二月病

nigatsubyou

二月病
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神11
  • 萌×217
  • 萌2
  • 中立6
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
15
得点
135
評価数
43
平均
3.4 / 5
神率
25.6%
著者
尾上与一 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
黒沢要 
媒体
BL小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
価格
¥857(税抜)  ¥926(税込)
ISBN
9784883864072

あらすじ

一九九八年二月、突然おそった出来事が、親友だった彼らの運命を変えた――。
それは幸せだったのか、不幸だったのか。


高校の同級生で親友の蒼司に突然告白された千夏は、恋よりもずっと一緒にいられる道……
友人であることを選び、やんわりと蒼司を拒絶する。
その翌日、蒼司は学校に現れなかった。
千夏が自宅や携帯電話に連絡を入れると知らない男が電話に出た。
しかし異国の言葉で聞きとれない。
不安に駆られた千夏は蒼司の家を訪ねるが、そこに彼の姿はなく――。

(出版社より)

表題作二月病

高校3年生 島田千夏
同級生で親友 木ノ下蒼司

その他の収録作品

  • 花嵐
  • あとがき

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数15

心奪われる二人の恋

これから先、二月が来る度に、閏年が来るたびに、その地の名前を聞いたときに、鉄塔を見るたびに、異国の地でひっそり暮らす二人を思い出すのかと思うと、本当に不治の病みたいだ。いつまでも心の奥底に残るようなお話でした。
至って普通であったはずの二人の日常がある日崩れて、緊張の中で少しずつ千夏の気持ちがはっきりしてくる。蒼司の為にボルトを運ぶ千夏や蒼司の恋する気持ち、恐ろしい現実もどこか美しく見える。文章や挿絵を通じて、恐怖や焦り、どうしようもない恋の熱の交じる二人の世界が恐ろしいほどリアルに感じ取れました。
普通の高校生だった二人が、あんな目にあった二人が、やっと気持ちが通じ合った二人が、あれからどうやって生きているのか……とか、そんなことをこれからもずっとふとしたときに思い出すのだろうと思います。読み終えた後にもう一度冒頭を読んで、やられた!と思った。すごすぎる。

1

純愛なのだろう。

ノンフィクション・ノベル。読みにくかったです。冒頭、若田という元新聞記者の男が、ある時効になった事件の目撃者(一当事者)として交番に通報するシーンから始まり、それから過去に遡って物語の核となる殺人、監禁事件が紐解かれていく構成となっているのですが、それが現実なのか若田の妄想なのか、終始モヤ〜っとしていました。最後も、もしや夢オチでは?などザワザワと雑念が浮かび、個人的には世界に入り込むのが難しい作品でした。タイトルに「病」と付いている点も曖昧さを加速させます。夢現物のような効果を狙っての作家さまの演出なのだとしたら、凄く効いているなと思います。

実を言うと、事件と蒼司の恋を絡めたところにそもそも無理を感じてしまってました。。。どっちかにしてもらった方がアホなわたしには作品に入りやすかったのかもしれません。登場人物それぞれの視点でドラマティックな心情が綴られていますが、思いが強すぎてなんだか自己陶酔しているように見えて、ちょっと引きました。シリアスなテーマ故か皆切迫していて独りよがりで、人物同士心が通い合っている感じがしないというか…。でも、日常が突如壊されてしまった特殊事態なんだ、高校生だから若さ故の暴走なんだ、と安易に片付けてしまうのは惜しい程の挑戦的な作品だと思うのです。

「藪の中」手法なのかとも思いましたが、そうでもない。かといって若田が物語を総括する語り手の立ち位置とも認め難く。(おそらくその役割を担っていそうだけれど。)蒼司の気持ちも、千夏の気持ちも痛い程表現されているお遍路の件りは切なくてきゅーんとしました。けれど千夏の方は事件のドサクサに紛れて気持ちが一気に盛り上がっちゃって、おいてけぼりを食らった感が…。彼の蒼司を思う気持ちが同情なのか恋情なのか、パニックによって隠された思いが表面化したものだったのか。心理的カオスを描きたいのであったのならなんとなく分かるような気もするのですが…、個人的にはBLを読む時はストレスフリーが理想なので読むこと自体に気を揉むのは本意ではなく、正直最後まで読み終えるのが苦痛でした。ひとえに当方の読解力と作家さまの作風との相性の問題です。

作家さまの表現法や取り上げるテーマの変遷を見る楽しみもあるので、人気の高い最新作に辿り着くまでぼちぼち他の作品を読み進めて行きたいと思います。

1

じわりと痛い命がけの恋

文章がやや拙く、ところどころ読みにくいところもありますが最後まで退屈させない展開で、一気に読んでしまいました。
ストーリー自体が似ているわけではありませんが、中原みすずの「初恋」的な雰囲気です。(10年くらい前に宮崎あおい主演で映画化してます)

読み始めは千夏は嫌な男だと思ってました。が、読み進めていくうちに考えが変わった。人を好きになることを覚えた彼はとても素敵でした。奇しくも拉致事件をきっかけに、千夏は蒼司への恋を自覚していくんですよ。自分が犯罪に手を染めてるとか、家族が心配するとか、そういった後先のことよりも、ただひたすら目の前の蒼司を助けたい、とボルトを集める彼の姿に涙が出ました。無鉄砲というか、何というか。

見張り役の人って結局どうなったんだろ?

評価については迷いましたが最後がちょっと…。エピローグは、その後の二人の話かもしくは若田のその後が良かった気がします。

1

お話とイラストのシンクロ率が凄い

尾上さんのデビュー作です。
新人さんが出て来た、と当時表紙の美しさだけで購入したまま積ん読。
そのまま新作が発表されるたびに、何となく買い続け、やっとタワーを崩す気になったんですが……。

早く読んでおけばよかった……っっ!!!

文章が少し硬質な感じで、読み始めた最初のあたりは失敗したかなぁ……と思ったのですが、読み進めていくとあれよあれよという間に引き込まれ、読後に長いため息がひとつ出ました。
一言では言い表せないような、何とも言えない余韻です。
これをハッピーエンドと取るかは人それぞれですが、私はこのモヤモヤ感が気に入りました。
そしてその後に続く短編が、受の苦しい気持ちが綴られていて、本編を思い返すとじわりと来るものがありました。
美しい言葉が並んでいて、非常に心地よいです。

サスペンス風味で、実際の事件をモデルに話を作られていますが、あの当時の事件を元にして、ここまで書ける才能に拍手を送りたい。
そして自分自身、あの事件で予定を狂わされたので、どんな風な結末になるのか気になって前のめりに……。
受が攻と行ったお遍路で、納経帳の隙間に書き連ねた思いの欠片が延々と出てくるシーンには、思わず目頭が熱くなりました。
どんなに受が攻のことを好きなのかが、痛いほど伝わってきます。
そしてそんな受の気持ちに気づかなかったどころか、持ち前の無神経さで優しく傷つける攻が憎たらしい。

私の中でどうもこの攻の性格や背景設定が好きになれなかったので、神評価には至りませんでしたが、受がもうもの凄く健気。
強気なのに健気というお得感。
そして脇でありながらも、実質主役と言ってもいいような若田が、物語を引き締めてくれています。

文章は少し読みにくいというか、癖があり粗削りな感じがしますが、これが書きたい!! という作者の強い思いが筆に表れています。
最近は文章は上手だけど話が無難で面白くない新人さんも多いので、このくらい大暴れしてる話は新鮮で非常に良かったです。

2

純愛、そしてテーマ性

あらすじは割愛させていただきます。

まず軽いネタバレですが、メリーバッドエンドです。そして、ひたすら低いテンションが続きます。
苦手な人は苦手だと思います。

しかし、テーマ性を以て伏線が張られているために分かりやすく、物語が進むにつれ受け攻め双方の愛情がだんだんとかみ合っていくさまが丁寧に描かれています。

細かい設定が曖昧という感想も多いようですが、恋愛モノとして読むには十分な情報はあり、基本的には学生の主人公視点で進むためそこまで違和感は感じませんでした。
とても良いラブ・サスペンスとして読めました(・ヮ・)

1

このヒリヒリ感を刮目せよ!

尾上さんの作品は「二月病」は私的に一番ウルッときました。
「蒼のかたみ」「天球儀の海」より泣けました。

受の蒼司は親友で女子にモテモテな攻の千夏にずっと叶わぬ思いがあり、ずっと諦めようとしていたが、卒業前に思わず千夏に吐露しちゃう。
千夏は蒼司の想いに全く気付いておらず、それを知っても「蒼司が女だったらいいのに」とやんわり断り、このまま一番の友人でいようと収める。
が、翌日、蒼司が学校に来ない。
千夏は昨日の事が気になり、蒼司に連絡するが音信不通、実はこの時蒼司は殺人事件に巻き込まれ、監禁されていて、それを知った千夏は蒼司を助ける為に、開放条件の鉄塔のボルトを外し続ける。
殺人事件に巻き込まれ、犯人グループに監禁され、いつ殺されてもおかしくない状態の蒼司。
蒼司の命を護る為、誰にも相談出来ず一人で立ち向かおうとする千夏。まぁ、若田さんていう助っ人が出てきますが。
二人の行く末はいかに?っていうお話。
他のレビュアー様が書いておられるようにはっきりいって、話の筋的に疑問点が多すぎです。犯人グループの設定があまりにもボンヤリしすぎてモヤモヤしますし、ツッコミ所満載なんですが…。
しかし!!!!!それを軽~く凌駕してしまう蒼司と千夏のお互いの恋がんもぅ凄いんですよ!!
納記帳に書かれた蒼司の想い、それを読んで自分の一番に気付く千夏。
毎日ボルトを抜いて監禁場所に行き、語られるお互いの激情。
もう涙がポロポロ出ちゃう。女の子だもん。
明日死ぬかもしれない。やはりこのヒリヒリ感のある状況で恋愛からませないとここまで盛り上がらないですよね~。
もうとにかく読んでない方は読んでみてください。泣ける。
騙されたとおもって読んでみてください。騙されたと思って。
大事なことは二回。

じつは私的ですが、この「二月病」を読んでる途中で、丁度香川にうどんを食べに行きまして…。タイムリーでした。
高速に乗り、坂出に下りて「がもう」でうどんを食べながら、「あーこんなとこで二人はうどん食ってたんかー」と思ってジーン。
車で次のうどん屋に移動しながら坂出の景色を眺めながら「あーこの辺りを千夏はバイク走らせてボルト抜いたんかー」と思ってジーン。
八島水族館に行ったらすぐそばがお遍路のお寺があり、「あーこんな山の上まで二人で歩いて蒼司は祈ったんかー」と思ってジーン。
帰りに瀬戸大橋渡りながら旦那に倒れた鉄塔を教えてもらい、「この鉄塔かー。オイオイこの鉄塔だけ電線が瀬戸大橋の上に伝ってるじゃねぇの。電線緩んだら車の上に落ちるし。これ倒したの確信犯じゃねえのよ。うわー。でも千夏頑張ったんだねー」と思ってジーン。
隣の旦那は「????」でしたが。あっはっは。

尾上さんの個人サイトSSにて彼らのその後が書かれています。
貧しいながらも幸せそうにしている二人にホッとしました。
本編とSSの間の長い物語もいつかは発表したいとおっしゃっているので、その「いつか」を熱望いたしております。



3

余韻を引きずらせる物語。

不思議な余韻を残す物語だった。
世界観を2、3日引きずった。

ストーリーは簡単に説明できてしまうのだけれど、
そこに至るまでの心理描写が、
物凄く読者の心を揺さぶる類の小説だと思う。
文章自体はとても淡々としている。
1センテンスもそう長くはない。
でもリズミカルという印象とは違い、
やはり「淡々と」しているという
イメージが近い気がする。
崩れず、どちらかというと硬い。
でも、そんな文章だからこそ、
御朱印帳に書かれた蒼司の恋の病の独白に
どうしようもなく打ちのめされたのだと思う。

実際のところ、お話のシリアスな部分で
疑問点は点々とあった。
(もし千夏が蒼司に恋情を抱かなかったら
 この取引は成立しないだろうし、
 そもそも日本に来たなら犯人が自分で
 ボルトを回収すればいいと思う。)
でも、前述した通り、淡々とした文章の中に
どうしようもない感情と切迫感が
埋め込まれていて読者を揺さぶる。
その揺さぶりが、数々の疑問点を
静かに押し流しているように思う。
そんな風に、いつの間にか
読者である自分の目は
千夏と蒼司の恋に向かわされていたんだろう。


本を読むとき、小さな齟齬を感じたら、
それが最後まで残ってしまうという方には
向かない作品かもしれません。
客観的にみるとツッコミどころは確かにある。
物語に犯罪が絡むので、それは尚更だと思います。
しかし、この作家さんには、
文章で空気感・世界観を形作るパワーが
あるんだろうなという感想を抱きました。
始まりと終わりの若田の視点も、
そんな世界観を担う一端なんだろう。
この視点がまた、BLと言うよりも、
純愛物語のような印象を与えていると思います。

私自身、世界観に持っていかれましたが、
レビューがとてもしにくい作品だったので
「中立」評価にしています。
ただ、好きか嫌いかで聞かれたら、
この小説は好きだった。
Blogで同作のアフターストーリーが
少し公開されています。
同人誌掲載の一部とのこと。
本編に描かれなかった部分を目にし、
そちらにもじわりとしました。

6

ごめんなさい。私には合わなかった。

文章力、表現力は素晴らしいです。途中までは、これ、何かの文学賞受賞作でもおかしくないと思いながら読んでいました。
でも、ごめんなさい。主役二人の設定が受け付けませんでした。
攻め上げ受け下げが、ちょっとあからさますぎじゃないかと…。
攻めは、成績優秀スポーツ万能イケメンでモテモテ。対する受けは、成績が悪く、何の取り柄もない平凡な人物。
そんな素晴らしい攻めが、輝かしい未来も何もかも捨てて受けを選んでくれたっていうのが言いたいのかも知れないけど、私は同じ歳なら対等な関係が好きなので、すっきりしなかったです。

4

評価に困る

親友だった。
一番大切な友達で、就職して結婚して子どもが生まれても、ずっと変わらず親友でいるはずだった。

サスペンス仕立ての作者のデビュー作。
カッコ良くて人気者で何でも持っている千夏(せんか)の口癖は、「幸せになりたい」。
1998年、高校卒業を控えた二月のある日、
幸せに気がつかない程傲慢に幸せだった彼の平穏な日々は
突然に巻き込まれた事件によって、劇的な転換を余儀なくされる。

親友で、一緒にお遍路を回った、誰より近くにいて誰より大切だった蒼司に告白され、
そしてそれを優しく退けた翌日、蒼司は学校に現れなかった。
蒼司の両親は何者かに殺害され、蒼司自身も誘拐され拉致される。
第一発見者となった千夏は彼を解放する条件として、
特殊なボルトを100本集めてくるように言われ、日々鉄塔に登る日が始まる……

物語がどこへ向かうのかに、不安な思いを抱きながら読み始め、
硬質な文章にいささか読みにくさを耐えながら読み進み、
蒼司の想いが綴られている御朱印帳を千夏が目にする下りで、切なく胸を揺すぶられる。

……が、その後あまりに破綻が多過ぎて、感情的に失速してしまいました。

未解決の坂出送電塔の倒壊事件という事実を使った着眼点には瞠目するし、
それにお遍路という四国の風物を絡めた世界観も素晴らしい。
しかし、某国で作れないボルトを集めるにしても、
高校生に調達させるというのは素人が考えても疑問だし、
着信履歴が一番多かったというだけの友人が(しかも10代の子ども!)が
こんな過酷なことに応じると考えるのは現実的ではないし、
何より、弟の面影を蒼司に見た監視役の男の行動があまりにご都合主義だし、
突っ込みどころが多過ぎて、乗切れないまま話が終わってしまった。

「だれとでも幸せになれるだろう。でも不幸になるならお前とがいい」
など印象的なセリフも多く、記憶に残る作品ではあるとは思うが、
ただ、丁寧さと詰めの甘さのバランスが、私的にはうまく咀嚼できなかった。

それから、この物語の主人公は実は元新聞記者の若田であると思えてならないのだが、
だとすると、彼を中心にして若者二人の物語はもっとファンタジーとして描かれていれば
もうちょっと違ったかもしれないと思う。
この辺のバランス感も、私の肌には今ひとつしっくりこない部分だったかと思う。

独特の世界を描く作者だけに、今後に期待のデビュー作という感想だった。

7

架空のルポルタージュ

1998年、香川県で起きた鉄塔倒壊事件。あの事件の裏にこんなドラマがあったら…という仮定のもと描かれるミステリー仕立てのお話で、かなり読ませます。

私の二月は、三日足りない…という台詞が意味深な2013年の冒頭。
そこから始まる15年前の物語。
家族の死とともに姿をくらました少年と、
鉄塔からボルトを抜き取り、黙々とある場所へ運ぶ少年。
ある事件に巻き込まれた二人の運命と、互いを救いたいと思う気持ち。
元記者・若田を巻き込んでの脱出劇。そして鉄塔倒壊が起こり、真相は全て闇に葬られ…という話。

序盤は事件の真相をたどっていくミステリーとしての面白さがあり、
中盤以降は切ないラブストーリーやアクションの要素も出てきて息もつかせぬ面白さで
一気に読めます。

犯人側の実態(動機、組織など)がハッキリ説明されておらず視点が狭かったり、
見張りの男が甘すぎだったり、二人の行く末がそれまでの展開の割にご都合主義的だったりと、細かいところは気になるのですが、題材の斬新さと文章力で最後まで持っていった感じです。

個人的に印象に残ったのは、二人が寝た後のシーン。抱かれて「切ない容れ物」になってしまったと自分の身体を思う下りが甘いだけじゃなく切なさと痛々しさがあって好きです。

ラストは、二人の運命に関わり、秘密を背負ったまま生きることとなる若田と一緒に
ポツンと取り残されてしまうような、少し寒々しい読後感とともに「二月病」の意味を噛み締める…という単純にハッピーエンドでは終わらない作品でした。

前述の細かいところが気になるのと、その後二人を待ち受けたであろう厳しい現実がぼかされていた点がやや不満でしたが(『花嵐』はキレイに終わりすぎな感がありました)、
BLにあって大変斬新な設定に星4つ。この路線でもっと書いていただけたらと思います。

5

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