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改題+加筆修正版。元となった筑摩書房の単行本「白いひつじ」は未読のため、違いは不明。前半と後半でストーリーの印象がガラっと変わる作品。匂い系の域を出て、わりとはっきり恋が描かれていると思う。晴れやかなラストが良かった。
前半は、部屋探し中の鳥貝が怪しげな男子寮の見学に行き、クセのありすぎる住人たちに絡まれまくる。思わせぶりなセリフで惑わせてくる人が次々現れ、鳥貝の勘違いも加わって、入居すれば貞操の危機が訪れるのでは?と思わされる。
後半は、鳥貝の出生の秘密を探る展開に。印象的だったプロローグの詳細が分かったり、あのキャラが実は!?といろんな点が線でつながり、引き込まれる。そして酷い態度ばかりだった百合子の本音にびっくり。究極のツンデレか。というか苗字が百合子て。
全ての種明かしがされると、寮のメンバーが同じ想いを持って協力し合っていたと分かり、ちょっと感動。百合子の恋心に関しても応援ムードなのかな。
鳥貝は拒みながらも揺れ動いているようで、この調子で百合子が押せばふらっといきそう。指輪の件は、百合子の策略にまんまと嵌ったってことなら笑ってしまう。思惑通りその指に嵌める鳥貝チョロすぎか。
現代モノで、ぶっ飛んだエピソードなんて何もないのに、不思議なほど現実味を感じない。この唯一無二の空気感こそ長野まゆみ作品の醍醐味、と勝手に思っている。今作でもその独特の世界にどっぷり浸かることができ、とても良かった。
