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もう少しだけ、そばにいて

mousukoshi dake, sobani ite

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表題作もう少しだけ、そばにいて

日野晃
晴人の恋人,(大学生→)サラリーマン
晴人
晃の恋人,(大学生→)車椅子の小説家

その他の収録作品

  • 番外編①②
  • 描き下ろし:後日談
  • 描き下ろし:エピローグ
  • あとがき

あらすじ

「晴人と、一緒に生きていきたい」

小説家の晴人とサラリーマンの晃は、
大学時代からの恋人同士で同棲中。

数年前の事故以来、
晴人は車椅子生活になったけど、
大好きな人と一緒に暮らす毎日に
ささやかな幸せを感じていた。

でも、誰よりも晃のことを想うからこそ、
晴人には『小さな秘密』があって……

誰にでも起こりうる「人生の選択」を描いた、
ボーイズ・ラブストーリー!

作品情報

作品名
もう少しだけ、そばにいて
著者
白野ほなみ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
クロフネCOMICS くろふねピクシブシリーズ【非BL】
発売日
電子発売日
ISBN
9784799768495
4.7

(237)

(193)

萌々

(32)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
36
得点
1122
評価数
237
平均
4.7 / 5
神率
81.4%

レビュー投稿数36

理想で希望のある物語

事故により大きな障害を持つことになる晴人と彼を支える晃のお話。
苦労や辛いこと大変なことがありながらも、私は理想的、希望的なお話だと感じました。
突然の事故で地獄のような日々を送ることになる晴人。
尊厳死に救いを求める気持ちはとてもよくわかる。
それが「お守り」というのも。
障害だけでなく、大病や持病や慢性疾患、人間関係や経済的なこと…人によってはさまざまな困難があるわけで、そんな人にとってはいつか死によって解放されると思いながら、晴人のようにそれまではしたいこと、できることをする…それが人生でもあると思います。

晴人は自分のことだけでなく晃の夢や人生を犠牲にしていると苦しむのもわかる。
前半の晃はやたらテンション高く、したくてしていることだろうけど少し無理していませんか?と思わせる演出にも感じましたし。
それでも晃が誰と何をして生きていきたいか…選択するのは本人ですもんね。
そんな晃を気遣い、晴人のことも理解してくれる芝先輩の存在が大きい。
芝先輩のような人がいるといないとでは全然違う。

晴人は小説家としての才能があり成功し、愛するパートナーと共に生き、夢を叶える。
決して悲劇ではない。
大変な苦労がありながらも努力して、しあわせな人生を送った物語だと思います。

BLとしては、パートナー制度や家族ではない見舞い者の病院での扱いがリアルでよかったです。

タクシーの運転手さんと晴人のエピソードが秀逸でした。
晴人はもともと引きこもりタイプだし、自分の大変さで視野が狭くなっていただろうからバリアフリー的なことが障害のある人にとって便利で当たり前であることがあるとこの時初めて知ったんですもんね。
障害だけでなくいろんな悩みを抱える人にとっていいヒントになるシーンだと感じました。

0

洗練されたストーリー

こんなBLは今まで見たことなかった。是非ドラマ作品になって欲しいと強く願うほどとても、リアルかつ純愛そしてやはり現実味が凄くこちらも何か考えさせられるような作品でした。
確かに車椅子の人が居たりすると目線が自然とそこにいってしまいますね。私は祖父が重度の血友病で車椅子を子供の頃から押していたので、もしかしたらそこまで珍しくは思ってはいないかもしれませんがそれでも他の人よりも気を遣ってしまうし特別視してしまうかも。
それに生まれた時からではなく事故でそうなってしまったことで、色んな葛藤があるのだなと鮮明に伝わってきました。感動しました。

0

愛しのマジックハンド

 身近に身体が不自由な人がいないのですが、素人目線からすると車椅子使用者の心情の解像度がとても高かったのではないかと感じました。互いの好きという感情を疑う気持ちは微塵もない。でも、好きだけで難なく日々を過ごせるほど、身体の不自由さを抱えての同棲生活は甘くはない。過干渉にもならずいつも自然体で晴人と接する晃には温かい気持ちになりましたが、そんな彼に壮大な夢があったとしたら、晴人がいつまでも罪悪感や引け目を捨てられないのも無理はありません。しようと思えば自死できるという選択肢が救いや希望になる。綺麗事でない、これ以上ないほど正直な気持ち。私たち健常者にその考えを咎める権利はありませんね。

 それでも、旅先で晃は晴人に会いたくなるし、晴人は今日はまだ死なずに晃の隣にいたいと思う。事故で余計に抱えるものが増えたかもしれないけれど、それらを抱えながら、相手と過ごす尊い今日という1日を大事に大事に積み上げていってほしい。誰にでも起こりうることですから、この作品はすべての人に寄り添い、希望となりえる作品といえるのではないか、そんな風に思いました。

1

エッセイ読みたいよー!

起きてからベットを出るまでに40分、普通にトイレで排泄もできない
仕事があって恋人もいるんだからめぐまれているなんてフィクションだと分かっていてもとても言えない、障害とともに生きることの難しさと苦しさがリアルに描かれています

ケアをする側の家族がつぶれてしまうのはよくある話なので、芝先輩みたいな人が周りにいてくれたことはよかった
(晴人の家族には最後まで理解してもらえなかったのかな…)

晃の、世界一周の夢を語るときのキラキラした目と、晴人を支えようともがく中で光を失っていく目が
それを一番近くで感じているであろう晴人の気持ちが
…ほんとうに胸が苦しくなりました

大事な人を自分から解放したいと別れを告げた晴人への晃の強い答えに涙腺崩壊でした

読みかけの本を読み終わるまで、来月の恋人との約束まで
長いこの先の人生のことを考えたら心がつぶれてしまうから、ほんの少し先の小さな楽しみのことだけ考えて生きる
それは自分にも覚えがある感覚でした
(「モモ」という児童文学に出てくる道路掃除夫のおじいさんの話を思い出しました)

病院の警備員さん?や介護タクシーの運転手さんのような寄り添い方ができる人になりたいなぁ

もう少しを積み重ねて一緒に歳をとり、認知症になったと思われる晴人のメモ「晃がかわりにおぼえているからそれでいい」を見て、しんどい中にも幸せな日々があったんだと感じました

悲劇じゃないよ、私もそう思うよ!!!
あとエッセイ6冊分、読ませて欲しいです切実に。

2

思うほど苦しめてしまう ※文章前半ネタバレなし、後半あり

まず一言。読了後の満足感と興奮がおさまらない神作。突如事故で当たり前を奪われた「晴人」と一途に愛し献身的な「晃」。二人の心情がリアルで言葉、表情、景色の一つ一つに胸がギュッと押しつぶされる思いでした。私は何も不自由のない体で今生きていて、晃の晴人を支えたい気持ちを理解できるからこそ、晴人の晃の行動に対する感じ方にどうしようもできない焦燥を抱きました。ここまで物語にのめり込んで感情移入した作品は他にないです。自分がしてあげたいことと相手が本当に望んでいることはもちろん違うし、困難を相手から無くすのではなく、分け合うことが共に生きることなのだと再認識させられました。
  


ネタバレ↓


日本語で楽に死ぬ方法を検索したら、相談サイトばかりでてきたり、出張を断る場面で入籍してないと話を取り合ってもらえなかったり、キャラクターだけではなく環境の描き方がとてもリアルでした。ラストでは、二人の目標を一緒に叶えたんだろうと思わせる表現が素敵でした。自死は良くないとやめて新たな人生を歩むありきたりな美談ではなくて、それも一つの生き方として前向きにエンディングを迎えるのが印象深くて、今の制度や価値観に訴えかけるものがあるなと思いました。
特別ではないある恋人同士の紛れもなく幸せな人生をそばで見つめているような、晴人のエッセイの読者として語りかけられているような、終始不思議な感覚で読んでいました。自分自身が物語を読む中で存在を見失いそうに(様々な人物に感情移入しすぎて何視点で見てるのか分からなく)なったのは初めてでワクワクしました。
事故があって体が不自由になったこの事実は変えられないし、未練や罪悪感は完全に消せない。考え方もすぐには変わらない。しかし、困難も辛い気持ちも無くさずに受け入れて一緒にいることを選ぶことができた2人の考え方や行動は少しずつ変化していくんだろうなと思いました。特に旅行出発前に、以前のように晴人の荷物を全て持つのではなくて、やれることは任せて、困る分だけ少し分けてもらっていた晃の行動からそう感じました。

2

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