる!
で「トンチキだったのか?」と問われれば、トンチキと言うよりはスラップスティックの香りが強い様な気がします。
ゼウスと天照大御神が和服デートを繰り広げるというこのお話は『何が出て来るかわからない、ウキウキ感に溢れたおもちゃ箱』みたいな感じです。
なので、まだお読みでない姐さま方に「とりあえずこの箱に手を突っ込んでみて。きっと楽しいから」と、お勧めしたいのです。
幼い頃、海で溺れて死にかけたことのある来人が、仕事で訪れた山の中にあった小さな沼。持っていた小型のキャンピング用斧を沼に落としてしまえば、神々しくも美しい神様が出て来て「其方の探しているのはこの金の斧か?」とお約束通りの科白……こんな感じの始まりで、全体のトーンはこの調子のおちゃらけ。
ただ、そこに時折、長い長い時をひとりで過ごさなければならない海皇様の孤独が挟み込まれます。
ギャグシーンの連続の中に散りばめられたこの寂しさが、グッとくるんですよ。
メロディラインを変調させるみたいな感じなんです。
私、綺月さんのこういう所が好きなんですよねぇ。
さて、またしてもあとがきを読んで驚きました。
ガッシュ文庫でが休刊してから『他社へプロットを提出しても却下の連続』と書いてあるのです。『ついに廃業かと諦めかけたとき』とも書いてある。
えーっ!綺月さんほどの書き手でもかい?!
……こうやって好きな作家さんがどんどんいなくなってしまうのだな、と思いましたですよ。特に癖の強いベテラン作家さんはその傾向が強いのかもしれない、と思いましたですよ。
危機感を感じるあとがきでした。
読み続けなければなりませんな。
初読み作家さん。
以前から何か読んでみたいと思ってたものの、シリーズ物だったり、シリアス&痛いのが多そうでなかなか読めるものがない感じで……。
なので、この作品のぴれーねさんのレビューを拝見したときに「笑えて」という文字が目に入り、これだ!!と。
というわけで、読んでみたら面白かったです。
テンションがすごく高いと言うか、独特のノリがあって、合わない人にはキツイだろうなぁと思わせるものはあったけど、勢いがあって読めてしまう。
ギリシャ神話のポセイドンなのに、なぜか近畿弁で喋りまくる海皇様がかわいい。
人懐っこくて、無邪気で、喜ぶ時はテンションMAXで大喜びして、拗ねて、いじけて、嘘をつくのが下手で。
そして、おちゃらけて見える海皇様なんだけど、時折一人でいる寂しさとか、受けが来る事を長年待ってたと思われるような言動がチラチラと見え隠れするので、そこにキューンとさせられてしまうんです。
神様なのに、めちゃくちゃ母性本能くすぐられるんですよ。
そして息する暇もないほど様々な景色が現れる水中散策の様子や、次から次へと振舞われる大ご馳走の様子なども読んでて楽しいんですね。
これぞファンタジー小説の醍醐味!という感じで。
まさかのギリシアの神様が……という設定がなかなかうまく飲み込めなかったのと、海皇様が罰せられる原因となった点についても、ギリシャ神話で神が人の運命を左右する話ってたくさんあるよね??と疑問点で頭いっぱいになってしまったのだけど、「そこは気づいたらあかんとこ」とのことなので、スルーします。
そして挿絵も素晴らしかったです。
不動産会社の青年が仕事先で沼に斧を落としてしまい「金の斧、銀の斧」よろしく神様が出てきて気に入られる話。と見せかけて再会もの。
初読みの作家さんです。
相続した山の処分に困った依頼者により該当の山を査定するために三重にやってきた水上来人(受け)。
山に入った途端、携帯は県外になり、よせばいいのにそのまま先へと強硬し、見事迷子になってしまいます。
夕方になりこのままでは下山できなくなると焦りだしたころ、草を刈るのに使っていた斧を沼に落としてしまいます。
先輩からの借り物の斧を落として焦る来人に沼から声が・・・
なんとも愉快な話でした。
沼の中に入ったのに、何故か竜宮城はあるし、広大な海の中と変わらないし、海洋生物の分布を無視した無茶苦茶な魚介類たちはいるし。まさに浦島太郎。
魚介類は食べられるために順番に待ってたり、かなりシュールでした。
そのまま面白おかしく海の中で暮らすのかと思ったら、真面目な来人は仕事を理由に一時撤退します。
二日も連絡しなかった来人に社長はおかんむりでしたが、水難の相でも出ていたのかあらゆる水のトラブルにあい、風邪をひいてしまうのです。
熱が下がり、再び訪ねようとするも既に他社に委託されたあとで...。
特に面白かったのが先輩の角田との会話。
海皇神との日々に思うところのあった来人は、風邪で寝込んでいた来人を看病に来た角田と向き合おうとするのですが、友達として距離を縮めようとする来人と実は入社以来ちょっと気になっていたという角田との会話がお互い盛大な勘違いにより角田にとってはどんどん卑猥な会話に発展していって興奮していくのが面白くて、この勘違いにいつ気付いてがっかりするのかと思ってわくわくしていたら、まさかの海皇様の介入。
酷い目にあった角田の角田は大丈夫だったのでしょうか。
元はといえば看病に来てくれたのに、ちょっとした勘違いでえらい目にあった角田にはちょっと同情します。
でも、楽しかった。
現代の話や海の中の話、過去の話やゼウスや天照大御神が登場してどんどんファンタジーになっていったり、かなりバタバタしていたようで、ちゃんと収まるところに収まって綺麗に終わってよかったです。
来人の初体験はかなり濃くてびっくり。
触手もびっくりながら、中に出して溢れた分が乳首やペニスから吹き出すのはかなりびっくり。
初心者なのに大丈夫かと来人を心配しました。
せっかくなので、授かった子供の誕生まで読みたかったな。
20年間寂しく待っていた海皇神の想いが報われてよかったです。