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表題作鬼哭繚乱

鬼束暁景
国主で戦国武将
清音
桜の精霊

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

戦乱の世に、村の守り神として三百年の時を生きる桜の精霊──。無垢で人の悪意を理解できない清音(きよね)は、ある日川で矢傷を負った瀕死の武士を発見する。その男は実は、民に寄り添う慈悲深い顔と、苛烈で非情な面を併せ持つ戦国武将──若き国主の鬼束曉景(おにづかとしかげ)だった!! 清音に惹かれる曉景は、誰をも平等に愛する精霊に激しく苛立つ。「憎しみでもいい。俺だけを見ろ」と強引に城に拉致してしまい!?

作品情報

作品名
鬼哭繚乱
著者
宮緒葵 
イラスト
Ciel 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011108
4

(19)

(10)

萌々

(4)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
75
評価数
19
平均
4 / 5
神率
52.6%

レビュー投稿数8

国主だから仕方ないけど暴力がきつい

戦国時代で、辰見国、桜見国、春日部国という架空の国が登場する和風ファンタジーBL。
攻めは辰見国の国主である鬼束暁景、受けは樹齢300年の桜の木の精霊、清音。
清音がその名のとおり清らかで優しくて、彼をとりまく村の人々もいい人達ばかりで、まるで日本昔話のよう。
毒矢で射られ川に落ち流された暁景を清音が助けたところから話が動いていきます。

この暁景の暴挙を許容できるかどうかがこの本を楽しめる鍵となるのではないかと思います。
不遇な身の上で、周囲の者からは鬼と怖れられる若い国主です。
彼の身分からすれば、自分が世界のてっぺんで、それ以外はすべて虫けら同然でしょう。
愛されたこともないのだから、愛する術も知らないでしょうし、好意をぶつけることで精一杯なのでしょう。
ただ、頭では理解できますが、読むのはきつかったです。私は暁景を最後まで許せませんでした。
桜の木の精霊である清音を、本能のままに凌辱する暁景に耐えられなかったです。清音が可哀相でした。
作中、清音は暁景を拒むことなく、むしろ生来の博愛精神そのままにすべてを許し惜しみなく愛を与えるので、余計に暁景の子供じみた独占欲や妬心、独善、暴力、嗜虐的な言動が目立ち、嫌悪感しか抱けなかったです。
このお城いやだな、家臣も下男下女も気の毒だな、早く代替わりすればいいのに、と思い、対抗馬が暁景に輪を掛けて最悪な弟なので、あーこっちも駄目だ、と。
暁景の前妻の子が長じた後によい当主になればいいなとそんなことに期待をかけるしかないくらい、この国の未来が心配です。
特に理解不能だったのが、清音が男なので暁景がいくら清音を溺愛しても子が出来ないため、側室を迎えるべく候補の女性を数名、暁景に面通しした場面です。
身元のしっかりした十代の女の子たち(殿に献上するのだから当然生娘でしょう)の前で、この男はなんてことをするのかと。
もうね、仕事人に小判を渡して闇討ちしてもらいたいくらいでしたね。女の子達が気の毒。絶対トラウマですよ。
というわけで、暁景に対し私は嫌悪しかないので、清音は好きだけど、二人の恋愛?の顛末にはとんと興味がわきませんでした。
しかも、清らかな心の清音が、暁景に何度もひどく犯されていくうちに、自身の博愛の精神に違和感をもつようになるというのは、性暴力による心理的外傷にしか見えなくて。
私は良い読者ではありませんでした。

2

執着

一時私を、特殊な沼へ嵌り込ませた思い出深い作品が十年の時を経て「出し直し」という形にて装い(イラスト)新たにまた手元にやって来てくれました。
嬉しいです。今回収録されているSSは旧版に収録されていませんでしたのでなお嬉しいです。

私が嵌った特殊な沼と言うのもひとえに攻めの異質さがもたらせたものであり、攻めの執着や苛烈さ、そして受けに対する想いの強さが異質です。
異常という言葉を使うか迷ったのですがとりあえず異質を選択。
読み終わった後しばらく、穏やかな愛や相手を尊重するような愛ではものたりなくなってしまった期間があるくらいに、私は嵌りました。
しかしその攻めの異質さは、好みが分かれるだろうなとも思うのです。
短絡的だと、暴力的だと、言ってしまえばそうなんです。でも、受けが自分を見てくれていると機嫌が良かったり、読んでいるうちになんだか、可愛いところも見え隠れするような気がするんです。
まぁ結局、受けが自分以外に目を向けると暴れるんですけどそれはもうお約束という事で。
そこも含めて可愛いと思えれば、ど嵌り間違いないと思える作品なので……苦手な人もいると思う、それは分かっているのですが、私はおすすめです。
執着がお好きな方は、是非。
残酷なところもひっくるめて丸ごと愛してやんよ!という方には、是非是非。

4

10年前に読んでいたら…

底本となったプラチナ文庫版「鬼哭繚乱」が発売されたのが2012年で、まさに「渇仰」もプラチナ文庫から半年ほど前に発売されてるんです。だからなのか両者には似通った表現が使われていました。

宮緒葵先生の執着犬攻めは大好物なんですが、10年経過すると作家さまも時代に合わせて進化する訳で、テイストはそのままで進化した昨今の先生の作風が大好きな私としては、今のほのぼの宮緒葵先生の作品の方が断然好みです。

多分ですが10年前の「渇仰」を読んだ頃に読んでいたらハマっていたかもしれません。

歳を取って人生の半分も過ぎてしまうとどうしても登場人物やストーリーに求めるものが違って来てしまうのだと思います。その点「渇仰」は今読んでも満足行く内容でした。

こちらの作品は半ばまで攻め受け両者とも共感出来ず、お話の後半部分からやっと面白いと思いました。それまでは宮緒先生の良さを感じられずに途中で読むのを止めようかと思ったほどです。

1

憎しみでもいい。お前の心を、俺にくれ…!

正に〝鬼〟畜ド執着攻めでした。
これでもか!これでもか…!と、絶え間なく清音に注がれる重すぎる執着愛のオンパレードに圧倒。
鬼畜すぎる衆人環視プレイが2回もあって、流石にビビリましたw
もう、一方的すぎる曉景の愛情がめちゃくちゃ痛々しくて萌える……!

清音の純粋な愛に癒され、その愛情を独り占めにしたい。
けれど、愛の精霊故に誰にでも無償の愛情を注ぐ清音。
俺だけのモノにしたいのに、絶対にならない。
特別視して欲しいのに、その他大勢と同じカテゴリー。
俺だけが、こんなに清音に恋焦がれている……
あぁ、憎い、憎い…!でも、愛おしくて仕方ない……!

この攻めの葛藤が素晴らしすぎて、もう滾りまくりでした!
我が子同然に可愛がっていた村人達の前で清音を犯す鬼畜の所業に、思わず「清音さまぁあ」と村人達と共に叫びつつ、重すぎる愛故の愛憎孕んだ曉景のクソデカ感情に大興奮!
また、血湧き肉踊る乱世と曉景の異常性が絶妙にマッチしていて、世界観が堪りません!!

本当に自己中心的で酷い攻めですが、実兄妹の間に生まれた子供と言う特殊すぎる出自と、忌み嫌われて育った生い立ちが辛すぎるので、何故か許せてしまうと言う……
その反面、清音に懐く実の息子(5歳児)にまで嫉妬して、喧嘩する様子が微笑ましくてホッコリしました。

また、エロの大半が無理矢理プレイですが、苦痛や羞恥心を感じない精霊のお陰で悲壮感はそこまで感じず。
村の守神として向けられる、慈しみや尊敬とは違う曉景の重過ぎる〝愛〟に戸惑いつつも惹かれていき、少しずつ人間臭さが出てくる様子に焦らされました。

正に、帯にある通り「執着攻めの傑作」
曉景の重過ぎる愛情に息苦しくなる、最高の一冊です。
我こそは〝執着攻めニスト〟ぞ!と言う方に是非。

★地雷避けネタバレ注意★
側室候補達の前で清音を犯し、曉景がイク寸前で側室候補を陵辱しようとするシーンがあります(未遂)
子作りの為に側室を宛てがわれて激怒する曉景、そんな曉景に側室達は恐怖してるわで全く愛情は無いですが、少しでも女性が絡む描写が苦手な方はご注意を!

5

人に愛されて生まれた精霊が愛した鬼の話

今回は鬼と恐れられる辰巳国主と桜の精霊のお話です。

村人に慕われて顕現した受様が
鬼と呼ばれる攻様を助けた事で執着され人となるまで。

受様は今の幕府が置かれてもいなかった300年前
村人に助けられた旅の高僧が手厚い看護に感謝し
村の丘に植えた桜の精霊です。

桜には魔を退ける霊力が宿ると言われ
村人は高僧の置き土産である桜を慈しんで育て
彼らの愛情に応えたいと思った受様は精霊なります。

受様は霊力で村を悪しき者から覆い隠して遠ざけますが
戦う能力を持たない受様は万能ではありません。
受様が川の大岩に引っかかる攻様を見つけた事で
受様の日常は一変する事となります。

数人がかりでようやく引き上げられた攻様は
背中に毒の矢を受けて川に落ちたとみられ
今にも息絶えそうな微かな呼吸をするのみでしたが
攻様からは何としても生還するという強い意志を感じます。

受様は助けを求める人の声を無視できず
桜の解毒の効用を使って攻様の毒を解毒し
攻様の命を取り留めます。

実は攻様は武勇と智謀に選ると評判で
今や西集一の強さを誇ると謳われる辰巳国の新国主で
受様の美しさと死の恐怖から救った温もりは
攻様に執着を抱かせることになり!?

実の兄妹の間に生また忌子で鬼と呼ばれる攻様と
樹齢300年の桜の木の精霊である受様の
戦国ファンタジーになります♪

初出のプラチナ文庫のリメイク版で既刊既読ですが
その時も新刊で手にしたため
内容はあまり覚えていなかったのですが

受様にメロメロな俺様攻と
攻様に執着される健気受の組み合わせに
宮緒作品らしさが溢れていた印象があります。

攻様は前辰巳国の嫡男とされていますが
辰巳国の国主一族は元は大国桜見国の一家臣です。
攻様は先の辰巳国主が押し付けられた妹姫が生んだ
実兄の子という禁忌の子だったのです。

攻様の出生は公然の秘密であり
今回攻様野暗殺を企んだのは攻様の義弟であり
前国主の実息でした。

攻様はその生まれから忌避され続けて育ち
受様のように隔てのない情を注がれた事がありません。

受様は精霊である事を隠していないので
攻様は受様が人でないとかなり早い段階で知りますが
欲望を止められません。

村人を人質のように盾にして受様を城へと連れ帰り
強引に組み敷くも受様の感受性や感性は人とは違うため
攻様の想いが身を結ぶことはなさそうに見えます。

傲慢で強引な手段しか取れない攻様に
人ではない受様を手に入れる手段があるのかとドキドキ
攻様を追い落そうとした義弟は大国の意を借りてでも
攻様から国主の座を狙おうと画策してハラハラ

攻様が受様を恋女房として手に入れるまで
楽しく再読させて読ませて頂きました (^-^)/

3

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