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表題作

優しい従兄(?)の宗司
母親の介護をしながら日々過ごす稔

あらすじ

封印されたあの庭には、決して入ってはいけない―。幼い頃から憧れていた、優しい従兄の宗司と同居することになった稔。けれど、日毎に募る仄暗い想いを持て余した稔は、ある夜禁断の庭へ足を踏み入れてしまう。ところが、庭の茶屋で自慰に耽る稔を目撃した宗司は、様子が一変!!「なぜここにいる」と猛々しく稔を抱いてきた!!宗司の激情に、稔は歓喜と恍惚の中で陵辱されるが。
出版社より

作品情報

作品名
著者
烏城あきら 
イラスト
今市子 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199004612
3.4

(19)

(5)

萌々

(4)

(6)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
9
得点
62
評価数
19
平均
3.4 / 5
神率
26.3%

レビュー投稿数9

変態だらけなのに、誰も困っていない・・笑

父親をなくし、会社も重役達にわたし、母親の介護をしながら日々なんとなくすごしていた稔(みのる)
叔母(母親の義姉)のすすめで叔母親子の住む邸宅に同居して、叔母の仕事を手伝うことに。
幼いころからあこがれていた従兄弟と同居するようになり秘めていた男性を好きだという性癖が稔を苦しめます。
そんなときに、出入りしてはいけないといわれていた禁忌の茶室に入り、やっと一人に慣れる空間をみつけ自分を解き放つ行為に没頭するようになります。
この辺りから、あれ、あれって登場人物の精神構造のいびつさが出始めるんですね。
どうも、おかしい皆様。だんだん変態チックな形相を呈していきます。
どの人も精神がゆがんでいるんです。なにげない日常をすごしている振りをしているだけで、その心根には昏い淵をかかえていました。
旦那の情事の現場に息子を向かわせる母親、一家を崩壊させるとわかっていながら弟をそそのかし、弟の幸せを祈った姉、父親の情事に欲情する息子。
そして、再び息子達をむすびつけようとする母親達。
みんな自分を抑制しようと葛藤するけど、激情に押し流されます。でも、だれも困っていません。ヘ(^^ヘ)(ノ^^)ノ
それぞれの息子たち2人が仲良くなって、仕事も、家庭も充実してるハッピーエンド(?)だからいいか・・^^;
主人公稔が、彫塑で無意識のうちに男根をイメージした作品を作ってしまうというエピソードが、鬼気迫るものがありました。
螺旋をえがくとんがりをつくりながら、欲情する主人公・・濡れ場じゃないのに、すごくエロティックなシーンです。

4

静かで激しい

キャラというよりは(もう少し濡れ場表現を抑えれば)ホワイトハート、もしくは講談社ミステリっぽいお話だなあと思いました。
淡々とした中に激しさを潜ませる登場人物達。
主人公の稔と攻めの宗司より、
稔の母由美と宗司の母聡子に感情移入してしまったのは
二人が強烈だったからか、それともわたしが女だからなのか。
結局檻を作るのは人間なんですよね。
真相が次々と語られるラストに向かっては一気に読み進められました。
お話自体はエロエロという訳ではありませんが、静かだからこそ際立つエロス。
今市子さんのイラストも世界観にとても合っていました。

ミステリがお好きな方にはおすすめだと思います。
萌と神で迷ったんですが、BLにはめずらしく(BLらしくないからかもですが)最後の一行がお気に入りなので神評価にしました^^

3

“檻”という名の他人の“業”を読者として覗き見る行為はサイコホラーにも似たスリルがありました。

檻というものは
害を及ぼす恐れのあるものを閉じ込めておく場所。
逆を言えば檻の中の出来事であれば、危険はないんですよね。
で、もっといえば檻の中のものが幸せであれば
檻の外からどう歪に見えようと良いのである。

この物語の“檻”は、まさにそれ。

資産家の家の庭にある“偽湘南”という茶室は
秘密の“檻”なのです。

BLモノで“檻”とくれば監禁調教陵辱・・・と
連想してやまないと思うのですが
“偽湘南”の秘密は、業が深い。

裕福な資産家というだけで、庶民の私には、すでに“檻”で
奇異なものを覗き見るというドキドキ感がありました。

丸く収まったように見える“檻”の中
でもよくよく考えるとちょっとゾゾっとします。
他人の業というものを覗くというのは
サイコホラーにも似たスリルがありました。

2

狂気の愛

烏城さんは、お仕事BLの許可証シリーズも大好きですが、これはサスペンス調でホラーっぽい感じもするので今市子さんの美麗な絵が雰囲気にぴったり合っています。

使われていない開かずの茶室にだけは絶対近づいてはいけません、って言われたら…そりゃあ余計気になっちゃうよねえ。

謎の茶室を誰が使っていたのか明かされていく過程がハラハラドキドキ楽しめます。呪われた一族って感じで耽美に描かれていますが、よく考えてみたらこれって超ハッピーエンドなんじゃないの?皆もっと物事明るく考えようぜ!とも思います。

最後のお母様方のセリフにニヤリとさせられます。

2

こんな愛もいい

許可証シリーズとは雰囲気が全然違いますが、登場人物たちの心理描写やお話の作り方が自然で面白いのはさすが烏城先生だと思いました。こんなに不思議な感じだとは少し意外でしたが…。
お屋敷も庭も茶室も、想像すると美しくて、日常の自分の安っぽい生活を忘れて楽しめました(笑)。
檻、というタイトルが監禁・凌辱を連想させるかもしれませんが、そういう内容ではありません。それは読んでのお楽しみ…。
終盤に色々の理由が分かってきます。悲しくも辛くもあるけど、みんなの気持ちとか選択はそれぞれすごく共感できました。私は。こういう愛のかたちもあるよな、と。
素敵なお話だと思います。

1

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