さよならトロイメライ

sayounara traumerei

さよならトロイメライ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神36
  • 萌×25
  • 萌4
  • 中立2
  • しゅみじゃない7

76

レビュー数
4
得点
214
評価数
54
平均
4.1 / 5
神率
66.7%
著者
 
イラスト
 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
シリーズ
Holly Novels(小説・蒼竜社)
発売日
価格
¥921(税抜)  
ISBN
9784883864454

あらすじ

貿易商を営む宗方家に執事見習いとして入った弓削晶は、嫡男・鉄真の「船を港に導く灯台を建てたい」という夢を側で支え、一緒に叶えたいと願う。
二人がささやかで清らかな信頼を静かに育んでいたある日、弓削は宗方家当主である鉄真の父に犯されてしまう。
そして、とうとう鉄真や弟の一誠にまで男の狂妄が及んだとき、弓削は彼らを守るため、当主を斬り殺した――。
罪人であり仇となった弓削に、鉄真は口おしい思いで、一生側で罪を償えと命じるのだった……。


波乱に満ちた二人の純愛の行方を狂おしく艶やかに描いた大正浪漫が今、ここに開幕!

表題作さよならトロイメライ

宗方鉄真,貿易商の嫡男
弓削晶,執事見習い

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レビュー投稿数4

胸が痛い…

結構以前から読み始めてたんだけど、内容が切なくて苦しくて辛くて、中断してはライトな物やすぐ読める漫画に走ってしまってました。

弓削と鉄真の淡い恋心が鉄真の父によって踏みにじられ、あの不幸な事件。
もう、ここから泣けて中断第一弾です。
事件後の弓削の待遇が悲しすぎますが、何度鉄真が弓削を放逐しようとしても当の弓削が辛い境遇から脱そうとしません。
まだ幸せだった時に交わした鉄真と弓削の約束のために、鉄真への想いのためにです。
そして鉄真のために行った台湾から命からがら戻った弓削に…。

側から見たら辛い事ばかりなんですが、2人からしたら決して不幸ではないんだと思います。
あんなふうに愛せる人に出会えたんですから。

笠井先生の表紙の美しさもさることながら、見開きのイラストも圧巻です。
あのイラストだけでも胸がギュッとなります…。

何度も読むのを中断してしまいましたが、懲りずにまた読み直しては泣く事でしょう。
語彙が少ない私には、この作品の良さを半分も伝えられず申し訳ないです…。

2

切ないけれど、それだけじゃない。

尾上さんの新刊という事で楽しみに待っていましたが、挿絵が笠井さんと知ったとき正直びっくりした。笠井さん大好きなんですよ、絵師さん買いするくらい。でもイメージがちょっと合わなかったので。

でもでも、読後は笠井さんの挿絵しかイメージできないほどストーリーにぴったりだった。美しく、儚く、そして切なく。笠井さんの挿絵が萌え度を確実にアップしました。

内容はすでに書いてくださっているので感想を。





尾上さんらしい、というか、自分の意志ではどうにもできない激動の時代の流れに流された二人の恋のお話でした。

父親の死と同時に保護してくれるべき存在を失った弓削。
そしてそんな彼を引き取ってくれた家の子息である鉄真。

彼らが少しずつ、大切に育ててきた淡い初恋を踏みにじることになった事件。
お互いがお互いを大切にしていたからこそ起こった悲劇に思わず泣いた。

何も持たなかった弓削が宗方兄弟と過ごした時間。
そしてあの嵐の夜にかわした約束。
それだけを心の拠り所にして夢想(トロイメライ)する弓削に思わず落涙。

鉄真が弓削に渡したオルゴールが、そし続きてトロイメライが、実に効果的に使われていて、文章の構成のうまさに圧倒されました。

鉄真と弓削の二人の執着心はすんごいドロドロなのです。ほかにも弓削に嫉妬心を燃やす執事がいたり、貿易商である鉄真と、彼を出し抜き利益をむさぼろうとする特権階級のおっさんたちとの戦いがあったり。なので始終シリアスな雰囲気が流れるのですが、鉄真の弟の一誠が癒しキャラなのでそこはほっこり。彼が弓削に渡した木の実。良かった。すんごい良かった。

鉄真と弓削。
激しく求めあいながらもすれ違う彼らに幸せになってほしくてページを捲る手が止められなかったが、あの最後は…。
バッドエンドだと感じる方もいるかもしれない。
実際メリバなのかな?

けれど、あの終わりが、この二人の最後にふさわしいと思った。
最後の最後に、何もかも捨ててお互いだけを選んだ彼ら。

最後に彼らがどうなったのか読者にゆだねる結末だったけれど、最後に笑顔で穏やかに暮らす彼らを私は想像しました。

ストーリーも、登場人物たちも、そして挿絵も。
全て素晴らしかった。
文句なく、神評価です。

4

遠い昔に閉じ込めた夢の欠片

待ち遠しかった尾上さんの新作。
表紙の美しさにまず打ち抜かれ、口絵の扇情的な様にうひょーっと舞い上がる。
本の厚みに期待いっぱいに読み始めるともうダメでした。
何度も何度もこみ上げてくるものを飲み下しながら一気読み。

時代は大正、貿易商を営む宗方家に執事見習いとして奉公に上がった弓削は、そこの跡取り息子である鉄真と強く惹かれ合います。
少年特有の淡い恋心をお互い胸に秘め、ゆっくりとその想いを育んでいた2人ですが、当主であり鉄真の父の陵辱によってその想いは無残に引き裂かれてしまいました。
日々繰り返された地獄は、鉄真とその弟を守るために当主を斬り殺した弓削の主殺しによって唐突に終わりを迎えます。
醜聞をもみ消すため、そして弓削を側につなぎ止めておくために鉄真は弓削を監視下に置き、長い長い贖罪と淫蕩の月日が流れるという感じなのですが、もう中身が凄い。

重いし苦しいし切ないし痛いしぎりぎり胃を圧迫してくる辛さが半端ないし。

それでも全く読むことをやめられない程ふたりの執着が強烈で、はやくこのふたりを解放してあげて欲しいと何度も願いながら読み切りました。
作中、続き鉄真から弓削に贈ったオルゴールが作品のキーとして何度もでてくるのですが、これがもう絶妙に効いていて、涙がぼたぼた落ちてきて仕方がなかったです。

不憫健気と執着を絵に描いたような弓削と、そんな健気な弓削をどうしても手放すことが出来なかった鉄真の想いが消化されたラストの余韻は言葉では言い表せないほどに強烈な印象となって放心状態。
読みながらずっとトロイメライを流していたのですが、BGMにするとより一層この世界の彩りが鮮やかに蘇るようでおすすめです。

余談ですが下着が褌なので、褌好きさんは飛びついて欲しい。下帯という文字だけで滾りました。もっと褌描写があれば神評価突き抜けて宇宙のどこかに行ってたと思います。

10

夢のあと

大正時代、貿易商と執事の十数年の歳月を描いた作品。
大正のビジネス界における一商家の一進一退も描かれており、大河小説のような壮大な物語が展開されます。

あらすじ:
文官の父を亡くし、執事見習いとして貿易商の宗方家で働き始めた弓削(受け・14歳〜)。
嫡男の鉄真(攻め・15歳〜)、弟の一誠と打ち解け、将来の夢を語り合う仲に。
しかしある夜、宗方家当主の部屋に呼び出されたことから、弓削の運命は大きく変わることに…

タイトルの「トロイメライ」とはドイツ語で「夢想」の意。
鉄真が弓削に贈ったオルゴールに使われている曲名です。
作中幾度か登場するこのオルゴールは、二人の失われた少年時代の象徴。
そして、当時の夢を糧に厳しい現実を生き抜く二人のひたむきな姿とも連動しています。

当主に犯され、その後も彼に様々な性的拷問を受ける弓削。
当主は阿片に精神を侵されており、息子の鉄真にも暴力を振るっています。
ある日、当主の刃から鉄真と一誠を守ろうとした弓削は、あやまって当主を刺殺。
鉄真は、罪人の弓削を屋敷に匿う代わりに、弓削が他の使用人に妬まれぬよう必要以上に辛くあ続きたるように。
一方で、彼を他家に引き渡し自由の身にしてやろうと画策します。

そんな鉄真の優しさを全力で拒む弓削の異様なまでの頑固さが、本書が普通の純愛モノとやや異なる点。
鉄真にどんなに殴られても彼を愛し続け、何度追い出されても自力で戻ってくる弓削の執念は、やや常軌を逸しています。
先代当主に吸わされた阿片や性的虐待の影響か、どこか精神的に壊れてしまった弓削。
しかし、狂いつつも鉄真への愛だけは失わず、その愛を原動力にタフな大人の男性へと成長していく姿には、ある種の爽快感も感じさせます。

鉄真も、縋ってくる弓削を見ることで彼の愛情を確かめているような節があり、結局非情になりきれず。
かつて彼に語った、岬に灯台を建てるという夢のため、なりふり構わず事業拡大を図ります。

やがて優秀な執事に成長する弓削ですが、先代を殺した罪人という立場は変わらず。
鉄真とは相思相愛で身体の関係もあるものの、互いの立場上、接吻さえ自重するという関係性です。


二人の極端な行動にやや作為を感じる点もありますが、狂気と紙一重の純愛に圧倒され、ページをめくる手が止まらず。
言葉以外の様々な手段で間接的に想いを伝え合う二人の姿にギュッと切ない気持ちになります。

終盤、台湾マフィアが出てきてからの展開はややご都合主義的ですが、ラスト数ページは圧巻。
タイトルの意味合いが効いてくる結末は充足感と虚無感に満ちており、余韻が残ります。

粗筋だけを辿ると陳腐な物語かもしれませんが、伏線使いや心理描写、情景描写が秀逸。
十数年の歳月の一瞬一瞬を全力で生きる二人の姿から目が離せず、読後もふとした瞬間に各シーンが胸に蘇ります。

二人を取り巻く様々な登場人物の描写も印象的。
阿片に溺れた先代当主も、立派な青年に成長する一誠も、宗方家に仕える他の執事たちも、エピソードは短いもののそれぞれにドラマを背負っており、善悪の一言では括れない人間味を感じます。

冒頭にも書いたように、大河小説を思わせるような大変濃密な物語。
ぜひ初回封入ペーパーと一緒に入手されることをお薦めします。

16

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