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四ノ宮慶先生のメリバ!? と驚き、ドキドキしながらお迎えしたこちら。
先日のJ庭58の頒布本で、今回のJ庭特設ジャンル「メリバ」に沿った
貴族(・王族)オメガバースで主従もの。
紙同人誌(A5サイズ二段組)であとがき入れずに56ページです。
四ノ宮先生といえば、どこかふんわりとした美麗なファンタジー...
というイメージだったのですが、先生のご挨拶文によると
デビュー前やデビュー直後は重くてしんどいお話を色々書かれていたとのこと。
なるほど…!
ということで、ある程度覚悟して読み始めました。
婚約者である第二王子(攻めではない)からの陵辱強姦描写あり。
人が殴られ殺害され…という描写もあります。
かつて、オメガの女王が繁栄をもたらした王国でのお話。
オメガは希少な存在として尊ばれるー
というのが建前ではありますが、実際にはΩと分かると
問答無用で王宮へと召し上げられ管理され、王族・貴族のαと番わされる運命にあります。
そんな中、バース性判定でΩと分かった主人公・アルノワ(受)。
その瞬間、密かに恋心を寄せていた幼馴染で
彼の従者・βのレオニス(攻)との恋の成就は望めなくなります。
即日王宮へと呼ばれ、一回りも歳の違う第二王子・ダリオシェールの
婚約者として後宮で過ごすこととなったアルノワ。
なんと、この時まだたった12歳..!!
唯一の救いであったのが、βである従者・レオニスを
後宮へと連れていくことが許されたこと。
(βとはいえ男性だけどいいのかな?とちょっと思いつつ..)
発情期が来たら有無を言わさず王子と番わされる、という運命の中、
なんと6年間、18歳になるまでアルノワに発情期が訪れることは
なかったのだがー
と続くオメガバース物語。
アルノワには不思議な「星読みの力」が備わっている、という設定もあり、
これがお話を動かす鍵となっていきます。
初めからとにかくずっと、運命に従うしかないアルノワが不憫です。。
ダリオシェールから厭われ、初めて彼に謁見したアルノワが
冷たい言葉を投げかけられるシーンに胸が痛みました( ; ; )
24歳のいい大人が、自分の半分の年齢しかない婚約者にかける言葉とは
思えない(怒)
でもそんなのはまだ序の口で、その後さらに酷い彼の所業に
怒りを覚えることとなるのですが...
後宮へと囚われ、思わず長年の片想いを告白してしまってからの
レオニスとの蜜月は微笑ましいものだけど、
その後の展開が薄々予想できてしまうだけに、ハラハラ感は拭えません。
(こういうドキドキハラハラ、実は嫌いじゃない...)
額にチュッとキスしてもらい、「そこじゃないでしょ」なんて
言い合い触れ合う二人(可愛い...そしてこれぞ”束の間の幸せ”)に忍び寄る影。
そして発情期の来ないまま迎えた6年後、
二人の運命を大きく変える日が訪れます。
謀反を起こし王を殺し、血塗られた新王となったダリオシェール。
そしてちょうどその日、そのタイミングでアルノワが望まぬ発情を迎え…
αであるダリオシェールの威圧により動けなくなったレオニスの目の前で、
何度も…という展開、絶望しかない。。
心は拒絶しているのに、Ωとしての体はαを受け入れて悦んでしまうー
という非情な矛盾も痛々しい( ; ; )
そんな絶望的な状況で、アルノワの星読みの能力が開花するわけなのですが。
(こう、一般的なBLではもうちょっと早いギリギリのタイミングで
主人公を救ってくれるのでしょうが、このお話ではそうは転ばないのもまた
ぐっ…!となるところ)
ここで王子を殺して二人は...というエンドかな?と思っていたら、
お話は思わぬ方向へと展開していきます。
”メリバ”の定義を自分がはっきりと理解していないのかもしれないけれど、
自分にとってはこの物語は(過程ではなく結末だけ見れば)ハッピーエンド、
”夜明けの物語”でした。
ダリオシェールの顛末は当然の報いだと思うので、
レオニスよくやった!という気持ちでいっぱい。
(後宮から二人で逃れてから殺害まで2年の時がかかっているのは、
水面下でじっくりと準備を進めていた、ということなのでしょうか。
レオニス視点でじっくり読んでみたいな)
番となったαが死ぬまで快楽を得るセックスのできないアルノワが、
嘔吐しながら激しくレオニスに抱かれるシーン、痛くて切なかった。。
悪人は消され、めでたしめでたし...となるかと思いきや、
ラストの展開を見るに、不穏な空気はまだ漂っている...?
・可愛い男の子は、レオニスとダリオシェール、一体どっちの子なのか。
・その子のバース性は...将来は...
そんなところに思いを馳せてしまう、余韻の残るエンディングでした。
で、こちらは物語自体には関係のないことなのですが、、
同人誌ということで致し方ないことだろうなと思うし
気付いてもあまり気にしないようにしているのですが、
誤植が...結構多め...自分が気付いた部分だけでも6箇所ほどありました;
”今生の別れ”が「根性」になってしまっているのは
ちょっと切なさ半減だったかな;
とはいえ。
自分の中で抱いていた先生の作風イメージがガラッと変わり、
”メリバ”とはいえ最後の最後には光の見える展開にも救われ、
読み応えのある一作でした◎
商業でも読んでみたいけれど、メリバ小説...なかなか難しそうですね;
今回このような形で拝読できたことに感謝したいです・:*+

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