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サマー・ボーイ・ブルー

summer boy blue

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表題作サマー・ボーイ・ブルー

高校生
ミチル
17歳,喫茶店バイト

その他の収録作品

  • 描き下ろし「19歳、初夏」
  • あとがき

あらすじ

失敗した初体験

友達だったのを僕が壊したんだ──

性行為を親に目撃されてから
疎遠になってしまった潤とミチル。
彼らは偶然、17歳の春に再会する。

やっと忘れられそうだったのに……
必死で逃げるミチルを潤が
初体験の時と同じ台詞で呼び止める。

なし崩し的に関係を続けるミチルは
潤にどうしようもなく惹かれていった。
けれど環境の違いやトラウマから
胸がどんどん苦しくなっていく。

「僕はこれ以上 君の人生に踏み込んじゃいけない」

だからこれで最後とミチルが決めても
潤はもうミチルを離してはくれなかった──

持て余した思春期と、初恋の再燃と。
心の第二次性徴を描いた若葉色ボーイズラブ。

作品情報

作品名
サマー・ボーイ・ブルー
著者
遠野みやこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
電子発売日
ISBN
9784047385160

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12

4.5

(22)

(18)

萌々

(2)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
4
得点
98
評価数
22
平均
4.5 / 5
神率
81.8%

レビュー投稿数4

きっと誰も悪くないけれど、みんな未熟で「身内」だからね…冷静なだけでは居られないんだね。

浮ついた雰囲気がないけれどズドンと重苦しい雰囲気に覆われ続けている訳ではないので、すごくじっくりとたおやかさを感じながら読める作品でした

ジリジリと暑い日にクーラーを付けて読むも良し、今日のように荒れ模様の曇天の中外の気配を忘れ読むも良し、夜の落ち着いた時間にリラックスして読むも良し!
どんなタイミングでも「読みたい!」という気持ちに寄り添ってくれる1冊だと思います(´ ˘ `*)

初めての作家さまだな、って思ったらデビュー作なんですね!
またまた漫画力のある作家さまに出会ってしまいました(ღˇ◡ˇ*)‼

作画にブレがなく、キャラの動きが自然で表情は丁寧
スッキリしたコマ割りに選び抜かれたセリフでしっかり伝わる構成の巧さ
流れるように読み進められるけれど、内容は決して流れていかず心にしっかり刻まれて行きストーリーが積み重なっていくのが分かります

ホントに素晴らしい1冊で、読みたいBL・読んで欲しいBLでした
内容は思春期と性指向に向き合ったテーマ性のある作品
恋愛であると同時に彼らだけの物語ではない「生活と人生」を感じます

中学生の時にお互い衝動に突き動かされ踏み出した先の苦い思い出
この一件は潤(攻め)にもミチル(受け)にも、そして2人の母親にも棘を刺します

子供側からも親側からもそれは当然ですよね、、、
ベッド上で今まさに事に及ぼうとしてる所を見られる・見てしまう訳ですからね
しかも潤とミチルは男の子同士
例え異性のその場面だって同じ位衝撃でしょうね

この一件を期に交流が途絶えてしまった2人
そこから3年後に偶然再会する所から物語が動いて行きます

ーーー…言ってしまえば、、、アノ時になぜ想いを告げ合わなかったのか?!という事に至ってしまうんです
だけど、、、そこに至れなかった背景や気持ち、分からなくもない
だって、、、多感な中学生
同性を好きかも知れない?友達なのに、、、?
この逡巡に対して怖くなったって当然
「失う」事への漠然とした恐怖はあっても、実際何を失うのか?何て”見えていなくて当然”なんです
だって、、、未知の事だから、、、

きっとそれは子供目線でもそうだし、親だってそうかも知れない
親だって初めから「親」な訳ではなくって、予期せぬ事に対峙したらその時の正解なんて分からない
増してや自分の大事な「身内」であれば冷静さなんて吹っ飛んじゃう

だから「正解」も分からないから「間違い」にも「気付かない」、、、
こればかりは時が必要だし、経験も知識も必要
そうして少しずつ少しずつ視点も視座も視野も変えて高めて広げていくしかない!

誰にだってきっとある…〝アノ時こうしていれば…〟という想い
そんな想いの先に希望を感じる潤とミチルのお話しでした

そして母親たちの物語でも、、、(*˘︶˘*)
潤のお母さん、確かに感情的です
だけど、、、決して毒親なんかじゃないと思います
彼女には彼女の葛藤があるんだな、っていうのを受け入れて読めるお母さんだった気がします
敢えて言うなら「普通のお母さん」なんだと思います
※普通=ヘテロという概念の是非は別として…!!
だからこそ「都合の良い」展開になっていないのがこの作品の持ち味でもあり、切り込んでいるんだと思います
切り込んでいるけど大仰な脚色をしていないから良かったな、雑じゃなかったな、って思えました

そして、このメインの2人と2家族だけではない所でもまた子供目線/親目線を配置しているのが更に良かった
メインキャラだとどうしても肩入れをしてしまう所も、この第三者の親子を置く事でどこの家族でもある事、そして時代の変化や自分との違いに悩む親もまた普通である事を読者にも冷静に受け止めさせてくれていました

うん!やっぱり先生、漫画での伝え方が頗る上手だと思う!!!(プロに向かって何を言ってるんだ…(゚Д゚;)って話しですよね!!失礼しました!)

次回作を読みたくなる作家さまのデビュー作に出会えて大変僥倖でした♡

修正|簡易描き込み、グレートーン+白枠線

一応注意点?かな???
作中に潤とミチル以外の同性の恋愛あります(GLです)

1

思春期少年たちのとても繊細な再会ラブ

思春期ならではの痛みと失敗、トラウマや葛藤や後悔を抱えた少年たちの若葉色の再会ラブ。

そういった部分の感情描写がとても精緻で本当にじわじわと沁みる様な読み味でした。

性行為(未遂)の現場を潤の母親に見られてしまい…それ自体が二人にはショッキングですよね(苦笑)

それから二人の関係は疎遠になってしまい…潤とミチルが抱えた後悔や自責の念。

もう二人の人生は交わる事はない思春期の苦い思い出になるのかなって…でも再会するんですよね。

そこからまた動き出す止まっていた二人の時間…

でも簡単にめでたしになる訳じゃなくて凄く繊細で焦燥感を感じさせるような潤ミチの感情描写が素晴らしかったです。

彼らの痛みも切なさも愛しさも全部の感情が伝わってくる作品で読み味が堪らなかったです。

結末も本当に良かったなぁと思える内容でとても素晴らしい作品だと思います。

1

悩んで悩んで

遠野みやこ先生
初コミックス発売おめでとうございます!

連載を追わせていただいていたのですが、しんどくなってしまったので途中でリタイアしまして......

今回単行本になったので、続きから拝読しました。

やはり読んでいて しんどいとは感じたのですが、物語が終わりに向かっていくにつれて、彼らの希望の光を感じることができ、こちらも穏やかな気分で読み終えることができました。

人と人の関わりって本当に難しい......
友人や恋人に限らず、家族との関わりも難しいものですよね。
言ってしまえば、血が繋がっていても別の人間です。
でも、家族という関係には"期待"が渦巻いていて、「別の人間だから」と簡単に折り合いのつくものではないのだと思います。

家族との関係、想い合う人との関係。
悩んで悩んで、その先で決意を胸に歩んでいく主人公たちの軌跡が、1冊の漫画の中で巧みに描かれています。

ぜひ、読んでみてください。

2

傷を抱えた二人の再会、再出発

はー......もう、切なくて切なくて、読みながら胸が苦しくなりました

こちら、遠野みやこ先生初の連載作品とのこと。
ビターで切ない展開が続き、ついに見えた光に歓喜、
強烈なインパクトのある一作でした。

中学の時に性行為に及ぼうとしていたところを攻めの親に見られ、
そこから疎遠になってしまった二人が3年後、17歳で再会しー

と始まる、初恋再燃物語です。

中学時代の一件がすっかりトラウマとなってしまったミチル(受け)が、
再会後自分の気持ちに抗おうとしながらも
潤に惹かれる気持ちを止められず、葛藤する姿に心打たれました。

思い出すのも辛い過去、会うたびにそれを思い出し
傷を抉られる痛み…

「ミチルが嫌ならやめる」
「…嫌なんかじゃ...」

ここ!

中学時代、行為に及ぼうとした時のセリフそのままを、
再会時に二人繰り返すことになり、動揺するところ。

無意識に出てしまった言葉の中に、
ミチルと潤、双方の溢れる思い・気持ちが込もっていて
胸がぎゅーーーっと締め付けられます...


潤とミチル、それぞれの母親の姿が対照的なこともまた、
強いインパクトを残します。

潤の母親の「全部あなたの育て方が悪いから、こんなことになったんだ」
という言葉、そっくりそのまま自分に返ってくるじゃないかー
と思い、黒い気持ちが湧き上がってくるのですが、、

彼女は彼女なりに必死で、
愛する息子のことを理解し受け入れたいと思っているのだな、と
後々の描写から伝わってきて、なんともいえない切なさが。

一切言い返さず、頭を下げたミチルのお母さんは
どんな気持ちでこの2年(3年?)、息子を見守ってきたのか。

潤×ミチルの気持ちと共に、親側の気持ちにも
思いを馳せずにはいられず苦しさを感じるシーンもありました

色々な場面が心に残りますが、特に印象的だったのは
「これで最後にしよう」と決めて会いに行ったデートの
別れ際のシーンです。

電車を降りようとしたミチルの涙に気付き、
自分も電車を降りてそばにそっと居続ける
潤..( ; ; )

”これで最後”にはできず、喫茶店まで駆けてきて
思いを伝える一途な攻めの姿もまた、グッとくる場面でした

とても思い出したくない傷を抱えながら、
再会を機に少しずつまた心が重なり合っていく二人、
繊細な少年たちの心…

そういったものが一つ一つ、とても丁寧に描かれている
夜明けのストーリー。
物理的にも精神的にも親から離れ、独立した二人の再出発に
光が見え、拍手を送りたくなりました。

ミチルの働く喫茶店の神原さん&マスターの娘・琴子ちゃんの
関係性、そのお話もまた良かったなあ..(語彙力;)

描き下ろしでこの二人の姿を見て羨むミチルもまた
愛おしく、最後の最後の潤→ミチルへのバックハグ…からの
クスッと笑えちゃう展開もまた、心を幸せ気分で満たしてくれました✨

そんな二人の濡れ場は、描写控えめながら
読み応え十分。
ミチルの涙と痛みを堪える表情、
やっと一つになれたことへの喜びー

そんな感情の全部が全部、ぐわーーっ!と
ダイレクトに伝わってくる描かれ方に痺れました。

傷を抱えた二人の再会、再出発の物語。
たまらなくグッとくる、夜明けのお話でした。

★修正:tnトーン(見えるのは1コマだけ)

2

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