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触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない

furerarenai te de kimi wo suki ni nattakedo, kani dakara atozusari shinai

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表題作触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない

佐伯龍治(リュウ)
26→46歳、SM風俗店の雇われ店長
チャロ
サワガニ

その他の収録作品

  • 五センチのきみが教えてくれたこと
  • あとがき

あらすじ

最期はサワガニの姿に戻してください

サワガニのチャロ、オス、独身。夢は人間になってアオ○ンすること。ある日「人間になる素」を飲んで変身し、通りすがりの男・龍治に拾われる。一人と一匹(?)の奇妙な同居生活が始まるが、変身後もチャロの手はシザーハンズ、精液は蟹ミソと、どうも蟹要素が強いまま。そんなチャロを気味悪がりながらも受け入れてくれる龍治に惹かれるチャロ。チャロの天真爛漫さに孤独を癒される龍治。しかしチャロには蟹としての運命が待ち受けていて…
不思議で切ない異種族ラブ。

作品情報

作品名
触れられない手できみを好きになったけど、蟹だから後ずさりしない
著者
いしだ赤月 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784576250854

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14

4.3

(30)

(20)

萌々

(4)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
128
評価数
30
平均
4.3 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数10

読んだら「に!」って、微笑みたくなるサワガニBL!!

いやはや、発売前からSNSで話題になっていたサワガニBL。

cpは、風俗店店長である人間×サワガニ。

シザー〇ンズ的な設定かしら、、、
と、タイトルから勝手に推測しつつ、帯にア〇カンとか書いてあるし、、、と。

いったいこの作品はコメディ?? それともシリアス??
と、大いなる疑問を抱きつつ読み進めていくと、、、


まさかの、主人公でサワガニのチャロにとって、
アオ〇ンが、愛の言葉で。

しかも、身体は人間でも中身? サワガニなので精〇の代わりに蟹ミソでちゃったり?!!

思った以上に、受けがカニすぎて横転しつつ、、



結果、、
僅か220ページ弱に、上記両方の要素とサワガニ要素と、今、流行りのアノ(読んでみてのお楽しみ)要素まで取り入れた、なんとも濃ゆい涙なしでは読めない展開でした。

というか、サワガニのチャロがカニ時代から健気というか、真っ直ぐ過ぎるというか、、
笠井先生のイラストイメージまんまで。(当たり前のことを言ってしまってすみません、、切腹)


また、攻めである人間の龍治もいい味出してますよね。
だんだんとチャロに適応していって、やがてチャロなしでは生きていけなくなるほど、愛し抜く姿だとか。
チャロが手を失くしてからの描写が、切なくもあり、愛おしさがひしひしと伝わってきて泣けました。
献身的愛……でした。



とくにあの、終盤のまだ若かった頃の龍治とチャロが幼なじみにふたりで会いに行こうと出かけたあのときの、アオ〇ンエピソードまでには、すっかり龍治の印象が変化していて、
うっかり外で読んでいたまりあげはは、涙を隠すために必死に眼瞼に力を入れまくり堪えていたのも、今では良き思い出です。



冒頭は、多少強引すぎる感は否めませんでしたが、まあたしかにあの始まりじゃないと、カニと人間とのLoveは始まらないよなあ、、、
と読了後に逡巡しつつ。


そして、チャロの行く末とラストの再会と、二十年後に発見された遺したもの。
設定を活かした作品とは、こういうものなのだ!
と、ハッとさせられた一冊でした。



ちなみに、この作品を読んでいる最中、例のうるさい宣伝トラックを見かけて、チャロを思い出したのはまりあげはだけではないでしょう笑!

これからも歌は違えど、あのようなトラックを見たら、反射的にチャロを思い出しそうです♪笑笑



あと、吹き出しありきのサワガニが描かれていた帯もよかったです。



0

切なく痛い現代のおとぎ話

こんなに号泣するなんて聞いてないんですけど!?!?
人間の姿にはなったけど中身はサワガニ、このまま二人で仲良く暮らしました~なんて無いとは思ってたけど…涙
ど天然のチャロに振り回されるリュウ、面白いなあと思いながら読んでたけど、二人の過去が明かされ、チャロが決断するあたりからは泣きながら読んでた( ; ; )
ネタバレなしで読んでほしいから詳しくは書かないけど…まさにおとぎ話だった。
いしだ先生、痛くて切なくて美しいお話をありがとうございました。
(人型だけどそこそこ人外、誰のかもわからない精◯を飲むシーンとかもあるので苦手な方は注意です)

2

エロ面白く、咽び泣き、ラストはあたたかい涙

人間に憧れるサワガニのチャロ。人間になってやりたいこと(野外で裸で愛を囁き合いながら抱き合う素敵な行為=青姦)があるため、人間の素を摂取することにより人間に。その人間の素っていうのが精液なんですよね。発想が面白すぎません⁈
チャロを拾ってその素を与えてくれたのがコワモテSM店店長の龍治。あのプレイには笑ってしまった‼︎ただの心優しい人かと思ったら、チャロと出会ったときにチャロが爪にされていた行為(ガムテープで縛られていたこと)が幼少期の自分に重なったのかなと。
孤独な一人とシザーハンズの一匹の同棲(共同生活?)が始まり、龍治は天真爛漫なチャロに振り回されっぱなしだけどなぜかほっとけない。姿が見えなくなると必死になって探すのがコワモテなのに可愛すぎる‼︎
愛なんて愛の言葉なんて信じないと決めていた龍治は本当は誰かに愛されたい人間だったのでは。likeの好きしか知らなかったチャロがloveの好きを知ったとき(乳首が痛いってまたギャグ要素含んでるのも面白い、それは恋をしている心臓の痛み、ハツの痛み)チャロの両親の話を知った龍治も徐々にチャロに心を開き、ついにふたりの気持ちが通い合う。龍治も人を愛することをはじめて知り、その5文字が意味を成す。
チャロを人間の姿に保つためのただの行為に過ぎなかったセックスは毎日できるのに、なかなかできなかったはじめてのキスをしたベランダのシーンがとても素敵‼︎そこで聴こえてくる歌も重要ポイント。
衰えていくチャロが健気で、ふたりで川を訪れ野外で体を結んだときには咽び泣きした。サワガニは共喰いをするけど、最期はカニの姿で…そしてタベテと願うチャロは決してサワガニの共喰いではなく愛する人の中に永遠に居させてほしいと願ったんだよね。
それで終わりかと思ったらなんと20年後にチャロが転生して再会‼︎シザーハンズのチャロは龍治さんを抱きしめられなかったし、眉間の皺を伸ばしてあげることもできなかったけど、やっと人間の手で抱きしめ合い手枷ではなく愛の証であるリングを嵌めたふたりに号泣。
散りばめられた伏線がいくつかあって回収されたラストにストンと腑に落ち、温かい涙が止まらずしばらく放心状態でした。

とても素敵な愛のお話を久しぶりに読んだ気がした。一人と一匹ではなく再会したあとの『ふたり』の続きをぜひ読みたいです‼︎また毎日チャロに振り回されっぱなしで目尻が下がりっぱなしの龍治を見てみたい。あれを今では酒の肴にできないんだな笑、背中のイトシイ痛みももうつけられないんだな、でもキスマを残せるのとても嬉しいだろうな。続編希望します。

作者のいしだ赤月先生、こちらがデビュー作だそうで。すごいものを生み出されたことに驚き。あとがきになぜサワガニ設定になったのか書かれていたので、そちらもぜひ。笠井あゆみ先生のイラストも素晴らしいです。素敵な作品に出会えてよかった‼︎

1

人間になりたいサワガニ

今回は風俗店店長と人間になりたいサワガニのお話です。

人間に憧れる受様が攻様に拾われ
人間もどきとして暮らす悲喜交の顛末と後日談を収録。

受様は清澄な小川にすむサワガニで
人間観察が大好きです。

自分達と違う求愛行動に憧れ
姿形さえ変えられれば人間世界でもうまくやっていけると
密かに人間になる計画をたてます。

受様は人間達のエチ後に
岩陰から飛び出して彼らの残した白濁液が溜まった
半透明のピンクの小袋を目指します。

受様がソレを慎重に摘まみかけたところで
幼馴染に見つかり「毒薬だ」と絶叫されます。
受様は拾ったモノを人間の素だと信じていますが
淡水界界隈では猛毒として有名なのです。

受様は幼馴染の絶叫を無視して
どろりと流れ出た白い液体を迷わず啜ると

白い煙が立ち込め小さな体が浮きあがって
四方八方から引っ張られる感覚がしますが
白煙が消えた頃には人間そっくりに変化していました。

「にっ!」と発した声は高めで
太ももの間には今生えた突起物や胸に控えめな飾りがあり
右手が少し小さいサワガニの雄の特徴が出ていた手は
なぜか指の関節が曲がらいけれど

サワガニも人間も個体差があるかと気にせず
人間語を頭の中で唱えながら歩き出します。

しかし5分後にはカニに戻り
舗装された道路にでたところでバイクの男に
彼女の土産に拾われたものの気持ち悪いと騒がれて
爪をテープで巻かれて生ゴミに出され

淹れられたゴミ袋をカラスにつつかれていたら
真っ黒スーツの男がカラスを追い払ってくれました。
彼が今回の攻様です♪

攻様は風俗店の店長でゴミを散乱されたくなくて
カラスをはらったようですが

閉店時に袋から這い出ていた受様を
拾って自宅に連れ帰ってくれるのです。
受様は人間になれるのか!?

愛を信じない攻様と人間に憧れる受様の
人外異種族ファンタジーです♪

カニの受様って初めて見ました ヾ(≧▽≦)ノ

笠井先生のキラキラな表紙とあらすじと
帯のキャッチ「最期はサワガニの姿に戻してください」に
惹かれて手にしましたがとっても面白かったです♡

斬新な設定ながらキャラ設定がしっかりしていて
世界が創りこまれていて読みやすかったです。

まず受様が精液で人間になる流れが奇想天外です。

人の交わりを見た受様は精液を人間の元と信じ
受様が人間になった姿はサワガニの雄の特徴が
すごく出た容姿で

最初は右手や関節の曲がらない指などが
受様が人間とは違うという事を意識させます。

攻様と人間もどきとして生活していく中で
サワガニの爪の特性や人間よりも短い命の問題が絡み

異種族間での恋愛の難しさが見えて来て
もしかしてまさかのバッドエンド!? とハラハラでしたが
パピエンを迎えられる幕引きまで楽しく読めました。

3

前半は笑い、後半は涙。サワガニBLを侮るなかれ!

いしだ赤月先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのが楽しみでした。

個人的、各項目5段階で
健気 5
涙 4
切ない 3
笑い 3
エロ 2
な感じだと思います。

龍治さん×チャロくんのカプです。

今作は一言で言うとサワガニBLです。しかし、攻めの龍治さんは普通にただの人間で、受けのチャロくんが人間に変身することが出来たサワガニなので、攻めも受けもサワガニという訳ではありません。
因みに、本編を読むより先に挿絵を見ると、何となくネタバレだなと結末が分かるイラストになっているので、当たり前ですが挿絵は先に見ない方がより本編を楽しめると思います。

まず、あらすじだけでも突っ込み所満載のトンデモ設定で、BLはファンタジーとは言いますが、ここまで来たか、とトンデモ設定や世界観を受け入れると、思わずおかしくて笑ってしまう物語りとなっています。

今作の受けとなる、サワガニのチャロくんは人間達のアオカンを目撃し、自身も人間となってアオカンで好きという気持ちを伝えたい、と思うようになります。そしてどうやって人間に変身するのか、それが人間になる素、白濁液を飲んで変身します。いや何故それで変身出来るの!?となりますがそれを突っ込んでいたら物語りは進まないので、ほんとトンデモ設定だな、と笑いながら読み進めましょう。

人間に変身出来たチャロくん。でもまたサワガニに戻ってしまって、そこで龍治さんに拾われ、またなんとか人間に変身出来て、チャロくんがサワガニで変な存在だと判明しても、ぶっきらぼうながらもチャロくんのことを気にかけてくれる龍治さん。
少しずつ距離が縮まる龍治さんとチャロくんの奇妙な共同生活が面白くもあり可愛くもあり、思わずキュンとしたりします。

しかし、トンデモ設定で面白おかしく読めるサワガニBLと、私は侮っていました。

チャロくんの龍治さんに対する「好き」を受け入れられない龍治さん。その理由や過去の出来事、それを乗り越えて、遂にチャロくんの想いに応えるようになります。
それなのに!小さなサワガニの小さな心臓では、人間のようには生きられない。つまりはサワガニとしての最期が近付きつつあったのです。

辛い!せっかく想いが通じあったのに、辛過ぎる!龍治さんの過去を知っているからこそ、ずっと一緒に居たいのに、一緒に居られなくなってしまう。だったらせめて龍治さんを悲しませたくないと、最期を悟られないように気丈に振る舞うチャロくんが健気で、余計に切なくて悲しくて、ボロボロと涙を流しました。
でもご安心を。結末はハッピーエンドになります。そしてそこでもまた感極まってめちゃくちゃ泣きました。

龍治さんとチャロくんが織り成す、物語り前半は楽しくおかしく笑って、物語り後半は切なさと悲しさで泣いて、最後にまた感涙するので、是非とも読んでほしいです。

3

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