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BL作品ではあまり創作活動されていない作者さんですが、わぁすごい。少し変わったオメガバース設定がワクワク感をもらたし、ハラハラともゾクゾクともさせる気持ちの昂りを盛り上げるストーリーが素晴らしかったです!
タイトルだけ見ると、あまり良い環境にないオメガがスーパーアルファに見初められて番っちゃうお話だと思いますよね。結果としては確かにそうなんだけど、それは結果であり過程ともなっていて、番ってからのストーリーがどんどん面白くなっていく物語構成がめちゃくちゃエモい。
そう考えると番った時点がある意味スタートラインともいえるかな。番となった2人を取り巻く不穏な動きや邪な感情の波が押し寄せる展開から終始目が離せませんでした。
それまでのレイの平穏をぶち壊す皇帝ガレスの登場は、とにかくすごいのひと言。いや…でもこれが「運命」に対する行動として普通なのか、ガレスの「運命」への想いが過剰反応し過ぎてるのかは分かりませんが、出会うなり獣のようにレイを抱き潰して精を注ぎ、その場から自分の国へと掻っ攫う……傍目から見ると、強姦・拉致逃亡に見えなくもないトンデモ所業にビックリです( ̄▽ ̄;)
一応レイは存在が秘匿されているとはいえ、他国の王子。大国の皇帝に息子が奪われているっていうのに、見守るしかできないレイの父である国王の立場の弱さにやるせないものを感じましたが、でもガレスだからレイをここまで好きにできたと考えると、それはこのストーリーにとって大きな意味となるのも事実。ガレスほどの権力者じゃないと、レイを今の環境から救えないからです。
レイは、オメガではく病弱なベータとして様々なものから隔離され、家族からもどう扱っていいか分からない腫れ物のような存在として扱われていた背景があります。虐げられてきたわけじゃないけど、王族にオメガがいるのは厄介だと思われていることがレイのこの国での存在価値なわけです。
それをガレスが変えてくれたことはレイにとって別の意味での運命の出会いとなりました。オメガでも他のバース性との存在価値は変わらない、ガレスがそう教えてくれたことに、レイがどれだけ救われる気持ちになったでしょうか。
強姦・拉致誘拐の疑惑を向けてゴメンナサイって感じですが(笑)、ガレスの運命への執着があったからこそレイは籠の中の鳥から大きな世界へと目を向けることができました。運命の番に出会えたことも大事だけど、自分の性に誇りを持てるようになったこともまたレイがガレスからもらった大事な幸せです^ ^
2人の仲を切り裂こうとする勢力にも負けない激しい争いシーンも圧巻の面白さでしたし、悪役キャラの個性にも魅了されつつ、2人の幸せを見守るのは超楽しかったです♪
それと、セックスではなく交尾といった方がしっくりくるような猛々しいベッドシーンは個人的にグッド!!我を忘れて本能のままに精を吐き精を受け止めるドロドロ描写はこれぞ発情期の臨場感。セリフや行動から、情事の生々しさが…それこそ匂いまでこちらにまで伝わってくるようなシーンに大興奮でした。
運命に引っ張られてレイを番にしたとはいえ、実はレイがガレスがずっと会いたがっていた正体不明の画家だったという点も、運命の導きが大きかったのかなと思います。運命なら誰でも良いわけじゃなく、クイン・クァーノというミステリアスな1人の画家の存在を通して潜在的にレイに惹かれていたことは無視できません。
運命に愛された2人の幸せなエンドに感無量でした。
スッキリとした晴れやかな読後感も、後日談のあまあまエピソードも全てが最高です♪( ´▽`)