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天才画家になりそこなった友へ

tensaigaka ni narisokonatta tomo he

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表題作天才画家になりそこなった友へ

益田麻人
ニューヨークで活動するアーティスト/天才画家、直樹の大学の同級生、32歳
小津直樹
Web/グラフィックデザイナー、32歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

画家になる夢を諦め、デザイナーとして働いて早十年──。鬱屈した思いを抱え、誰にも見せない絵を趣味で描いている直樹(なおき)。そんな時、美大の同窓会で、かつての友人・麻人(あさと)と再会!! NY(ニューヨーク)で活躍する天才画家は、十年も音信不通だったくせに、「おまえの絵は特別なんだ」となぜか二人展に誘ってきて…!? 燻(くすぶ)り続ける画家への未練が、渇いた情熱に火を灯す──才能に焦がれ求め合う、癒しと再生の恋!!

作品情報

作品名
天才画家になりそこなった友へ
著者
七緒夕日 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011481
3.1

(33)

(11)

萌々

(5)

(3)

中立

(6)

趣味じゃない

(8)

レビュー数
9
得点
90
評価数
33
平均
3.1 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数9

心に来るものがありました

おもしろくて一気読みしました。

温厚かつフレンドリーに見えて実は内面がもろく傷つきやすく、強い思いで煮えたぎっている麻人と、強気で喧嘩っ早いけれど、くじけて弱気になっている直樹の、紹介文通り、確かに、「癒しと再生の恋」で、読後も良かったです。

麻人の言動にたまに思う不信感や、互いの複雑な感情の絡み合い、思いや関係性の切なさが苦しくも、描かれ方が秀逸で、不穏な展開に、どうなってしまうのだろうと先が気になり、ドキドキしながら読み進められました。

絵画の描写は、実際に見られたらどんなに惹きつけられるんだろうと、想像をかきたてられました。

また、これからの二人の関係性を想像する余地もあってうれしく、特にラストシーンは涙なしに見られず、感動しました。

2

好感が持ち辛い人となり

七緒夕日先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。

個人的、各項目5段階で
エロ 3
嫉妬 3
執着 3
な感じだと思います。

麻人さん×直樹さんのカプです。

あることが理由で画家になることを諦めた直樹さん。そんな時、美大の同窓会で10年振りに再会した、かつて友人だった麻人さん。ニューヨークで活躍する天才画家の麻人さんに、何故か二人展をしてほしいと誘われて…。

まず受けの直樹さんですが、性格や言動が厳しめで、仕事の部下には怖がられる、美大のメンバーには嫌われていたり、ある出来事で殴ったりしていたので、麻人さんとのやり取りで少しツンデレ言動もありましたが、いくらなんでも好感が持ち辛かったですね。

絡み描写に入った時も、麻人さんの絵を嫉妬がありながらも羨望したりしている為、求められた時に好意ではなく、優越感から身体を許してしまっていたので、物語り終盤まで恋愛要素は少ないだなと思いました。

そんな直樹さんに好意的な麻人さん。直樹さんに対して色々と献身的なことをしてくれますが、物語り終盤での執着や本心には、展開としては意外でしたが、やはりこちらも好感が持ち辛い言動でしたね。

恋愛要素もありますが、比較的には夢や羨望、嫉妬や執着などが書かれているので、人間模様や細かな心理描写が好きな人は、読んでみては如何ですか。

3

二人の熱いやりとりにページをめくる手が止まらない

324P一気読みでした。二人の関係性に最後まで目が離せず、また創作に携わる人間の心の機微まで繊細に描写されていてとても共感しました。これで良いのだろうか、こうすればウケるかもしれない…そんな余計なものを捨てて画面に向き合う。それが出来たのは、お互いの存在があってこそ。

強気で喧嘩っ早い受けというのも好みでしたし、完璧に見えて心の闇と執着を持っている攻めも魅力的でした。それぞれのバックボーンもしっかり描かれていて、説得力があります。

受けの視点が読者がまるで入り込むかのようにぴったりとシンクロしていて、感情移入して読みやすかったのも大きかったです。

読みながら浮かんでくる攻めの行動や思考の違和感が、最後明かされる場面ではここでそうきたか!と思わず唸りました。

BLの中で描かれる成長物語がとても好きなので、作品を通して、ふたりの成長
そして愛を育む関係性を楽しめるお気に入りの作品になりました。

3

無念

笠井先生なのでマストバイ。受けも攻めもなかなかシンクロできず、最後まで読み切るのがちとしんどかったでした。めんどくさい人たちの恋話が好きな方なら、もっと評価違うかも。本編320Pほど+あとがき。

美大を卒業、デザイン会社へ就職し配下の者もいるようになって、しんどい状態。彼女ともなかなか会う時間が取れずにいるのですが、大学の同窓会には行く予定にしています。というのも大学時代に親しくしていて、今は画家として成功している麻人が同窓会に来ると聞いたからで・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
受けの会社仲間、学生時代の友人、彼女、攻めのマネージャーぐらい?

++ 攻め受けについて

攻めは天才画家、大学時代に受けと知り合った後、大学を中退、ニューヨークへ拠点を移しています。大学時代、つんけんしていた受けに近づき親しくしていて、今回同窓会で再会、受けに再度絵をかいてほしいと言い出して・・。

受けの絵に執着しているのか、受けに執着しているのか ってところがもやっとしたかな。

受けが今一つ好きになれなかったでした。愛想が悪いー。怖いと思われるとマイナスになるんだから、努力しろー口角をいつも上げとくんだよっと思ってしまって。
まあアーティストはこれぐらい尖ってないと駄目なのかもなと思うところもありますけどねえ・・・どうしても好きになれなかったので、受けに執着する攻めにもシンクロできなかったでした。

エロいシーンは少々あれど、雰囲気として甘いなあという印象が少なかった一冊でした。辛口レビューすいません!好みの問題なのでご容赦を!

8

理解はできないけど納得はできる

話の入りも面白いし、画家志望だった直樹が苦悩しながらも納得のいく作品を描き上げていく様相は臨場感がある。その過程で湧き上がる2人のBLも、突発的でありながら起こるべくして起こっていく展開に引き込まれました。

かつての親友と再会し、再度呼び起こされる画家への憧憬をベースに関係を深め合っていく情景描写や心情描写、丁寧にじっくりストーリーを追うリアルなアプローチが秀逸。少し重めのテイストに見合った筆致もまた、この作品を盛り立てる一部となっており、作品全体のトータルプロデュース力が非常に上手い印象を受けました。
欲情の香り、昂りの存在感も大きな見せ場。明確な関係性を伴わずして、セックスする2人の間に漂う微妙な距離感を表現するのも見事です。

ストーリーにまとわりつく何かがありそうな違和感をずっと抱えながら読むのは、胸のあたりがモヤモヤしたけど、それもこの作品の味でしょう。麻人の謎の行動の理由、再会に隠された思惑…などなど、明らかになっていく真相から目が離せませんでした。

わたし個人としては、麻人が直樹に近づいた理由を聞いて、あまり理解できなかったクチです。
直樹のせい、直樹のせいと連呼することに違和感でした。だって、直樹を責めておきながら、全然責めてないんですもん。
直樹に積年の恨みをぶつける麻人の思いには共感するに至りませんでした。正直なところ、細かいことすごい気にするのねってただそれだけ。
本人に真意を確かめれば良かったのに、何年もすれ違っていたのは切ないですね。でもこういう部分、芸術家の思考っぽくて、そういう意味では納得しています。


BL小説というよりは一般小説っぽい趣きだなと思った作品でした。
初めての作者さんでしたが、今後も楽しみに注目していきたいと思います^ ^

5

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