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前作『不機嫌なDOUDOU』で初お目見えして、
その優しくてかわいらしい世界観に一読み惚れしてしまった高乃トキ先生。
今作もそのあたたかな雰囲気は変わることなく健在で、
作品全体から匂い立つ優しさと愛おしさにじわじわと浸りました。
齢41歳にして絵本作家としては順風満帆だけれど、
私生活では健康診断で再検査になってしまったり、
「今自分が死んでしまったら…」なんて考える藤咲。
そんな彼は弟子でアシスタントの立花に世話を焼かれながら、
田舎で穏やかな日々を過ごしていました。
けれど、ある日突然、疎遠だった妹の息子の蒼が訪ねてきて…。
伯父とアシスタントと甥っ子。
3人の不思議なこぼこな生活が始まります。
はじめは甥っ子の存在が二人の生活をかき乱してしまうのかなと
思ったけれど、むしろ蒼の登場によりこれまで師匠と弟子として
一線を越えることのなかった二人の関係が深まってゆきます。
蒼自身は初登場時の生意気そうな印象とは違って人懐こく気遣い屋で、
むしろ、伯父とそのアシスタントの恋を見守ってくれるポジでした。
作中で藤咲本人や周囲からの明言はないけれど、
親との確執を匂わせていたり、立花の裸にムラついていたり、
なんとなくゲイなのかな、と髣髴とさせる空気感があります。
そして、立花の恋愛対象もまた特に触れられてはいないものの、
藤咲に対する執着は弟子と師匠などという生易しいものではなく、
見かけのクールさに反して藤咲のこととなると過保護で好きと独占欲が
ダダ漏れなのでした。
27歳と41歳というとそれなりに年の離れた二人ですが、
そんな年齢差も性別も眼中になくただまっすぐに藤咲を愛する
立花の一途さがよかった。。。
藤咲が病気の疑いから距離を置こうとしたときには
その人生丸ごと捧げてしまうような立花の勢いに
思わずぐっときてしまいました。