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新米麻薬取締官・薫と大曽根のラブトリップ!
綺月さんの良さが全開してる作品だと思います。
エロシーンはハードで痛いですが、読み応えは充分でがっつり堪能出来る仕上がりに。
カップリングとしては麻薬取締官大曽根[攻]とその部下、薫[受]なのですが、大曽根は少し離れた位置にいて、作中では元恋人の井原と薫との関係とやりとりが主な部分を占めています。
この井原が気に入りました、いや悪い男なんですよ、薫への陵辱っぷりや所有物としての扱いっぷりも激しくて痛いです。
でも本人が自覚していない部分でその底には愛情がある様に読み取れて、実際最後の最後で井原は愛は口にはしませんが、隠していた本音を吐きます。
どうしようもないロクデナシですがそんな井原を救えるのは薫しかいないとも感じました。
ロクデナシ攻好きとしてはたまらんかったです、井原。
といっても薫の本命はあくまで大曽根で薫にとっての救いも大曽根。
こちらの2人の描き方もいいんですよねー。
祈りというタイトルはラスト近くになって形を持って伝わってきます。
ストーリーも伏線が張られてて一捻りあり読み応えがありました。
挿絵の梨とりこさんはどんどん良くなって行きますねー。
1枚絵に納める情報量が多くなっているというかイメージの膨らませ方が上手くなっててこれからの挿絵も期待です。
表紙も黒目の色調ながら目を引く吸引力を持っていて良かったー。
軽いおバカコメディも書くと思えば、やはり綺月さん作品は、こうしたずっしりと重くて痛くて、これでもかっていうくらいケチョンケチョンにされる受けっていうのがいいです!!
しかも、へこたれない。
この本は発売日が延期になって、すごく待ったものだったので、後書きを読むにつけても、作者さんの気持ちの入れ込み様が伝わってきて、ガッツリ読み応えあり、一気にいってしまいました。
主人公の薫が就職面接の折にラッシュにもまれて苦労しているところを助けられて、見惚れた男は就職先・厚生労働省の麻薬取締部(マトリ)の先輩捜査官・大曽根だったのです。
持ち前の明るさと明晰な頭脳で、部署にも溶け込み、憧れの男性と一緒の職場で仕事できる幸せをかみしているかの薫でしたが、実は彼には本当の自分自身をいうものを身の内に飼っており、毎晩それと格闘し、それを忘れるために仕事に没頭し明るい人間を演じていたのでした。
それが、ある晩昔の男が部屋にやってきたことで、大きく動きクライマックスへと一気に怒涛が押し寄せます!!
麻薬について、今回は通常の市販薬の成分を抜き出して合法的に作りだすという素人的な、しかし、とても危険をはらんだモノをもってきております。
それは、薫の過去と、その過去の男に大変に深く関わり、実は薫はモルモットであったのです。
彼が大学時代退学処分になり、その手を振りほどかれたことで薫は解放されたとともに、薬の実験を伴う激しいセックスのせいで苦しみを持つことになってしまったという部分が、他にみられない特異な特徴だと思います。
その彼が薫の元に再びやってきたことで、またその深く、壊れてしまいそうなほどの性行為が始まるのですが、薫には、大曽根という心の支えがあるので、今回は身体を張ってそれにおとり捜査のように立ちむかうのです。
行為のシーンは壮絶です。
綺月さんだけに半端なく容赦ありません。
ここまで痛めつけなくても、とおもうほどに徹底的ですが、これが読み応えが充分に感じる部分なのでもあります。
一方、薫の憧れる大曾根もそれなりに過去を持ち、マトリとして仕事をこなし、薫の表面の明るさでとても癒され、力を与えてもらっていたのでした。
薫の男の存在を知っても離れず、マトリならではの鋭い洞察力で、身体を張る薫を結局助けるラストは、ぬるいとおもうかもしれませんが、優しさにあふれています。
命の危険をはって挑む仕事だからこそ、互いのその立場を理解し、支え合えるパートナー。
そんなものに二人はなっていくのでしょう。
3年後、というラストもまた本編がとてもキツイものだっただけに、この甘さは許されていいのではないかとさえ、思いました。
本当、よかった、、ガッツリ読ませてもらいました。
やっぱり綺月作品は好きだーー、としみじみおもったのでした。
麻薬取締官が主人公のお話です。
もうそれだけでも私の好みのストライクゾーンなのですが、さらに綺月作品に期待したい“痛い”部分もてんこもりで大満足。
なので、「そこまで頭がいいのに、なぜ転落の道を選んでしまうのか?」
「頼れる家族はいないのか?」
「そこまでやったら死んじゃうんじゃないか?」
などの疑問はありつつも、サスペンスとしても面白かったので、おまけで神評価。
クスリが原因で死んだと思われる風俗嬢の事件がお話のきっかけではありますが、実は来栖薫という東大卒の新人麻薬取締官そのものが、ドラマなのです。
彼があこがれる先輩捜査官・大曽根(辛い過去あり)と、
元恋人の井原(来栖とは東大の同期。とんでもない厄介者)の間に挟まれ、
苦悩しながらも、真っ当な人間であろうと必死になる来栖。
このお話の中で、木の葉のように翻弄され、一番クルクル回ってしまいそうな来栖の芯がぶれないので、クスリによってグラついてしまう場面はあっても、薬物がらみの後ろめたいお話で終わることなく、気持ちよく読了できました。
作者からのメッセージでもあるあとがきまで、しっかりと読んでほしいです。
ちなみに、エロシーンのほとんどは大変ハードです。ドロドロです。
でも、最後の最後まで投げ出さずに読めば、幸せになれると思います。
うん、かなり痛い。読み手を選ぶ作品なのは間違いありません。けれど神評価にせざるを得ないなと唸ってしまう、凄まじいものを読んでしまったな、の一言に尽きます。
とにかく痛いのが苦手な人にはオススメしません。個人的には木原音瀬先生の『FRAGILE』『灰の月』辺りがダメな人は回れ右して下さいといった感じです。
全編通して読んでいてまぁ辛い場面の多いこと。序盤からフルスロットルではないものの、中盤から後半への畳み掛けに容赦がない。
受の薫の描き方がとても好きでした。人間の弱さや業をストレートに落とし込み、彼を通して感情移入してしまう。笑顔の仮面で自分を保とうとする薫と真逆の自分の対比。芯の部分に揺るがないものを持つ薫の、男前な強さが光ると同時に、刹那的なので読むのが辛くなります。
攻である大曽根の存在も薫を突き動かす原動力として申し分ない。紳士的な彼と薫の自動販売機前のやり取りはとても良かった。なのでなおさら後が辛い。贅沢を言うなら、後半もう少し休憩ポイントとして大曽根と薫のやり取りがあると心休まったかなと思いました笑
そして、井原の圧倒的な負のエネルギー。薬物という鎖で繋がれた井原と薫が、セックスによって交じり合い堕ちていく様に脱帽。ここの描き方がとにかくすごい。作者さまの筆力に圧倒されました。薬物に関しての情報も多く、ドラッグセックスによる依存症の苦しみも巧みに表現されています。
後に、これらが愛する人と触れ合いたいという自然な欲求をも恐れとして薫を苛んでしまうわけですが。セックスと性暴力というまるで違う性の在り方に翻弄される薫を通して、幸福な筈の触れ合いの尊さを痛感しました。
物語は終盤これでもかというほど読者に追い打ちをかけてきます。正直辛くてもう許してとギブしそうなほど。けれどとことんまで描くその覚悟に圧倒され、中途半端でない事にこそカタルシスがあるのかもとも感じたり。
欲を言えば、大曽根と薫の甘い日常や、マトリ仲間との再会など、最後まで読んだご褒美かもう少し多ければなお良かったなと感じてしまいます。
あと一つ、大曽根をどこまで事件解決に関わらせるかがとても難しい判断だったのかなと思います。最後の美味しいところだけ持っていって、ほぼ薫が1人で解決したようなものだと思われても仕方ない。BLの攻めキャラとして考えると物足りないのかなー。でも彼のキャラクター上、これが一番自然だと納得もできるので難しい所だなという感想です。
何度も読み返したくなる作品では正直ないのかも。けれど間違いなく面白かった一作でした。
Kindle Unlimitedにあったので軽い気持ちで読んだらとんでもなかった。もちろんいい意味です。こういう作品があるからBL小説はやめられないなー、としみじみ。
冒頭からかなりハードな描写です。それが誰のことでどうしてそうなったかをしると読むのを止めるなんて選択はなかったです。(勉強ばかりしている自己評価の低い人が突然怪しい宗教にハマってしまう理由が少しわかった気がして切なくなりました)
詳しいあらすじやネタバレは他の方が書かれたものが素敵なので割愛しますが、伊原という人物が主人公(受)を翻弄するのですが、その伊原が最後の最後で受けを守ろうとする姿が描かれていて悪人になりきれない人を描くのが上手い作家さんだと感じました。