【イラスト入り】【電子限定かきおろし付】
小説
このボリュームはすごい。上下2段記載の小説です。
オメガバース小説の中でも読み応えはトップクラスではないでしょうか。
出会いとなった高校時代からのストーリーの流れがとにかく丁寧で驚きました。和馬と咲也の両視点から語られる物語構成。同じ時・同じ場面を、お互いがどう感じていたのかがよく分かる仕様です。
じっくりと2人が想い合っていく流れがナチュラルで、純真かつ美しい交流に胸がときめきました^ ^
2人は学校内ではカースト上位と下位。学内コミュニティでは対極にある立ち位置です。和馬は咲也の友人たちやクラスメイトの一部から執拗ないじめを受けているのですが、これが本当に酷い内容です。
弱い者の前でしかイキがれない未熟なガキたちが、和馬の身体に容赦なく暴力を振るいますが、和馬の心はこんなクズ共には屈しません。
両親を亡くし、孤独で辛い境遇の彼にこの仕打ち。めちゃくちゃ怒りが湧きました。
えっと。
ここで1つ言っておきたいことがあります。
和馬をいじめた奴らに咲也が報復をするシーンがあります。
その報復の中にGが関わる報復がありまして、これがとんでもなくエグい。因みに、Gとは、忌まわしき黒光りボディのアイツのことです。
お食事中に読んだりしないで下さい。
絶対に後悔します。
作者さん、その場面の状況描写を一切手抜きしません。
細やかな状況描写は通常なら嬉しいですが、これに関してはどうでしょうか……。私、その時のシーンが頭の中を離れません。
Gに抵抗ない私でもなかなかショッキングなシーンでしたので、苦手な方ならぶっ倒れるんじゃないかと思っています。
なので、ここで注意しておきます。そのシーンを読む際にはご注意下さい。
しかしながら、加害者たちはこうされて当然の奴ら。ザマァです。
咲也の報復劇には気持ちがスカッとしました。
咲也の非情な行動からも分かるように、咲也の中で和馬の存在が大きくなっていることが分かります。
和馬に惹かれていく咲也と、咲夜に惹かれていく和馬。
2人が互いに想い合っていく過程にはこじつけがありません。
αだから。
Ωだから。
彼らが互いに惹かれ合うことに、そんなバース性は前提ではないのです。
2人はバース性の影響も受けず、"運命"の力にも寄らず好意を抱き合っていく。
そうした姿は、オメガバースというファンタジーの世界であるにも関わらず、すごく現実的で堅実です。
好きの感情にちゃんと理由があって、過程がある。
もし彼らがαとΩでなかったとしても、きっと結ばれる運命にあったと思います。
関わりを持っていくうちに心から信頼を寄せるほどの親密感を増していく2人の姿にほわぁぁ……(´∀`*)
咲也の溺愛が目に見えて分かる幸せ……いやもう最高でした。
ここで終わってもいい感じなのに、実はここからが本番。
タイトルを思い出して下さい。そう、番になって消える展開がやってきます。
幸せを掴みかけた2人にこれとは……作者さん…鬼や…
予期せぬ発情で番ってしまった2人を待ち受ける状況は実に過酷です。
好き同士なんだから、別に番ってもいいじゃん。そう思いたくなりますよね、普通は。
でもその番う行為は、2人にとって都合の悪い事実。安易に、良かったねバンザーイとはいかない事情があるのです。
そうした理由も含め、この作品は現実的な描写が多く、オメガバースだけどオメガバ設定に甘えきってないところがすごく面白いです。
本当に丁寧で緻密に綴られていく物語。情景描写や心理描写が濃厚で、どっぷりと引き込まれました。
2人が再会するシーンはマジで感動です!!!( ˃̶͈̀∀˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
すごくドラマチックで、素晴らしくて、言葉に出来ない最高の景色に涙・涙・涙…。
百聞は一見にしかず。
実際に読んで、ぜひともこの作品の世界にも、感動の思いにも浸って欲しいです。
素晴らしい物語に出会えて幸せです^ ^
圧巻のボリューム、一度もマンネリを感じることなく一気に読み切ってしまいました。何度鼻水を垂らしながら読んだことか。
4部構成になっているこの作品。
出会い、崩壊、愛の芽生えと別れ、離れ離れからの再会という大まかな印象があってその時々で2人は何かしらの困難に立ち向かっていた気がします。
個人的にとっても推しポイントが3点ありました。
まず1つ目はこの2人って巷でいう運命の番というやつなんじゃないかと思うんです。最初から何か気になる、なぜか引かれるという雰囲気があったので。でも決して「運命」という言葉で必然性をもたらすのではなく、あくまで偶然が重なって言葉を交わして惹かれあい、性別関係なく好きになるという穏やかな恋愛を見せてくれたことが本当に良かったです。オメガバの設定は間違いなく必要だけどこの2人はアルファとオメガじゃなくても恋に落ちただろうと確信できるような恋でした。
2つ目は和馬に害を与えていた奴らを咲也が完膚なきまでに叩き潰してくれたことです。もちろん気持ち的にすっきりというのもありますが、よくオメガバでアルファにとって唯一のオメガに手を出したらタダじゃ済まないみたいな設定があるかと思うのですが、それの最上級を見せてもらえたような、こういうとことんな表現を見れるのって小説ならではだなぁと思ってとても良かったです。
3つ目は最後の方で咲也が朝起きて隣にいない和馬を焦って探すシーンで、和馬が一生懸命探している咲也に申し訳なさそうにするのではなく可愛いなぁと嬉しそうにニコニコしている雰囲気がすごくよかったです。いつまでも自分がいなくなったことを負目に感じてたらきっとこの2人が心から安心しあえる存在には中々なれないと思うので、最後にこういう2人を見ることができて、あ、もうこの2人はきっと大丈夫だと手放しに思うことができました。
とんでもないやつらばかりが目立った反面、後半はそれでも周囲にはこんなにいい人もいたと救いを見出してくれたり、7年というその時間にうわーっと思わせてくれる仕掛けがあったり本当に最後までずっと感情が振り回されました。本当に名作だと思います。
最後に一言。店長大好きだーーーー!!
ジャンルとするなら「不憫受け」なんだと思いますが、淡々とした強さを持つ最強不憫受けなのでは。
辛くしんどい場面も多々ありますが、ラストに向かう力強さは読み応えあります。
この作家さん作品はどしどし書籍化して欲しい!
不憫受けの最たる話しではないでしょうか…
先生の作品はXで知り様々なストーリを読ませていただいていますが、この作品はネットで読んでも大号泣で、本で読んでも大号泣でした。ずーっと幸せに生きていて欲しいと心から願いたくなる2人です。
この作者さんの筆力はすごいです。頭の中に言葉が流れ込んでくるような心地よさに毎回感動させられます。試練が高めなので、読書カロリーがかなり消費される作品ですが、ラストを読んでほしい!!泣けます。あまりにも良すぎて、この作者さんを知らずに過ごしていた時間がもったいない!と損した気分になるほどです。